ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 あれから何年が過ぎたか、私はもう覚えていないし数えてもいない。ただ、賢者の石を主成分としたハリーさんの胃薬を飲みすぎた私は無事に不老不死になり、何十年どころか何百年も幼い姿のままハリーさんの隣に居る。

 ここまで来るのにも色々あったような気がする。ドラコとロンがハーマイオニーを取り合ってガチの決闘騒ぎになったのをハーマイオニーが沈めた挙句に謎の男前っぷりを発揮して年替わりでロンとドラコの間を行き来するようになったり、ハーマイオニーに子供ができたのがどっちの子供かで喧嘩になりそうだったのをハーマイオニーがひっぱたいて止めて二人の子供を双子として同時に産むために一体どれだけ苦労したかを暴露したり、いつの間にか私がまた英雄として祭り上げられて近代魔法史の教科書にも顔写真付きで乗ってしまったり、本当に色々あった。

 

 けれどそれもたくさんの時間が過ぎればなんでもなくなっていく。ホグワーツはハリーさんの影響が殆ど抜けてただの大人しい魔法学校になったし、私とハリーさんは教科書とかそういうの以外に名前を見ることもほとんどなくなった。ヴォルデモートの名前も恐れるような物ではなくなって学校の授業でも普通に呼ばれるようになったし、私達以外の誰かと会うこともほとんどなくなった。

 そうこうしているうちにロンもドラコもハーマイオニーもみんな老衰で死んでしまった。ハーマイオニーが史上最初の女性魔法大臣になったのには驚いたけれど、正直ハーマイオニーなら十分あり得ると思ってすぐに納得できたし、ドラコはドラコで純血と混血の必要性についての論文などによって純血を保つ意義とか血が濃くなりすぎた弊害についてだとか、そういったものについての第一人者になっていたし、ロンは……うん、ロンは頭の方は正直あんまりよろしくはないんだけど実働に回ると世界最強格だったからね。

 

 思い出してみると本当に色々なことがあった。けれど今となってはそれは全て遠い思い出の中。今日も魔法界は平穏無事に、だれが生きていても誰が死んでいても関係なく、なるように回り続けている。

 そんな中で私とハリーさんは、学生の頃に少しやっていたようにほとんど誰も来ない場所でカフェをやっていた。学生のころと変わらない面子で、けれどほんの少しだけ年齢を増して。

 

 今では魔法の多くが科学によって解き明かされた。多くの魔法には科学で対処できるようになり、人間は魔法と合わせた科学を使い、星々の果てに繰り出し始めた。多くの科学的不可能を魔法で解決した力技の成功ではなく、科学的に不可能なものを科学で再現した魔法によって解決し、様々な問題を生み出しながらいくつも解決を続けている。

 

 地球に人は少なくなって、代わりに農地がとても増えた。人が移り住むにちょうどいい環境を魔法で作り出しても、初めのうちは食べ物や水は自分たちの持ち出しで何とかしなければならない。魔法も食べ物を作ることはできないし、水は出せるけれどあの魔法は結構難しい方だからできる人は限られる。

 けれどそんな時に魔法で地球から移転先の星に食料などを届けたりする仕事も生まれたし、転送系の魔法を補助する機械なども生まれた。地球は居住の場所と言うよりは生産用のプラントのようになり、日々様々な物を生み出し続けている。持ち出しばかりしていると地球が消える可能性もあるからとちゃんとどこからか供給されてくるものもあるらしいけれど、それについては私は知らない。新聞ではその持ち帰ってきた物の中に違法性のあるものがどうとかそういう話が書かれていたこともあったけれど、ここから動く気のない私にはあまり関係のない話だ。

 

 お金はびっくりするくらいにある。時間もたっぷりある。ハリーさんと私の長い長い余生は、多分これからも続いていくことだろう。少なくとも、ハリーさんが生きるのに飽きてしまうまでは。

 




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  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
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