ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 戦いの幕は死喰い人側から放たれた一本の闇の魔法によって開かれた。その呪文は何十人もの闇払い達が総力を結集して作り上げた『盾の呪文』による結界を一撃のもとに焼き払い、外側から中へ突入する道を作り上げた。

 すぐさま死喰い人達がホグワーツに向けて侵攻してくる。かけられた橋を渡る以外にも空を飛んできたり、新しく自分たちで橋をかけたりしているけれど、それをそのまま見ているほどこちらも甘くはない。元々かかっていた橋を渡ってくる敵は繰り返し狙撃され、足を取られたり滑らせたりして落ちていく姿も見える。空を飛んでくる敵もこちらに来る前にいくらか落されるし、ごく一部では目の前に現れたホグワーツの怪人たちによって物理的に粉々にされたり再起不能にされたりしている。ロンなんて無言の腹パンで胴体をパンッ!!という音と共に血煙に変えてるし、ドラコはドラコで敵方から飛んできた呪文を受けるとなぜか相手が死ぬとか言うよくわからないカウンターが成立している。どうなってるのかは全くわからないけれどまあホグワーツの怪人たちだからね。仕方ないね。

 ちなみに他の怪人たちはと言うと、クラッブはその握力で空間を握りつぶすことで敵を手元に引き寄せてそのまま殴り飛ばしたりしてるし、ゴイルは自分の体重を相手の足の小指の爪の付け根の一点に集中させることで行動を止めたり骨折させたりしている。体重移動が上手だからってなんで自分の体重をはるか離れた相手の足の小指に移動させられるのか全く分からないし、握力で空間を破るとか引き裂くとか握りつぶすとかほんとどうなってるんだろうね。

 

「それもこれもハリーさん印のプロテインと日頃の適度な運動のおかげだ!」

「ちょっとホグワーツを外周したり尖塔の上で反復横跳びしたりするくらいで大したことはしていないぞ!」

 

 大したことだと自覚してほしい。あと私声に出してないからね? なんで当たり前のように『開心術』成功させてるの? 私だって結構な閉心術師なんだけど? なに? 私達がハリーさんに言われてホグワーツの外にある分霊箱を壊している間も俺達はハリーさんと一緒に居たんだぞ羨ましいかベロベロバーとでも言いたいの殺すよ?(ノンブレスハイライトオフ)

 

「こっわ」

「あれだな、女ってのは基本的に怒らせると怖い生き物だから仕方ない。男でも怒らせると怖い奴はいるけど」

「と言うかそもそも他人を怒らせるとかあんまやりたかねえよな」

「面倒だしな」

うるさい(レダクト)

なんか空間握り潰して呪文を曲げる技(マッガーレ)!」

なんか呪文に体重加えて下に曲げる技(マッガーレ)!」

 

 なんかよくわからないけど理不尽な方法で呪文が防がれた。ついでにクラッブに曲げられた呪文はクラッブの背後から迫ってきていた死喰い人の一人に当たって死喰い人の全身が見事に粉々になった。これで私も人殺し。まあ戦争中の殺人は味方殺しじゃない限りは基本的に称賛されるから多分大丈夫だと思いたい。ここにいる多くの人が少なからず人殺ししてるし多分後で私に責任があるとかそんなことを言ってくるようなことはないと思う。多分ね。

 ちなみに今のクラッブが使ってた方の技、一回相手の呪文を躱してから百八十度曲げるようにして使うと相手に跳ね返せる。便利だね。ゴイルのは下にしか曲げられないみたいだけど、本来全く重さのない呪文に重量を加えるとかなり簡単に落ちていくから数を相手にするときにはゴイルの方が便利かもしれない。

 

 いやまあそんなことは今は良いんだ、重要なことじゃない。命を守るという点では非常に重要かもしれないけれど今は良いんだ。問題は私の『粉々呪文』によって人が一人死んでしまったことだ。

 本来こういう呪文には安全装置のような物がかけられている。『粉々呪文』なら人間を含めた動物には効果が弱くなるようになっているはずなのだけれど、しかし結果はこうなった。となるともしかしてもしかすると私の魔力が強くなりすぎた結果として安全装置の上からでもこの威力が出るようになってしまった感じなのかな?

 呪文の安全装置と言うのは……まあ簡単に言うとホグワーツなどの学校で教えられる呪文には基本的に組み込まれているもので、人間相手ではあまり威力が出ないようにと初めから呪文に組み込まれている。もちろん威力を減衰させたところで人を傷つけるには十分な威力が出るし、使い方次第では簡単に殺人くらいはできる。そしてそういった安全装置のない呪文や、そもそも他者を害することに特化して作られた呪文の事を一般に『闇の呪文』と言ったりするそうだけれど……詳しいことはよく知らないので図書館にある本でも読んで自分で調べてほしい。

 けれども安全装置も完全ではないというのは普通に使っていても人を傷つけられるということから簡単に想像できると思うけれど、大抵の場合は呪文の威力を何割削減するとかそう言う感じのものになっている。それに加えて呪文を向けられた対象が持つ魔力と対象が無意識に放っている魔力による障壁でさらに減衰され、大きな事故にはつながりにくくなっているらしい。

 で、私の『粉々呪文』で敵を粉々にできたということは……まあつまりそう言うことなんだろう。私は自分自身でも知らない間に人間を辞める程度に強くなっちゃったんだね。

 

 ……人間を辞めるって、つまりそれってハリーさんとおそろいってことかな? でも―――

 

「フォイフォイカウンター!相手は全身から一瞬にして魔力を奪われて死ぬ!」

「空気を殴る。振動は大気を伝わり、敵の身体を貫く。その振動は相手の体内で心臓の鼓動を受けることによって爆発的に増幅され、その結果相手は内側から弾け飛んで死ぬ! これがグリンゴッツを破ったついでに覚えた僕の新技、遠当てだ」

「ちょっと、あんまり死体に傷をつけないでくれる? 死霊術はまだ覚えたばっかりなんだから死体に欠損が多いと上手くいかないのよ」

「使えない死体は僕の作った植物の苗床として有効に使うからこっちに置いといてもらっていい? 魔法界のオジギソウは凶悪だから結構駆除されるんだけど、ちょっと別のと掛け合わせるだけで違法じゃなくなるから便利だよね。多分これ終わったらそのあたり根こそぎ違法になると思うけど」

「弟とその友人方がヤベーことになってるぜ、フレッド。こりゃ負けてられねえな」

「悪戯仕掛け人としては命にかかわるようなもんは出したくねえんだが……まあ、処理に困ってた失敗作の整理ができると思えばいいよな」

 

 ―――私ができそうなことってホグワーツでできそうな人結構いるからなぁ……いや、一部私じゃどうにもできないのとか混じってるけど。

 と言うかハーマイオニーはいつの間に死霊術なんて覚えたんだろ? よく知らないけど死体を生きている時と同じように動かすくらいまでなら結構簡単って聞いたけど、呪文を使わせるのはすごく難しいはずなんだけど……まあハーマイオニーだからおかしくはないか。だってハーマイオニーだし。

 その他にも、コリンが写真を撮ると写真に写った人の身体から魂が抜けたり、ルーナの陰から見たこともないような怪生物がたくさんたくさん溢れ出して死喰い人を襲ってたり、セドリックが魔法使いとして普通に強かったり……まあうん、ともかく基本的に全体から見るとホグワーツ有利に状況は進んでいっていた。

 

 ただし、ここまでは。

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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