ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

192 / 199
179-B

 

 side エリー・ポッター

 

 バルバモートから正式に宣戦布告状が届いたらしい。

 開戦の時間は三日後の深夜十二時、場所はホグワーツ。それまでにホグワーツ側は守りを固め、周囲から全戦力を集めて守りを固めるようにと書かれていたそうだ。私ならここでホグワーツの上部を捨てて敵が入ってきた所で爆破解体して全員生き埋めにしてしまいたいところなんだけど、それをやっても多分結構な人数が生き延びるだろうことが容易く想像できる。だって魔法使いだからね。杖無しかつ無言での呪文だってできてもおかしくない。何しろ私だって小さい頃は杖無し呪文無しで物を浮かせたり瞬間移動したりと変なことをたくさんしてきたんだから、大人になってもそのくらいの事はできるはずだ。と言うかできないはずがない。私だって頑張ればできるんだから。

 

「一応言っておくけれど杖無しでの魔法発動は安定性に欠けるから使われないの。それを使ってしまうと色々と面倒なことにもなりうるし、一般的に魔法族が自分の魔力を扱いきれないことは恥ずかしいことだという認識が常識として存在するからよっぽど追い詰められない限りはやろうと思わないらしいわよ? 特に相手は純血主義の集まりなのだから、余計にそういった認識は強いでしょうしね」

「使える物は何でも使うべきだと思うけど……」

「私もそう思うけれど一般常識って言うのはどこに行っても付きまとってくるものなのよ。」

 

 ハリーさんにも付きまとってくれてればよかったのに。……あ、でも付きまとおうとしても追いつけなかったり振り切られたりしちゃうのかな? 一般常識って追い付く追い抜くって言葉とは無縁のものだと思うんだけどなぁ。

 

 ともかく、そういう訳でホグワーツに数多くの人間が集められた。外から中に入ることはとても簡単で、しかし中から外に出ていくのはとても難しい。そういう状態になっていると気づいたのは校長になったスネイプ先生で、そしてそれに気づいてからはひたすらに校内の防衛力を高め続けることに時間は使われた。

 盾の呪文を応用して作られた結界。様々な物を変身させて作られた罠。通りやすいけど爆発物を随所に仕掛けられた橋。そしてハリーさん謹製の呪文無効化空間。どうやって作ったのかは教えてくれなかったけど、多分教えてもらえたとしてもわからないんだろうなと思う。

 つまり、ロンやドラコみたいに魔法ではなくて身体能力が高い人が立っているだけで難攻不落の要塞になるような場所が作られている。ただ、即座に作ったり解除したりというのはできないらしいし、対象を指定して効果を出すようなことはできないからそこにいる全員の呪文が無効化されちゃうらしいんだけどね。

 もしも選んだ相手だけとか、もしくは選ばれていない相手だけに効果を出せたら……一方的に勝てたかもしれないんだけどね。残念。

 

「ちなみにさっき試してみたけど『粉々呪文(物理)』とか『武装解除呪文(物理)』とかは普通に使えたよ」

「それ呪文じゃないから物理だから」

「あとなんかよくわからないけど()も出た」

「ごめんちょっと何言ってるかわからない」

「いやだからこうやって……波ッ!」

 

 ポゥンッ!(波が出た音)

 フヨフヨフヨ……(ゆっくり進んでいく音)

 メソッ!(当たったところがなんかよくわからないけど内側に爆縮されて消えた音)

 

「こんな感じ」

「実物見てもよくわからないんだけど何あれ」

「僕もわからなかったからハリーさんに聞いてみたんだけどなんか『()』って言われたからそう呼んでる。実際に何なのかはわからない」

「波……どこかで聞いたことがあるような……」

「ハーマイオニーにもわからないことってあるんだ……?」

「そりゃあるわよ。私だって知らないことがあるから色々本を読んだりするわけだし。でも今はそれよりやらないといけないことがたくさんあるから遊んでないで仕事してね」

 

 怒られてしまった。反省。でも私の仕事と言うと実のところ大したものは無かったりする。色々な作業をしているところに顔を出して進み具合を聞いて、それを纏めて指揮を執っているスネイプ先生たちの所に持って行くことで全体の円滑化をしつつしばらく続いた旅の疲れを抜いている。ハリーさんがこちらにいる時点で正直負ける気はしないけれど、でもそのハリーさん曰くバルバモートはハリーさんの同類みたいなものらしいから備えても基本無駄、バルバモート以外に備えておかないといけないらしい。数は力だからね。知ってる。

 でも状況から言って不利なのは間違いない。だってバルバモートは手段を択ばない。『服従の呪文』によってこちらにとって敵じゃない人も敵になってしまうし、味方としてこちらの内部事情を知られてしまう可能性もある。事実ハリーさんは呪文無効化空間を作って一番最初にやったことはその場にいた全員を一度そこに通すことだったし、それによって何人も『服従の呪文』によって従えられたまま情報を流していた人が解放された。似たようなのがグリンゴッツにもあるそうだけれど、グリンゴッツの物は滝の形をしていて濡れた相手にかかっている呪文を無効化するものだそうだ。つまりハリーさんの作った物の方が効果が高い。

 ……グリンゴッツって一応魔法界の中でもアズカバンと同等かそれ以上に防衛機能の高い所のはずなんだけど、それを軽々と越えてくるハリーさんはほんと凄い。人間? ……多分人間。と言うか人間じゃないと結婚できないんだから人間であってくれないと困る。

 

「法的には人間じゃなくても結婚出来るわよ? 犬や壁とも結婚できるもの」

「マジで? と言うかハーマイオニーがそう言うってことは実例があるってこと?」

「あったわよ」

「マジかよ失望しましたイギリス人辞めたい」

 

 結婚できるんだったらハリーさんが人間じゃなくても別にいいや。ただハリーさんが人間じゃないと子供とかできないかもしれないね。人狼とか巨人は人間と子供を作れるみたいだからそのあたりはあんまり不安はないけど。

 一番の問題は単純に私がハリーさんの血を身体に受けたいってだけの話なんだけど。だってほら、ハリーさんと私の間に子供ができればそれは実質的にハリーさんの血の半分が私に流れるってことじゃない? 私の細胞とハリーさんの細胞が合わさって、それを私の胎の中で私の体液を使って育っていくんだよ? ハリーさんが私の中で私を使ってすくすくと育っていく……それはもはや結婚と言っても過言じゃないのでは!?

 

「過言よ落ち着きなさい」

「もしくは犯罪だな」

「どういう意味!?」

「そもそもそう言う行為で子供を作っている時点で普通に考えれば恋人かそれ以上の関係であるのは間違いないだろうし、そうじゃなかったらそれこそ犯罪だろ? 無理矢理とか間違いなく犯罪」

「……なるほど、そうだね」

「つまりハーマイオニーが言った通り結婚が過言だということは、自動的に婚姻を結んではないもののそれに近しい関係にあるか、世間一般から見ると犯罪以外の何物でもないってことになると思うんだ」

「それを俺の前で言えるとは随分と図太くなったもんだなロニー坊や。ツラ貸せ」

「助けてハーマライデおぼふ」

「私はハーマライデンではない(無言の腹パン)」

 

 無言の腹パンってその前に鍵括弧がある時点で無言ではないような気がするよね。まあ実際には殴る時点では無言で殴って相手が気絶したり反応がなくなったりした後での言葉だからおかしくはないんだろうけど。

 そしてロンはいつの間にか現れていたハリーさんにどこかに連れていかれていった。とりあえずロンのこれからの人生の前途が幸多きものであるように祈っておこうかな。祈る対象ハリーさんだからご利益あるよ? 只今怒ってるのもハリーさんだから結果的にどうなるかはわからないけどね。

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。