ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
ホグワーツはヴォルデモートにとっても重要な場所のはず。何しろここを抑えてしまえば未来の大人たちを自分たち色に教育することである程度根底の思考を誘導できたりするはずだからね。それを狙ってわざわざ魔法族の全部の家庭にホグワーツでの教育を受けることを強要する法まで作ったはずだし。
だと言うのに、何故かホグワーツには簡単に入ることができてしまった。普通に考えれば壁を作ったり呪いで侵入者を殺したりしようとしてもおかしくないはずなのに。
「……罠、かしらね」
「具体的に、どんな罠だと思う?」
「死喰い人達は私達を見つけられないままだったわ。けれどそれは逆に言えばあちらの戦力はほぼ丸々残っているということ。そして私達がこっそり動いて行動している限り、あちら側は重要な場所にいくつも人を分けて配置しなければいけない。つまり、決戦ができなくなってしまう。
だからこそ、潜在的な敵を全てホグワーツに集結させることで後顧の憂いを断ち切る方法を取ろうとしているんじゃないかしら。ホグワーツに集まった味方以外を皆殺しにすれば、残るのは自分たちの味方だけでしょう?」
「……麦粒を大きさで分けるとき、笊を使わず目で見てやると見逃しも多いけどちゃんと笊を使うと見逃しは無くなる、代わりに一度の労力が大きくなる、みたいな話?」
「すっごい雑だし大分あってないところもあるけどもうそれでもいいわ」
ついにハーマライデンが説明を放棄した!いやまあロンのとぼけた言葉に一々突っ込んでる時間が惜しかったんだろうとは思うけどちょっと乱暴と言うか雑じゃない? あと、そういう風にたとえ話に使うんだったら麦粒の選定じゃなくてネズミの駆除とかそういうのにしておいた方がいいと思うよ? 麦粒は動かないけどネズミは動くからね。
……でも、ネズミかぁ……懐かしいね。小さい頃にはダドリーのお古を灰色に染めた服ばっかり着てたからよくドブネズミって呼ばれてたっけ。ドブネズミにしては痩せすぎてると思うんだけどなぁ……ホグワーツに来てから少しお肉はついてきたけど、それでも身長から見た平均体重を大きく下回ってるみたいだし。
そう言えば、いろんなあだ名で呼ばれてたっけ。昔はいちいち気にしていたけど、今となってはもう心の底からどうでもいい。どうせこれから先で会う事もないような相手だし、そもそももう相手の顔も名前も覚えてないしね。
「多分だけれど、私達がホグワーツに来たことが知られたらすぐにここが戦場になるでしょうね。どれだけの数の死喰い人がやってくるかはわからないけれど、間違いなく誰もが複数人の人間の命を奪っているだろう歴戦の猛者。わざわざ真正面から相手にするとこちらの被害も大きいでしょうから、こちらの有利になるように色々場を整えておかないといけないわね」
「あれ? 一応聞くんだけど、もしも『例のあの人』がもう既にホグワーツに陣取ってたらどうなるのさ? ホグワーツの校長は『例のあの人』の信奉者なんだから、ホグワーツの防衛機構とかだって好きに動かせるだろ?」
「残念でした。ホグワーツの校長の座は魔法省だろうが干渉できないんです。魔法省を支配してホグワーツの校長の席に誰かを付けたとしてもそれは対外的なものにしかならないからそれをされた本人は校長室に入ることもできないの」
「ハリーさんは?」
「……あれはほら、ハリーだから。ね?」
「「わかる」」
だってハリーさんはハリーさん。常識では測れない何かを持っているよね。そもそも人間が生きていくのに常識というものを必要としないことを見せつけてくれると言うかなんと言うか。
つまりハリーさんはハリーさんと言う事だね。もうそれしか言えないや。
そんな話をしている間に、ホグワーツに到着してしまった。どこからも邪魔が入ることも無く、そして私達の侵入を知らせるような魔力の動きも無く……いったい何を考えているのか全く分からない。
でもそれは今に限れば好都合。とにかく目的はレイブンクローの髪飾りに入れられた魂を砕くこと。そうすることでようやく相手を殺せるようになるわけだ。相手を倒すために様々なものを探して壊していく必要があるとか、昔ダドリーがやってたマグルのゲームみたいだよね。まあダドリーは謎解きが全然できなかったし癇癪持ちだったからまともにクリアできなことなんて一度もなかったんだけど。
と言っても、クリアしたところを見る以前に私はダドリーに近付くことも無かったからゲームで遊んでいるところもほとんど見たことなかったんだけどね。私がはっきり見たことがあるのは、癇癪を起こしたダドリーが八つ当たりをして壊されたんだろうゲーム機の本体とテレビが転がっているところくらい。ちなみにその後なぜか私のせいにされて食事を抜かれた。
……なんで私はこう言うことばっかり覚えてるんだろうね。不思議。
それはともかく、ヴォルデモートがこの状況をゲームだと思っているのであれば、なんらかの形で私たちが勝利する道が残されているはず。他人の不幸が蜜の味っていうタイプじゃなかったはずだから、多分自分が面白いと思ったことに従って行動しているんだろう。ハリーさんとよく似てるね。
まあ、面白いと思う内容が『既に出口のない迷路の中に放した虫が自由になることを夢見てありもしない希望に向かって必死に進んでいくのを上から眺めて悦に浸る』とかそういうのじゃなければいいなと思う次第で。
魔法界に来て思ったことは、魔法族もマグルも案外変わらないということ。結局個人によって色々なのがいるし、本人の属している社会の中でのステータスで相手を見るのも変わらない。人間はどこまで行っても人間なんだね。ハリーさん曰く魔法族とマグルは実質的には別種族らしいけどさ。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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