ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
六つ存在する分霊箱の最後の一つ、レイブンクローの髪飾りを求めてホグワーツに向かっていた私たちは、突如地底人と遭遇した!
「誰が地底人だよ誰が!?」
「いきなり地面の下から現れてその言葉は通らないんじゃないかな? それにグリンゴッツからこの場所まで地面の下を通ってきたんでしょ? どう考えても地底人」
「ちゃんと地上にいるだろ!?」
「それだと地下鉄道を使うマグルは全員地底人になるわよ」
「突っ込みどころはそこじゃないような気がするんだけどなぁ!?」
「そうね。それより気合でなんとかしてきた?」
「してきたよ!なんかハリーさんに寝起きの拳を受けそうになった時よりだいぶマシだったのがマジで怖かったけど」
私としてはハリーさんの拳を受けそうになるという事実そのものが恐ろしすぎて大変なんだけど。マルフォイもそうだけど、ロンってよく生きてられるよね。私ならハリーさんに嫌われそうになったらそれこそ生きていけない気がするよ? マジ怒りされたら多分状況とかそういうの全部頭からすっぽ抜けてひたすら『ごめんなさい許してください嫌いにならないでください』って感じの言葉を連呼するだけの人形になる自信しかないよ?
「信じてたわよロン。撫でてあげるからこっちに来なさい」
「……僕はもう子供じゃないんだけど?」
「いいから来なさい」
「……はい」
結局撫でられに行っちゃうんだねロンは。ハーマイオニーにはやっぱり勝てないか。仕方ないねハーマイオニーだもの。ハーマイオニーの母性は凄いし。
あ、母性が凄いって言っても母性(物理)じゃないから。いや母性(物理)の方も凄いんだけど。比較対象が私じゃなくても凄いよ?
ロンは大人しくハーマイオニーに抱きしめられながら頭を撫でられている。ハーマイオニーにとってはこれは仲の良い相手にやるスキンシップだって言うのが本当に可哀想。ロンもマルフォイもほんと可哀想。ちなみに私もやってもらったことあるけど凄い落ち着くの。私が同じことをやってみるとちっちゃい子供の背伸び感が凄いって言われる。同い年なんだけど?
「……さ、次に行きましょう」
ハーマイオニーはそう言いながらロンを放す。ロンは名残惜しげだけど、ハーマイオニーはそれに気づいているのかそれとも気づかずスルーしているのか分からない。どっちの可能性も十分あり得るんだよね。だってハーマイオニーだし。
でもハーマイオニーの言葉には賛成。次の目的地はハリーさんの居るはずのホグワーツで、最後の一つの分霊箱を見つけて破壊しないといけない。もしかしたらハリーさんがもう壊してるかもしれないけれど、それならそれで壊したっていう証明が欲しい。
……そう言えば、分霊箱を壊した後のものっていうのは別にその性質を受け継ぐわけではないらしい。分霊箱は分霊箱である限り物理的な損傷を受けることはないけれど、分霊箱として壊れてしまうと普通に傷がつくようになる。グリフィンドールの剣だって、ゴブリン銀で出来ているけど分霊箱として壊してしまうとかなりの高温が必要ではあったけど溶けたもんね。
「私の知ってる内容に推測を加えたものでよければ聞く?」
「ハーマイオニーがついに体重とか体型に関わらないことで心を読んでくるようになった……目も合わせてないのに……でもお願い」
「わかったわ。
分霊箱、ホークラックス。術者の魂を引き裂き、引き裂かれた魂の一部を封印することで肉体が滅んだ後に現世に留まることができるようになる闇の魔術ね。これに関しては残機ではなく、それが残っている限り時間と手間はかかるけれど復活可能というある種のギミックとでも言えばいいのかしら。面倒な話よね。
作り方は術者にとって最悪の罪を犯すこと。命がある事を最も重く見る者であれば他者の命を奪う事で自身の魂を引き裂くことができるそうよ。必ずしも殺人を犯す必要はないそうだけれど、大抵の場合は殺人で魂を分割できるみたいね。
分霊箱が分霊箱たる最大の原因は、内部に保存された魂によるもの。魔法使い族の魂とは存在しているだけで魔力を生み出す炉のようなもの。その魔力の全てが分霊箱を守るために使われるからこそあれだけ頑丈になるわけね。
分霊箱を壊すのなら、内側の魂を壊す必要があるわ。バジリスクの毒で魂を腐り落とさせたり、『悪霊の火』で魂ごと焼き払ったり。それを考えれば逆説的にロンの拳は魂を砕けるってことになるわね。人間が生身で魂に干渉するなんて、ホグワーツはどんな魔境なのかしら。
ちなみに魔力を一切用いない完全な力任せでも壊せるけれど、その場合分霊箱になった元の物質と封じられた魂からくる魔力による強化と障壁によって生まれる凄まじいまでの強度を乗り越えなければいけないわ。しかも魔法的なものに対しては耐性があるから効果は非常に減衰するしね。
何が言いたいかというと、多分壊そうとすれば壊せるしもしかしたらもう壊し終えているのかもしれないけれど、壊した後ではそれが分霊箱だったものかどうかはわからないからどうしても確証が欲しいなら目の前で壊してもらうくらいしかないんじゃないかしら?」
「……とりあえず目の前で壊してもらうのが一番確信が持てるってとこだけはわかった」
「ロンは今度私と一緒にお勉強ね。今年の分の授業も受けてないし」
ハーマイオニー先生のハチミツ授業が始まるらしい。ロンも大変だね。フォイに殺されないようにしないと。
まあとにかく、私達はホグワーツに向かう。長く続いた戦いを終わらせるために。私の人生をめちゃくちゃにしてくれた、ヴォルデモートを殺せるようにするために。
ヴォルデモートを殺したら、私は一体どうしようか。今年一年分のホグワーツの授業を受け直す事はできるかな? 一年分ハリーさんと離れることになってしまったけれど、ハリーさんのいないホグワーツで私はちゃんと私を保っていられるだろうか。
ホグワーツの卒業資格は貰えるだろうか。授業をちゃんと受けてないともらえないと思うから、一年休学したことになるのかな? 自分を犠牲に世界を救うってそういう意味じゃないと思うんだけどなぁ……。
でも、多分卒業とかできないし、もしできたとしても勉強しないといけない知識が抜けてるから色々不便も出るよね。問題山積み、どうしようかなぁ……世知辛いなぁ……。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き