ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
ロンと別れて私とハーマイオニーは私が家族と暮らしていたというゴドリックの谷へ行くことになった。面倒なことになったなと思わなくもないけれどやらないともっと面倒なことになるから仕方ない。
ゴドリックの谷は見た感じ良い所なんだけれど、人が殆ど住んでいない。まあこんな山奥というか谷底と言うか、交通の便が悪い所に好んで住もうとする人なんて早々いる訳が無いからね。何らかの理由で隠れる必要がある人か、よっぽどの人間嫌いか、あるいは世捨て人か……まあそんなことはどうでもいいんだ、重要なことじゃない。重要なのはこの場所にあると言われたゴドリック・グリフィンドールの剣。それをぶち壊すことなんだから。
ちなみに壊すにはロンにお願いするかハーマイオニーが『悪霊の火』って言うのを使えばいいらしい。結構どころじゃなく難しい魔法のはずなんだけれど、ハーマイオニーは使えるんだとか。流石はハーマイオニーだね。
なお、ハリーさんが言うには私の場合食べてしまえば壊せるとかなんとか。私の胃袋って本当にどうなってるのかな……?
「そもそも人間が剣のような個体の金属を消化できる時点でおかしいのだけれどね? それが分霊箱ともなれば尚更そう」
「でもできるらしいよ?」
「それが人間としてはだいぶおかしいって話なんだけど……いやまあそれを言ったらロンの拳とかハリーの存在とかも十分どころか十二分以上におかしいことなんだけど」
なんだかハーマイオニーに私の存在そのものがおかしいと言われた気がする。若干自覚があるだけに何も言えないのがつらい。
それに、ハリーさんが一般的な魔法使いの一族やマグルからかけ離れているって言うのも間違いようのない事実だしね。……つまり、私とハリーさんはお似合い……?
「一応言っておくけれどその理屈だとエリーとロンもお似合いってことになるわよ。あとドラコともかしら」
「あ、うん、やめとく」
そっか。そう言うことになっちゃうのか。それにそれ以外にもハーマイオニーとハリーさんの相性がいいってことにもなっちゃうしね。実際割といいと思うけど、なんだか悔しいからなかったことにしておこう。悔しいから以外に理由はない。嫉妬は悔しいからに入れてあるから大丈夫。
……あ、そう言えば分霊箱ってヴォルデモートの魂が封じられてるんだっけ。じゃあ絶対食べないようにしよう。お腹壊しそう。
でもそうなるとどうやって壊すかが問題になってくるね。ロンとハーマイオニーは壊せるのに私が壊せないって言うのは少し嫌だ。みんなができて私だけできないのも、私だけができてみんなができないのも嫌だ。特別というのは怖い。けれど特別でなければ生きていけなくて特別であったから私は特別にならなければいけなくなって……ああ、どうしよう。考えすぎてお腹がヘッタ。
ハリーさんに持たせてもらった鞄から食べ物を出して食べる。体だけでなく心も温めてくれるはずの美味しい料理の数々を、私はただ貪るように消費する。
食べるのはやめられない。だって食べていないと怖いのだ。物を食べている時だけは私は幸せでいられるのだ。土でも虫でも口に入れて、飲み込んで、身体の中に取り入れて。
食べて、食べて、食べ続けて。食べたものの重さで私の体重が三割くらい増えた頃になってようやく私は食べるのをやめた。お腹いっぱいだ。幸せだ。お腹一杯に食べたのだから私は幸せなんだ。そうに違いないしそうに決まっている。そうじゃないわけがない。
「……満足した?」
「うん。おいしかったよ」
「…………そう。だったらそういうことにしておくわ」
あははは。ハーマイオニーは相変わらず鋭いなぁ……ロンやドラコの気持ちには気付いてないのにね。言わないけど。
「あとあまりにも夢中になって食べてたからゴドリックの剣を混ぜといたわ。残さず食べたわね」
「なんで食べさせたの!? というかいつの間に見つけてきたの!?」
「散策したら五本ぐらいあったから拾ってきたの。どれが本物だかわからなかったけれど『粉々呪文』で粉々にならなかったものだけ出したわ」
「つまりそれ本物だね?」
「そう思うわ」
……うん、前向きに考えよう。私のこの場所での目的は済んだのだから、これからロンと合流できる、と。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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