ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
夢を見ている。
誰にも気づかれていないのか、それとも気づかれているのに無視されているのか、私はどこかの誰かの夢を見ている。
いや、そもそもこれは夢なのか。夢でないとしたら何なのか。記憶かもしれないし、あるいは妄想の中にいるのかもしれない。そして、これは多分私の記憶ではないし、私の記憶ではない以上私の夢でもないはずだ。私には占いの才能はないし、未来予知なんてできると思わない。
だからこれはきっと私では無い誰かの記憶か、あるいは夢の中なのだろう。
私が視覚の主として見ている誰かは、多くの人間たちに囲まれている。男もいるし女もいる。その誰もが『誰か』を崇拝しているのがわかるし、『誰か』も当然のようにその崇拝を受け取っているのがわかる。
けれど、何かがおかしい。私は誰もに平伏されるような存在ではないし、私と繋がりがあってこうして平伏されるような存在なんていないはずだ。ハリーさんならワンチャンあるけど、残念ながら……いや別に残念でもないけれど、ハリーさんはこうして平伏されることを望むような人じゃないことを良く知っている。
……え、待ってほんと誰? 全然わからないんだけど。
「我が君」
突然、私が……いや、『誰か』が呼びかけられた。『誰か』がそちらに振り返ったらしく、視界が移動する。
そこに居たのは、どこかで見たことのある女の人。凄く性格が悪そうな顔の……ああ、思い出した。前にハリーさんのカフェで会ったベラトリックスだ。
……ってことは、この『誰か』って……バルバモート?
「どうした、ベラ」
「準備が整いました。現在、魔法省に努める全職員が『服従の呪文』の支配下にあります」
「そうか。よくやった。これで騎士団の連中も大人しくならざるを得ないだろう」
「はい、鬱陶しい蠅を落とせたような気分になります」
これがもしも本当のことだとするならば、私の下にダンブルドアの形見がやってきたのは本当に幸運なことだったのだろう。もう少しバルバモートが魔法省を掌握するのが早かったなら、間違いなく私の下に来ることはなかっただろう。
けれど、同時に非常に厄介なことになったのがわかる。魔法省が管理している移動手段である『煙突飛行ネットワーク』が完全に向こうの手に落ち、さらに『姿くらまし』による移動も位置がばれてしまうようになったということなのだから。
こんな中であと三つ、分霊箱を見つけ出して壊さなければいけないというのだから本当に大変だ。ハリーさんなら詳しい場所を知っているかもしれないけれど、なんでもハリーさんに頼り続けているといつかすごいしっぺ返しが来そうな気がするからほどほどにしておかないと。
誰にも知られないように、グリンゴッツ銀行にあるはずのハッフルパフのカップと、ホグワーツにあるはずのレイブンクローの髪飾り、そして魔法省から帰ってこなかったグリフィンドールの剣を探し出して、壊す。日刊預言者新聞によって私の顔はおよそどこの誰にでも知られているだろうし、直接の視認を避けながらも『姿くらまし』などが一切使えない。
ただ、魔法省の感知と言うのはあくまでも人間の魔法使いを対象としたものであって、人間以外の、たとえば屋敷しもべ妖精などの魔法は正しく感知することができないらしい。
できることならそういうことができる相手の力を借りたいところだけれど、私が知っているのはドビーとウィンキー、そしてクリーチャーくらいのものだ。そのうちクリーチャーはハリーさんの下を離れたがらないだろうし、他の二人にしても明らかに命の危険がある旅に連れて行くというのはどうかと思う。
結局、箒を使うか魔法生物に乗るかしないとまともに移動もできなくなってしまうわけだ。
……あ、マグルの乗り物に乗るって言う手もあるかな? ある程度のところまでは結構ごまかせそうな気がする。これも考慮に入れておこうかな。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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