ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
167-B
side エリー・ポッター
世界はこの一年で大きく変わった。いや、一年と言うか、ある一日を境に急激に変わり始めていると言うべきだろうか。
ホグワーツが襲撃を受け、ダンブルドアがバルバモートに殺されたあの日。あの日から一月の間に、魔法界は大きく姿を変えた。
魔法省のトップだったファッジは姿を消し、様々な部署の部長が首をすげ替えられるか『服従の呪文』によって操られていた。これによって魔法省はバルバモートの手に落ち、煙突飛行ネットワーク等は殆ど使えなくなってしまった。正しくは『使えないことはないけれどいつ誰がどこからどこに移動したのかがバルバモート側に一瞬で伝わる』ようになってしまったせいでどうにも使えない。使ったが最後、私の居場所がすぐにばれてしまうために使えなくなってしまった。
まあ私は『姿あらわし』ができるからそこまで問題にはならないのだけれど、正直面倒だ。
なお、ハリーさんはどうしてかバルバモートに敵視されていないらしい。ヴォルデモートをヴォルデモートからバルバモートに変えたからだとか言っていたけれど、ハリーさんだからと言う理由の方がしっくり来る私はもしかしたらもう駄目かもしれない。
……でも、なんだろうね。ハリーさんだからって理由の方が正しいような気がする。なんの理由もないけれど、ただひたすらにそれだけである気がする。ありとあらゆる意味で、ハリーさんだからという感じがする。理由はわからないけどね。
私はそんなことを考えながら、魔法省が最後に送ってきたダンブルドアの遺品を見つめていた。
私に送られてきた『初めての試合で私がキャッチしたスニッチ』。ロンに送られてきた『火消しライター』。ハーマイオニーに送られてきた『吟遊詩人ビードルの物語』。そして、ここには無いけれど『ゴドリック・グリフィンドールの剣』。ダンブルドアの遺品として送られてきたそれらの品は、正直まだ使い道がわからない。あのダンブルドアが遺品として遺すくらいなんだから必ず何か意味があると思うんだけど……。
「あまりにも情報が足りないわ。何かの意味があると言うのはわかるけれど、なんの意味を持つのかは全然わからない」
「ハーマライデンですらわからないのか痛い痛い痛い」
「ハーマライデンはやめなさいと言っているでしょう」
ロンとハーマイオニーがじゃれあっている間にも色々と考える。今まで意図的に考えないようにしてきた事まで考え直す。
ダンブルドア曰く、選ばれし者である可能性を持って産まれたのは三人いたと言う。一人は私。一人は私の兄。そしてもう一人はネビルだと。
全員が同じ日に産まれ、全員が魔法使いと魔女の間に産まれた。私のお母さんはマグルから産まれたけれど、それでも魔女であることに変わりはない。
そしてヴォルデモートは、私と兄を選ばれし者だと思っていたのだろう。もしかしたら私と兄は二人いたからまとめて始末して、それからネビルも殺すつもりだったのかもしれないけれど……とにもかくにも私は生き残り、ヴォルデモートは力を失った。だからこそ私は選ばれし者だと言われている。
けれど、実際のところはどうだろうか?
確かに私はホグワーツに入学してから何度もヴォルデモートに狙われた。しかし、それらを防いだのは私ではなくハリーさんではなかっただろうか。
賢者の石を欲するヴォルデモートと、ヴォルデモートに取り憑かれたクィレルを追い払ったのも、バジリスクのいる秘密の部屋に拐われたジニーを助け出してくれたのも、シリウスがアズカバンに居るのが冤罪によるものだと証明してくれたのも、ヴォルデモートが復活したことを即座に知らせてきたのも、全部ハリーさんだ。
私は、自分が本当に『選ばれしもの』なのかわからなくなっている。むしろ、初めからそんなものじゃなかったのではないかと思うくらいだ。
次にハリーさんと会ったら、聞いてみよう。私は予言にあった『選ばれしもの』なのかどうか。きっとハリーさんなら知っているだろうし、教えてくれるだろう。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き