ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
ホグワーツに来てからは毎日が楽しい。呪文学で習った妖精の呪文でふわふわと羽を浮かせることができたのも楽しかったし、変身術でマッチ棒を針に変えようとしたものを失敗して針とはとても呼べないものになってしまったりしたのをみんなで笑うのも楽しかった。
薬草学では今まで見たこともない植物を見て、触れて、そして学べる。その事自体が楽しかったし、魔法薬学では様々な材料から正解の道を探っていくのも楽しかった。先生方もおよそ大体優しい人ばかりだったし、本当に、私はホグワーツに来ることができてよかったと思う。
……ただ、一つだけ問題がある。ハリーさんの事だ。
ハリーさんは基本的に謎の人物だ。それは同じ寮で暮らしている私達にとってもそうだし、別の寮の人達にとっては余計にそうなんだろうと思う。
しかしハリーさんは目立つ。容姿等ではなく、ただひたすらに行動が目立ちすぎるほどに目立っている。
例えば私がさっき挙げた授業では、ハリーさんは基本的に大体の魔法を一度で成功させる。一度で駄目だったところは見たことが無いし、多分これからもあまり見ることはないのだろうとそう感じるほどに冷静に杖を振るう。
時々杖が変わっているようにも見えるけれど……と言うか、何度か使うとすぐに別の杖に変えてしまうようだけれど……一体ハリーさんは何本の杖を持っているのか。そして、どうしてそんなにころころと杖を変えるのか。私にはわからないけれど、きっと何か理由があるんだろう。
ちなみに直接聞いてみたところ、
「杖の忠誠心が変わらないように使う杖を変えているんだ。実のところほぼ全部の杖に情報の共有化を行っているから、一つを使っていればいいんだけどな」
と言っていた。
杖の忠誠心と言うものがなんなのかはわからなかったけれど、私もとりあえずハリーさんに倣って最低でも二週間に一度は杖を綺麗に磨いてあげることを習慣付けるようにしている。
そしてハリーさんは、植物の扱いもぱぱぱっとこなす。本人は慣れているだけだと言っていたけれど、多分それ以上に器用なんだろう。
あと、ハリーさんの受ける魔法薬学の授業は色々と空気が最悪に近い。なぜかスネイプ先生はハリーさんの事を凄まじく嫌っているし、ハリーさんはハリーさんでスネイプ先生の事をかなり乱雑に扱っている。
正直、いくら黙らせるためと言っても地下牢の床に杖を奪った状態で垂直落下式ブレーンバスターは無いと思います。石でできた床と一緒にスネイプ先生の頭がかち割れていたような気もしますし。
なお、床はハリーさんの魔法で一瞬で修復されました。
……スネイプ先生のハリーさん嫌いも相当のものだと思いますが、ハリーさんのスネイプ先生嫌いも凄まじいものがあります。スネイプ先生もハリーさんも、お互いのなにがそこまで気に入らないのでしょう?
ちなみにこの事も聞いてみたところ、
「別に嫌いじゃないぞ? この学校で一番信用している存在だし。ある意味森番殿よりも信用してる」
と言う答えが返ってきました。何故信用している相手なのにそこまでの事をするのだろうと聞いてみれば
「悪意には悪意を、誠意にはそこそこの誠意を、善意には物によっては善意を、物によっては殺戮を」
と。
……『殺戮』って言うのは冗談だと思いたいです。ハリーさんの事ですから、正直かなり望み薄ですけどね。
あと、私でもやる気が出なかったのは『闇の魔術に対する防衛術』の授業。なんだか先生からも教室からも妙な臭いがするし、ハリーさんは楽しげにクィレル先生の杖を取り上げては教卓の上からカーフ・ブランディングやらパワーボムやらと言った後頭部に打撃を与える技を多用していますし、授業以外でクィレル先生の事を見かけようものなら、どうやったのかわからないけれど壁にターバンを巻いた人型の穴が空いたり閉じたりを繰り返すようにもなっている。
だから闇の魔術に対する防衛術の評判はすこぶる悪いし、ハリーさんはなぜかそれを一度も咎められたことがないと言う、まさに(クィレル先生にとって)悪夢のような出来事となっている。
クィレル先生にハリーさんが何をやっているかと言う話はそれ以外にも色々あるけれど、そこから先は割愛させてもらうことにして……その他にも管理人のフィルチもハリーさんの被害者だったりする。
なにしろハリーさんはいつでもどこにでもいる。どこで規則違反をしていても見つかる寸前に消えていなくなってしまえばそれを咎めることはできないし、偶然見付けたとしても証拠は無い。魔法の痕跡も無ければその証拠もない。ハリーさんは一般的に二ヶ所以上に同時に存在できると言うのが、一年生の中での通説だった。
だが、そんな中でも被害をほとんど受けていないものもいる。例えばハーマイオニーはただハリーさんに話を振って一緒に勉強していれば被害はあまり無いし(ただしツッコミ強制はあり)、魔法史のビンズ先生の授業ではハリーさんが起きていたところを殆ど見たことがない。授業開始時に一瞬ペンが消えて、その日の範囲の書き取りが終わっているところからしてハリーさんは時を自在に操れると言う話がまことしやかに噂されているが、真実かどうかは定かではない。
そしてなんとも驚くことに、ピーブスもあれ以来被害は受けていないようなのだ。ハリーさんにちょっかいを出すのをやめた事で、被害を受けないようにしているらしい。そのお陰で生徒はハリーさんの近くに居ればピーブスの被害を受けない事を学んだりもした。
……そうだ、ある意味一番の被害者を忘れていた。
ドラコ・マルフォイ。ハリーさん曰く『フォイ』。あまりにもフォイフォイフォイフォイフォイフォイフォフォイと呼ばれすぎたせいで、たった一月程度の時間で自分のちゃんとした名前が『ドラコ・マルフォイ』であることを忘れそうになり、私に深刻そうな顔で相談に来たことがある。
なぜか私がハリーさん被害の相談窓口みたいな扱いをされているような気がするけれど……まあ、ハリーさん被害は割と深刻だから仕方無い。
ちなみにマルフォイには
「受け入れて若干苦労する方向か、諦めてそれなりに苦労する方向か、あるいは最後まで逆らって結局報われない方向があるけど……どうする?」
と聞いたらその場でしくしくと子供のように泣き出した。いや、子供だけれど。
少なくともハリーさんを止められるものは存在しない。私が知る限り、ダンブルドア先生でもないと止められるかどうか……。
悲しいね。うん。
ハリーが何も言われない理由。
↓
ハ「ねーねーこの『半純血のプリンス』さんからリリーって人へのラブレターが沢山あるんだけどさー、誰のか知らないー? ねえ知らないー?」
ス「ぬぐぅ……」
ハ「……それはそれとして、こんなところに娘っ子が美味しそうに料理を頬張る写真が!その他にも色々あるよー?」
ス「…………(ゴソゴソ……)」←変装中
ハ「一枚5シックル、お買い得?」
ス「……全種二枚ずつ貰おうか……」
ハ「あ、これ実はランダムパックに三枚だけシークレットが……」
ス「全て買ってやろうではないかぁ!」
ハ「流石は半純血のスネイプ先生!」
ス「ふははははは…………ハッ(゜ロ゜)!」
ハ「……聞いちゃった聞いちゃった~♪」(ニヤリ)
こうしてスネイプは更に弱味を握られましたとさ。
次回作は……?
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