ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
無言呪文でグリンゴッツのゴブリンたちを支配していく。正直に言って、こんなに簡単に落とせるとか思ってもいなかったので実はここグリンゴッツに似せて作った別の場所なんじゃないかと言う意見が出てくるくらいだった。物凄い楽。
グリンゴッツの不落っぷりとか鉄壁っぷりとかは噂を通り越して歴史にすらなっていたと言うのに、なんだろうこの簡単さは。『ブロック塀だと思って殴ったら発泡スチロールだった』みたいなやるせなさを感じる。
しかも扉の方も一度ロンが吸い込まれたけど殴って出てこれたし、中身を守る魔法もハーマイオニーが杖を振ったら簡単に解除できてしまった。……ここ本当にグリンゴッツ銀行なんだよね? クリンコッス子供銀行でしたとかそんな落ちはないよね?
「……ここでございます」
「ありがと」
普通に到着してしまった。何度も聞くけどこんな簡単で良いの? ほんとに? 嘘じゃなくて?
「じゃ、開けて」
「鍵がありません」
「ロン、開けて」
「『
バガァンッ!と派手な音をさせて扉が塵になった。これが拳によるものだと言うんだからロンは怪人扱いされるんだよね。エリー知ってる。
文字通りの意味で粉々になった扉だったものを踏み越えると、そこにあるのは山になった金貨や宝石。あとはよくわからない絵とか美術品だと思われる何かが所狭しと並んでいた。
私にはその価値がよくわからないものがたくさんあるけれど、今一番大事なのはハッフルパフのカップだ。あれを悪霊の火で燃やすかバジリスクの毒で穿つかロンがキワミしないと壊れないはずだからね。逆説的に、それ以外の方法で壊れたら偽物ってことになるんだけど、まあハリーさん情報だし間違いはないでしょ。多分。
「で、どこだ?」
「たぶんあれね。わかりやすいこと」
「目立ちたがり屋の集まりだし、大事なものを目立たせておきたいんじゃないの?」
まあ、とりあえず壊してみようか。
無言で粉々呪文を使ってみたけれど、そのカップは小揺るぎもしない。どうやら間違いなく私たちの目的の品であるハッフルパフのカップであるらしい。分かりやすいのはありがたいね。
それじゃあ後は簡単。悪霊の火を使ってカップと、ついでに美術品や宝石も焼いておく。ここにカップがあるってことは、ここは間違いなくベラトリックス・レストレンジの、つまりはヴォルデモートの信者の金庫ってことだからね。焼いちゃえ焼いちゃえ。敵の資金は奪うか焼き払うかだけど、今回に関しては残念ながら奪ってる暇はなさそうだからね。なら焼いて使い物にならないようにしておくべきだ。食べられないし。食べられるものだったら喜んで食べた所なんだけどねー。
……いや待てよ? 誰が食べられないと決めたんだ? 食べられるかも知れない!
「いやいや待ってエリー無理だから絶対無理だから待ちなさいエリー」
「金属は流石に無理だろ!? それも分霊箱だぞ!? 食えたとしてもバルバモート味だぞ!?」
「あ、それは嫌かも」
不味そう。あとなんか変に汗臭そうな気がする。ハリーさん曰く筋肉モリモリマッチョマンのハゲらしいし。ハゲが駄目とは言わないけど、正直ハリーさん以外はお断りかな。食べるだけなら別に相手が動物だろうと植物だろうと人間だろうと気にしないけどさ。食べちゃえば同じ蛋白質と脂肪だし。
「……ロン、悪いけどエリーがまた変なものを食べようとする前にさっさと壊しておいてくれないかしら」
「わかったよ」
パァンッ!と弾けるような音がするとほぼ同時に、ハッフルパフのカップが砕け散る。これでここでの用事は終わったし、さっさと帰ろうと思う。と言うかもうほんと帰りたい。お腹好いた。なんでもいいから食べたい。それこそゴブリンでもいいから食べた───
……食べればいいのか。
「だから待って流石に言葉が通じる相手を食べるのは駄目よ」
「犬だって慣れればある程度人の言葉を解するけど、食べる人は食べるよ? 犬のステーキとかあるし」
聞きたくなかったとか言われても知らないよ、聞いたのはハーマイオニーだし。……ん? 聞いてなかったっけ? 勝手に私が言っただけかな?
まあいいや。頑張って練習して身に付けたハリーさん式の姿くらましでさっさと出よう。入るのは場所がわからなかったから無理だったけど、出るんだったらできると思うし。
ちなみにハリーさんは正確には魔法生物式とか言っていた。ドビーみたいな屋敷しもべ妖精とかが使う魔法らしいけど、なんでハリーさんはできるんだろうね。いや私もできるようになっちゃったけどさ。
「え、なにそれすごい。私もできるかしら?」
「やってみれば?」
「……あ、できそう」
「マジか。ハーマイオニーマジハーマイオニー」
「どういう意味かしら? 事と次第によっては殺すわ。具体的には内臓の表と裏を逆にして全身に消化液を垂れ流させて内側から溶かし殺すわ」
「こっわ!? なにそれ怖っ!? そんな呪いとかあるの!?」
「作ればあるわ。無ければ作ればいいのよ」
だからってそんな遠回しかつ無駄に痛みを与えながらじわじわと殺す呪いを作る? 殺すならさっさと殺しなよめんどくさい。長く生かしている間に何をされるかわかったもんじゃないよ? 苦痛と絶望を与えることが目的なんだったら話は別だけどさ。
「いいから早く出ようよ。やらなくちゃいけないことはまだ残ってるんだからさ」
「そうね。カップは割ったし」
作られたのは六つ。日記、ロケット、カップ、髪飾り、蛇から移った剣、中身は知らないけれどスニッチの中にあるもの。そして残るは髪飾りだけ。確か、ホグワーツにあるって言ってたっけ?
でも、今のホグワーツ怖いんだよね。怖いと言うか、危ないんだけど。なにしろ今のホグワーツはバルバモートに支配されてるみたいだし、先生方も多くは脅迫されたりしてるらしいし。ハリーさんがいればまあ大丈夫だとは思うけど、本当に大丈夫かどうかはわからない。
でも、なんだろうね。最終的にはみんなとってもシアワセな終わり方をしそうな気がする。私も含めてね?
そんなシアワセな未来のために頑張らなくちゃいけないんだけど、多分凄く歪んだ形にしかならない気がするんだよね。ハリーさんが求めた未来ならどれだけ歪んでいても狂っていても壊れていてもおかしくてもそれこそが正しい形だと言い切るけどさ。
あー、ハリーさんにめちゃめちゃにされたい。ストレスとか悩みとか全部吹き飛ばしてくれるくらいおもちゃにされたい。えっちい方でもいいけどからかわれる方でもいいよ!どっちにしろストレスはなくなるしね!
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き