ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 ヴォルデモート、と言う名前に呪いがかけられている。そう気付いたのはハーマイオニーだった。

 なんでも、その言葉が誰かの口から出る度に肌にピリピリとした妙な感覚が走って気持ち悪くなり、それが以前感じたことのある魔力の乱れによるものだと即座に気付いたらしい。いったいどんな感覚をしているのか不思議に思えてこなくもないけれど、それもまたハーマイオニー。ホグワーツ十怪人の三席は伊達じゃないらしい。

 ちなみに一席はマルフォイで次席がロン。ハリーさんはやっぱり殿堂入りでカウントされないそうだ。殿堂入りの時点で『ですよねー』としか思えなかった私を責める者はいないだろう。恐らく誰もがそう思ったはずだ。

 

 そんな訳で見事な策によって私たちの居場所がまたばれてしまったわけだけれど、すぐさまやってきた死喰い人をロンが物理的に地獄に落とし、ハーマイオニーが記憶を抜き取ってそのまま放置すると言う荒業に出た。記憶を抜き取られているから騒がれることもなく、また物理的に地獄に落とされたトラウマから二度とこちらに関わってこようとしなくなるだろうと予想が立てられるのも利点の一つ。何とも便利な技だと思う。

 ちなみに、記憶は『憂いの篩』で見るような銀色の糸のような形になっていて、単体ではちょっと見ることはできなさそう。つまり単体じゃなければ見ることはできそうなんだけど……どこになら憂いの篩があるのかはわからないから少し困る。ダンブルドア先生の部屋……今はスネイプ先生の部屋なんだっけ? まあとにかく、ホグワーツの校長室に行けばまず間違いなくあるだろうけど……この状況でホグワーツに行くわけにもいかない。八方塞がりっていうのはこういう状況なのかもしれないね。

 

「困った時にはまず一錠、木刀マークが目印の特性胃薬だ」

「あ、はい、いただきm……ハリーさん!?」

「おう、俺だ。ちなみにこの俺は胃薬の瓶に仕込まれた術式に記録されたことを娘っ子の質問に合わせて話すだけの自動返答装置なので難しい会話とか突拍子もない質問とかはNGな」

「結婚してください」

「駄目だっつってんだろ。ってか一発目の質問から飛ばしてくんなよ」

 

 その『飛ばした質問』にも平然と回答して来てる時点でハリーさんの掌の上にいるってことがわかるんだけど、その辺りは触れないでおく方がいい気がする。触れたらなんだか今以上に大変なことに巻き込まれそうな気がするし……。

 

「じゃあ結婚してください」

「だから駄目だっつってんだろなんで同じ質問連発した」

「連発することがわかってて私の質問に対する答えを用意しておくハリーさん流石です結婚してください」

「次同じ質問したらダンブルドアから預かった指輪砕いて土星の輪の中にばらまいてくる」

 

 それは流石に困る。そんなことになったら溜めに溜めたバルバモート殺そうポイントをどうやって発散したらいいのかわからなくなっちゃうじゃないですか。とりあえずこの質問はここまでにしておく。

 でも、結婚以外にも聞きたいことは山ほどある。それこそ魔法省の内部の事とかバルバモートの殺し方とか色々ね。

 

「じゃあ、ヴォルデモートはどうすれば死ぬかを教えてください」

「殺せば死ぬ」

「……殺す手順を教えてください」

「分霊箱を全部砕いて本人殺せば死ぬ。前にも言ったと思うけどな」

「現存する分霊箱はいくつですか?」

「三つだな。カップと髪飾りと剣だ」

「……あれ、蛇じゃありませんでしたっけ?」

「本人に会ったついでにグリフィンドールの剣でぶった切ったら剣が魂を喰らって分霊箱になった。確かにあれは強化にはなるがどうなんだろうな」

「……で、その剣は?」

「持ってるだけで魂が色々語りかけてきてうざかったから折っておいた。分霊箱としての効果は失われてないから今ここでさっさと壊してくれると嬉しい」

 

 そうして差し出されたのは、なんかすごいキラキラしている綺麗な剣。ただ、縦に真っ二つに割れていた。

 

「ほれロニー坊や。ぶっ壊してくれ」

「……え、あの、これ売ったらいくらくらいに……」

「時価だよ。少なくともガリオン金貨で数十万枚になるのは間違いない。だが今じゃ壊れてるからせいぜい金貨数千ってところだろうよ」

「なんでそんな高価なものを僕に壊させようとするんだよ!? 弁償とかできないぞ!?」

「いいからやれ。そもそもこんな危険物売れねえよ」

「アッハイ」

 

 ロンはいつも通り「フタエノキワミアッー!」という掛け声とともに拳を振り下ろし、グリフィンドールの剣を粉々になるまで粉砕した。人間のコブシは鍛え上げればあそこまで硬くなるということに少し驚いたけれど、まあロンだしそれも当たり前だと思いなおす。だってロンだしね。

 でも、これで残る分霊箱は二つ。ハッフルパフのカップと、レイブンクローの髪飾りのみ。これさえ壊してしまえば、後はもう正面から戦って勝つだけでバルバモートは死ぬようになる。

 

「……なんと言うか、冒険って気がしないんだけど」

「冒険よりも命のほうが大事でしょ。で、次はどうすればいいかしら?」

「グリンゴッツだな。ある金庫の中にカップがあるからそれを壊して、それからホグワーツだ。決戦はホグワーツのほうが都合がいいだろうし、順番は変えないことをお勧めするよ」

 

 ハリーさんはそう言うと胃薬の瓶に吸い込まれるように消えてしまった。……ほんと、ハリーさんはいったいどれだけ仕込みをしているのやら。実は世界そのものがハリーさんのおもちゃで、ハリーさんはただ遊んでいるだけだって言われても納得できちゃいそうだよ。

 ……まあ、いくらなんでもそれは無いと思うけどね。ハリーさんが生まれる以前からこの世界は存在しているはずだから、ハリーさんがこの世界をおもちゃにしているということはあっても、ハリーさんがおもちゃとしてこの世界を作ったなんてことはないはずだ。

 

 ……多分ね。

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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