ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

173 / 199
172-D

 

 side エリー・ポッター

 

 結婚式は半分成功したような、失敗したような状態で終わってしまった。

 確かに途中までは盛り上がったし、楽しくもあった。

 けれど、突然そこに現れた死喰い人達によって滅茶苦茶にされてしまった。

 

「なにやってくれてんだオラァ!」

「結婚式の邪魔とかふざけんなよオラァ!」

「いい度胸してんじゃねえかオラァ!」

「「「ヤロォォブッコロシタラァァァァ!!」」」

 

 ……うん、まあなんと言うか、死喰い人は結婚式を無茶苦茶にしたけれど、死喰い人はその場にいたフレッドやジョージ達に滅茶苦茶にされてしまっていた。物理的にボコボコにされて、その身体にいくつか人間の身体に在っちゃいけない凹凸が出来上がっていたと言う所で察してほしい。うん、ぼっこぼこなんだ。主に顔とか胸郭とかが。

 顔はともかく……いや、本当は顔もよくはないんだけどね? 眼底出血とか脳出血とかで色々危ないし、良いわけがないんだけどね? 胸郭はもっと直接的に命がやばい。具体的には折れた肋骨が肺に突き刺さって呼吸ができなくなって窒息して死ぬって感じで本当にやばい。

 しかしロン達はそんなの知ったことじゃぬぇ!とばかりにぼっこぼこにされて転がっている死喰い人を蹴り転がし続けている。あれだと死ぬまでどのくらいかかるか分かったものじゃないけれど、別に死喰い人だし死んでもいいかなと思い直したので放置しておくことにする。勝手に死ねばいい。私は止めない。どうせ誰かが止めるだろうしね。ウィーズリーおばさんとかが。

 

 さて、そう言う訳で結婚式はお開き。面倒なことになっちゃってるのは見ればわかるだろうし、とりあえず私はすぐにこの場所から離れることになった。この場所に死喰い人が来たってことは、バルバモートにこの場所がいつ見つかってもおかしくないってことだからね。危ない危ない。

 そんなわけで移動したんだけれど、今はそれよりも気になることがあって仕方がない。

 ロンの大おばさんであるらしいミュリエルおばさんから聞いた話では、ダンブルドア先生の妹がスクイブだったとか、その妹さんをダンブルドアのお母さんが殺したとか、そんな信じられないようなことをたくさん聞いた。今気になっているのは、その内容についてだ。

 

 ……もしも、それが本当の事ならば。ダンブルドア先生が私に色々なことを問い、色々なことを教えてくれたのはいったいなぜなのか。そんなことがあれば、普通は愛なんて信じなくなる。私にかけられているらしい古い古い魔法は、私のお母さんの愛情によって作り上げられている。愛情をもった魔法使いが、その愛のままに敵の魔法をその身に受けて命を散らすことで完成するその原始的な魔法は、他者を想う強い感情がきっかけとなって発現する。だからこそダンブルドア先生は私に愛と言う感情の強さを教えたのだろうと今までは思ってきたのだけれど、もしもダンブルドア先生が、初めから愛なんて信じていなかったとしたら……?

 

「エリー? 顔色が悪いわよ」

「……大丈夫。ちょっと変なことを考えちゃっただけだから」

 

 ……わからない事は沢山ある。信じていた物が間違っていたなんてことも普通にあった。

 なら、せめて間違っていようとも信じたい物を。たとえ騙されていたとしてもそれでもいいと思える相手の事だけは信じ続けて行きたいと思う。

 私の場合は、ハリーさんがそれにあたる。

 ハリーさんの言葉なら信じられるし、ハリーさんになら騙されてもいいと思える。ハリーさんになら、殺されてもいいと思う。ハリーさんになら、何をされてもいいと思える。

 だから、何も信じられなくなったとしても、ハリーさんの事だけはいつでも信じていこう。きっとそれで、私は最期まで『シアワセ』でいられるはずだから。

 『シアワセ』に生きて、『シアワセ』に死ねるなら―――きっと私の人生も悪くないものだったと言えるはず。誰に不幸な人生だと断言されようと、私の人生に文句は付けさせない。私は私だ。

 

 ……よし、頭はリフレッシュできた。暗いことばかり考えていてもどうにもならないし、今はすぐにでもできることを探して動くべきだ。もちろん、できることを探すために動き回るのではなく、できることを見つけるまではこっそりと隠れているのも忘れない。私が生きていることこそがバルバモートに対しての一番の反撃なのだから、基本的には私はけして死んではならない。死なずに、時を待ち、バルバモートを殺す。そうする必要がある。

 けれど、そんなことばかり考えていてもモチベーションが上がらない。そんな訳で、私がそれをできたらどんな結果が待っているのかを考えてみることにする。

 

 とりあえず、少なくともバルバモートが生きている限り私は結婚とかできないよね。よし、バルバモート殺そうポイント1000追加。

 それから、予言では私しかバルバモートが殺せないってことは、つまりハリーさんでも殺せないってこと。最悪殺されちゃうかもしれないんだよね。よし、バルバモート殺そうポイント1500追加。

 あと、魔法界は大変なことになるよね。今までお世話になった人たちもいるわけだし……バルバモート殺そうポイント2追加。

 そうそう、きっと平和にならないとロンとマルフォイとハーマイオニーの関係は進まないだろうし、早く何とかしないとね。よし、バルバモート殺そうポイント120追加。

 

 ……思ってた以上にバルバモート殺そうポイントの溜まりがいい。バルバモートはこんなにも私たちの生活の障害になっているんだと思うと、殺る気が溢れてくるね。バルバモート殺そうポイントに300追加しとこう。

 

 それじゃ、今日はもう疲れた。追手も来てないみたいだし、早目に寝ちゃおうかな。追手が来てもよっぽどの相手じゃない限りは返り討ちにしてあげる気満々だけどね。

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。