ハリー・ポッター ～ほんとはただ寝たいだけ～

170-D

　
　連続投稿十七話目。ハリポタ久しぶりすぎて七巻引っ張り出しましたわぁ……。

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　side　エリー・ポッター

　ハリーさんからの手紙が来て少しして、私の誕生日パーティーが開かれた。ウィーズリーおばさんやロンやハーマイオニーたち、そして騎士団のメンバーから沢山のプレゼントを貰いながらも、私はほんの少し考え事をしていた。

　ハーマイオニーに渡した手紙には、ロンへの手紙と似たようなことが書かれていた。今日の間に魔法省の大臣がそちらに行くだろうと言うことと、校長の遺品を受け取る際の注意事項、ついでにロンへ『物を受け取るときに余計なことは言うな。相手が勘違いするように柔軟に対応できるようにハー子に習っとけ』と言う伝言が残されていた。

　……きっと面倒なことになるんだろうけれど、まあ、ハリーさんが直接こっちに来ない時点で私達だけでなんとかできるだろうと言うことはわかっている。私も、ハリーさんの言葉の意味をよく考えて、相手に相手の知らない情報を極力渡さないように頑張ろうと思う。

「具体的には？」

「ハリーさんからの手紙に『予想される質問一覧』がこっそり同封されてたからそれを見て考える」

　と言うわけで封筒を逆さまにして振っても出てこなかったのに端を切って開いてみたら出てきたその紙の内容を読んでいく。その紙の出し方を教えてハーマイオニー達に教えたら、同じようにその紙が落ちてきたので一緒に読みながら。

　えっと……？

『予想される遺品リスト

　1.グリフィンドールの剣→魔法省が接収してくるだろうから無断で拝借して偽物とすり替えておいた。しかし、知らないふりをして自然に対応。

　例:『グリフィンドールの剣は渡さないよ？』『なんでや！』『国宝やん。ホグワーツ校長に預けとくわぁ』『仕方ないなぁ(かなりしぶしぶ)』

　2.金のスニッチ→中身は私が壊しておいた。分霊箱だよ、君。だから気にしなくても大丈夫。適当に躊躇いながら受け取って、何も起きないのを確認して『劇的な瞬間でしたね』とでも言っておけば大丈夫。

　3.杖(まず無いと思うが可能性として)→校長の使っていた杖。なお、この杖は勝者から勝者に渡って行くため、現在の持ち主はバルバモート。まず無いだろうが、受け取ったらその場でへし折ること。強力すぎるので敵の手に渡ったらまず負け確。

　質問に対しての答えは基本的に惚ける形に。また、あまり挑発しすぎると杖を向けてくることが予想できるのでやるなら非魔法的な方法でかつバレないようにやること。

　例1:スニッチを遺した理由はなんだと思うね？→非常食にでもなるものの方が嬉しかったんですけどね。

　例2:グリフィンドールの剣ならばスリザリンの後継者を打倒できると考えたから遺したのではないかね？→持ってないのでわかりませんね。試してみたらどうです？

　等々。

　それでは娘っ子。いい誕生日を過ごすといい』

　手紙はそう書かれ、そしてそれ以外には何も書かれていない。また、ちょうど読み終わったらしいロンとハーマイオニーも私と同じように微妙な表情を浮かべている。

「……ここまで読みきれるのは凄いけれど、『吟遊詩人ビードルの物語』って何かしら？」

「なんか『灯消しライター』を贈られるだろうって書かれてるんだけど、聞いたことない道具だなぁ……」

　二人はどうやら渡される筈の物について悩んでいるようだけれど、ここで思うのはやっぱりハリーさんのこと。こんな突拍子もない内容の手紙を、この場に居る全員が当たり前のように受け入れている。それだけの事をやって来ているからと言ってしまえば簡単だけれど、それでもそれを当然と受け入れるほどになるにはかなりの時間が必要になるだろう。流石はハリーさん、色々な意味で私の想像を遥かに越えていく。そこに痺れる憧れる！

「なんだかエリーがまたハリーの事で暴走してる気がするわ」

「あ、やっぱり気のせいじゃ無かったか。目が蕩けてるもんな」

「ちゃんと形は保ってるよ？」

「写る景色はどんな風に見える？」

「ハリーさん」

「重症ね。ロン、叩いて治せない？」

「無茶言うなよハーマイオニー。壊すことはできても治すことはできないんだからな？」

「自分を治しはするのにね」

「あれは一種の呪詛だから……」

　ロンとハーマイオニーがきゃんきゃんと言い合っている。大概の場合はハーマイオニーが勝つんだけれど、時々ロンが勝つこともあるのが面白いよね。

　ちなみにロンが勝つ場合は必ずと言ってもいいほどハーマイオニーから何らかの攻撃を一発受けている。きっとロンがハーマイオニーを照れさせるようなことでも言ったんだろうと思う。

　まったく、そろそろ自分の思いに気づいてそれなりの行動をとればいいのに。今はマルフォイもいないし、チャンスだと思うんだけどなぁ……？

　……あ、いやでも見てて面白いからもうこのままでも構わないような気もするね。ハーマイオニーはハーマイオニーで鈍いし、ロンはロンで鈍いしマルフォイはマルフォイで鈍い。鈍々トライアングル！でも三角形の角が三つとも鈍いと三角形にならないね。

　つまり、鈍いのから脱却した二人がいればその二人はくっつくわけだね。逆に一人だけいきなり鋭くなると鈍いままの二人が鈍いままいつの間にかくっつく……と。三角関係が数学で証明できるようになるなんて、本当にびっくり！　人間ってもしかして結構単純だったりするのかな？　知らないけどさ。