ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
ダンブルドア先生の埋葬に、色々な人達の話を聞いたり、あるいは色々な人達から面倒な話を何度も何度もさせられたり、もう本当に面倒臭くて仕方がない。ハリーさんが色々な話をするのを面倒臭がってフィニアなんとか・ナイジェラなんとかに押し付けた理由もよくわかるよ。私もそうすればよかったと今更ながら後悔してる。
魔法省は信用できない。色々な人がどんどんと信用できない側に回っていってしまっている。
先生方は多分大丈夫。騎士団の人達も……一部を除けば多分大丈夫。多分それなりの人数が洗脳されちゃったりしているだろうけど、それでもきっとなんとかなる。こんな最悪に近いときにこそ、前向きな思考が大事なんだよ。ハリーさんが言ってた。
魔法の力は意思の力。魔法の力は精神の力。怒り、悲しみ、憎悪、執念……そう言ったものが私達の魔法力を魔法力足らしめる必要不可欠な要素のひとつであるとか。
ハリーさんがいったい何を思ってそんなことを言ったのかはわからないけど……わかろうとも思わないけれど、とりあえず必要なことは大体わかった。
そんな訳で、ロンを呼ぶ。
「悪いんだけど、ちょっとこのロケットを壊してくれない? どうしても必要なことなんだ」
「……なんかめっちゃ高価そうだけど……いいの?」
「壊すとヴォルデモートの残機減らせるの」
「よしやるわ。フタエフタエフタエノキワミアッー!」
やけに気合いをいれて振るわれたロンの拳は、ロケットを文字通りに粉砕した。間違いなく粉々で、間違いなく壊れている。
「フゥ……ハァ…………。
……で、これ何なの?」
深く息を吸って吐いて落ち着いたらしいロンは、今壊したこれが何なのかを聞いてくる。近くにいたハーマイオニーとマルフォイ、クラッブとゴイルも興味深そうに聞いてきた。
そこで私はありのままの事を答えておいた。
「『分霊箱』。又の名をホークラックスと言って、術者の魂を一部引き裂いて固定させたもののことだよ。これを使うと、術者は分霊箱が無事である限りは死ぬことがなくなる。勿論魂を引き裂くなんて無茶苦茶なことをしたらそれなり以上の反動があることは間違いないけど、ヴォルデモートにとっては死なないってことが相当に魅力だったんだろうね。
それで今回はこうして壊せたわけだけど、実際には魔法的にも物理的にも非常に強固に守られているんだって。ロンの拳はついに魔法理論を超越するほどの物になったわけだね。人外到達おめでとう。
ちなみにヴォルデモートはホグワーツの四人の創始者の縁ある品の四つと、日記と実家にあった指輪を分霊箱にしたそうなんだ。
そのうち日記と指輪はハリーさんが、スリザリンのロケットはロンが壊してくれたから、あとは三つだけだね。集めて壊さないと」
私がそこまで言うと、ロンがなぜか恐る恐ると手を挙げた。
「えっと……聞き間違いかな? 僕が壊したあれが『スリザリンのロケット』って言う風に聞こえたんだけど……」
「そう言ったよ」
何故か、本当に何故かロンの顔色が真っ青通り越して土気色になってしまっている。何があったのかは知らないけど、絶対に体には悪いね。
「……なあ、マルフォイ。スリザリンのロケットが本物だったとして……いくらになる?」
震える声でロンがマルフォイに問いかけた。その質問に、マルフォイ自身も声を震わせながら返す。
「……はっきり言おう。『時価』だ。
正確な値段は僕にはわからないが、希少価値や歴史的な価値、そしてその材料や意匠から来る芸術的価値、掛けられた魔法的価値等を全部合算して考えれば……間違いなくガリオン金貨の千や二千では足りないな。もしかしたら、僕の家の金庫の中身を全部空にしても足りないかもしれないくらいには……」
「──────」
その言葉を聞いたロンは、ぐるりと白目を剥いて後ろに倒れてしまった。後ろにはハーマイオニーが居て、最近また育って豊かになった胸で受け止めてもらえてなかったらロンは地面にしたたかに頭をぶつけていただろうね。
「……それはまた随分価値があるものに魂を乗り移らせたわね……」
「ちなみに、本当に大した価値がないのは日記だけで、ハリーさんが壊してくれた指輪は『ペベレル』って言う家に連なるかなり古い上に高価で希少な石を使った指輪らしいんだよね。なんでも死者を一時的に黄泉の国からこっちの世界に引き摺り寄せて現界させることのできる石なんだとか」
「……それってまさか……『甦りの石』?」
「ハリーさんはそう言ってたよ。砕いちゃったみたいだけど」
「なにやってるんだよぉぉぉぉぉ!!?」
気絶していたロンが跳ね起きて叫んだ。元気だねさっきまで気絶してたのに。そんなにハーマイオニーの胸は……いや、おっぱいは気持ちよかった?
「最高だ」
「ロン、ちょっと話があるの。あなたに拒否権はないからさっさと大人しくこっち来なさい」
「……僕、ちょっとあの世まで行ってくる。『甦りの石』で復活させてね」
「安心なさい。私は優しいから、ちゃんとあなたができるだけ長く生きていられるように、そしてあなたが『自分は生きている』と言う実感を得ることができるように、ゆっくりじっくり痛め付けてあげるわ。そう簡単に死ねると思わないでね」
……とりあえず、冥福をお祈りしておこう。私にはそれくらいのことしかできないし、実際あんまりやる気はない。ちょっとハードだけど、あれくらいの事なら割とよくやってるしね。
普通の人間を相手にあんなことをやろうとしてるんだったら絶対に止めるけど、相手がロンだったら……ねぇ?
「……正直、悔しいな。僕もあんな風に……」
マルフォイがぽつりと呟く声が聞こえる。まあ、しょうがないね。マルフォイはまだハーマイオニーのことが大好きだから。ああやってロンとハーマイオニーが見せつけるかのようにいちゃいちゃしてたら、そりゃ心がささくれだっても仕方無い。
私だってハリーさんが私の前で誰かといちゃいちゃラブラブしていたら……とりあえず私も混ぜてもらおうかな。ペットとして。
躾はちゃんとしてるし、ご飯も水も高価いものじゃなくて大丈夫。掃除や洗濯だってできちゃうし、結構お買い得なペットですよ?
次回作は……?
-
鬼滅の刃
-
鋼の錬金術師
-
金色のガッシュ
-
BLEACHの続き
-
他の止まってるやつの続き