ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
突然、前にハリーさんの店で私を撫で回しついでに首の骨をへし折ろうとしていた女の人がどこともわからない場所を見上げて動きを止めた。
「……時間切れ」
「そうみたいだな。帰れ帰れ」
「え……あの、なんの話ですか?」
何の話かわからなかったので聞いてみる。けれど、いい予感はこれっぽっちもしない。多分悪いことなんだと思う。
そんな予感はやはり、ハリーさんの言葉で肯定される。
「校長がバルバモートにぶるぁ殺されたとさ」
「ぶるぁ殺す!? なにそれどんな状況!?」
……って、なんだか面白おかしい言葉に惑わされちゃったけど、なんだか今凄く聞き捨てならない言葉を聞いたような気が……えっと…………ダンブルドア先生が、バルバモートに……殺された?
「ちなみに死因は『アイテム(杖)を拾ったことによるカウンター』だな」
「何その非常識な条件のカウンター!? と言うかハリーさんはなんでそんなに詳しく死因を知ってるんですか!?」
「一戦やらかしたことがある相手の手の内は大体わかるから、そこから状況と戦闘開始から終了までにかかった時間とそうしている間の立ち位置を気配で読み取った結果を合わせて考えればそのくらいの予想をたてることは造作もない」
「……なんだか凄いことを聞いてしまったような気がしたけど相手がハリーさんだと言う前提にしてみたらなんにも変なことは無かったよ!」
「エリー、とりあえず目を覚ましなさい」
ハーマイオニーにほっぺをぺしぺしと叩かれた。ハリーさんに染められた頭の中身はすっきりしたけど、ほっぺは痛い。
「うぅ……ハーマイオニーに傷物にされちゃったよぅ……」
「ちょっ!? 何言って───」
「何ぃ!? グレンジャーは実はレズだっただと!?」
「なるほど、だからあの二人の想いに答えなかったのか!」
「少し頭を柔らかくして考えればわかることだったな……」
「ぶっ飛ばすわよあんたたち!」
「えっと……ハーマイオニーは友達だよ? ……うん、『友達』だから……ね?」
「本気にしないでよ!エリーの質の悪い冗談だから!」
「ハーマイオニー……私のこと……嫌い?」
「きっ……その……好きか嫌いかでいったら……まあ、嫌いじゃないわ」
「聞きましたかヴィンセントさん?好きか嫌いかで嫌いじゃないってことは大好きと言ったも同然ですよねぇ?」(※ゴイル裏声)
「はっきり聞きましたよグレゴリーさん。やっぱり女性が好きなんだそうで……」(※クラッブ裏声)
「ぶっ殺すわっ!それ以上その三文芝居を続けたらぶっ殺してやるわっ!」
ハーマイオニーがそう言いながらクラッブとゴイルに殴りかかろうとしてロンとマルフォイに止められている。ハーマイオニーが止められる側って、なんだか新鮮。
「エリーのせいなんだけど!?」
「クラッブとゴイルのお芝居は二人の意思で行われたものであり、私の意思は一切関与しておりません」
「全ての責任を秘書に押し付けて自分は天下り先でのうのうと過ごす政治家かあんたは!?」
「私が政治なんてやったら間違いなく国が傾くよ? リアル傾国の少女になるよ?」
「『美』をつけないのは謙虚なのかどうなのかとかはこの際どうでもいいけど原因はエリーでしょうが!」
「原因はハリーさんの発言じゃないかな?」
ハーマイオニーは一瞬にして黙ってしまった。まあ、私の発言がクラッブとゴイルの発言の原因だって言うんだったら、クラッブとゴイルの発言の原因になったと言う私の発言の原因になったハリーさんの発言が一番の原因だと思うんだよね。
「おいおい何を言うんだ、それだったらグラップラーとゴリルの発言の原因となったらしい娘っ子の発言の原因となったらしい俺の発言の原因となったバルバモートの行為こそが原因だろ」
「バルバモートを一回倒したのに復活させたのは?」
「いやいや倒せはしたが殺せなかったんだよ。そのせいで復活されてな?」
「本当は?」
「ゴーストにも劣る屑状態でも復活できるのかの実験で適当にやって復活させたがそれが?」
「結果的に大惨事ですけど!?」
「未来に起きる世界大戦だな」
「第三次じゃない!」
「とある人は言いました。『第三次世界大戦でどのような武器が使われるのかは私にはわからないが、第四次世界大戦が行われるとしたらそれは石と棍棒で行われるだろう』と」
「……だから何よ?」
「俺がここで暴れたらきっとそんな感じになると思うんだよな」
「まさかのガチ脅迫!?」
ハリーさんの脅迫とかあまりにも怖すぎるんですけどその辺りどうなんでしょう。実況のマルフォイさん。
「……いや、それよりも今はダンブルドアが殺されたと言う話が事実かどうかを確かめるのが先決じゃないか? ハリーさんの言葉の細かいツッコミ所を捉えて意味もないのにツッコミ続けるよりはずっと建設的な時間の使い方だと思うんだが」
…………。
……いや、まあ、わかってるよ? わかってたんだよ? でもほら、いくらハリーさんの言うことだからって嘘に違いないと思うことだってあるわけなんだよ。
だってほら、ダンブルドア先生だよ? ダンブルドア先生がそんな簡単に殺されるだなんて、そんなの思うわけがないじゃない。ハリーさんに比べればあれだけど、ダンブルドア先生は現代に生きる魔法使いの中でトップクラスの人だよ? きっとハリーさんの冗談で、今にもハリーさんがいつものように無表情で『嘘だ』って言うに決まってるよ!
「マジだ。ちなみに死体も消し飛んでるから復活もできん。千切れた腕を身体から生やすならともかく、流石に腕から身体を生やすなんて事はできないからな」
「生やすのが無理なら、完全に作り直すのは!」
「……できないこともないが、そんなものはただ生命活動をしているだけの人形と変わらないぞ? それでもやるか?」
ハリーさんはダンブルドア先生の死に何も感じていないかのように私に答える。けれど……まあ、そんなことは私も言える立場にはない。
悲しいとは思うし、うろたえてもいるけれど……なんとなく、『そんな風になるだろう』と思っていた私には、ハリーさんが何を考えていようともどうこう言うのはおかしい。そう言うことはちゃんとわかる。
わかるのに……なんでか、涙は一滴も出そうにない。
……わたしもおかしくなっちゃったのかな? ハリーさんみたいに、人間としてどこかおかしく……アハハハハ。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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