ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

『姿あらわし』のできない洞窟を歩いている最中に、私のポケットの中にあったガリオン金貨型簡易連絡機が熱くなった。これは、ホグワーツで何かがあったと言うことだろう。

 このガリオン金貨の大本はハリーさんが持ってるから、多分私を呼んでいるのはハリーさんの筈。いったい何が起こっているのかはわからないけれど……とりあえず言えることは、ろくなことではないと言うことだけだ。

 その事をダンブルドア先生に伝えてみると、やっぱりと言うかなんと言うかお腹を押さえて踞ってしまった。しかし踞っているだけで現状がいい方に向かって行くわけが無いので心を鬼にしてダンブルドア先生の意識を取り戻させる。早く起きてもらってさっさとホグワーツで起きているらしい事件を解決しに行かないとまた面倒なことになるだろう。

 ……行っても面倒なものは面倒だとか言っちゃ駄目。事実ではあるだろうけど心が折れる。

 

 そう言うわけですぐに洞窟を脱出した。そしてダンブルドア先生に連れられて『姿あらわし』でホグズミードまで移動する。ハリーさんにコツを頭の中に刻み込んでもらってなかったら、自分で『姿あらわし』をするのはまだできなかっただろう。本当にありがたいことだ。

 ……実際にどうやってそんなことをやったのかはわからないんだけど、知りたいような知りたくないような奇妙な気分だ。絶対にまた私に残っている欠片ほどの常識を踏み砕いてきそうだし、聞いたとしても私に真似ができるものとは思えないし、私に使えるとも思えない。応用を効かせて何かに使ってみようとしてもなにもできそうにない。だったら知らない方が心に優しいだろう。

 

 それはそれとして、ホグズミードから箒を使ってホグワーツに向かう。私が居なければダンブルドア先生ならホグワーツに『姿あらわし』をできるんだろうけど、私がいるからそれはできないらしい。

 ……ホグワーツ内からの『姿くらまし』ができたんだから、ホグワーツ内への『姿あらわし』ができたっておかしくないと思うんだけど……何かできない理由でもあるんだろうか?

 あるならあると言ってくれればいいし、無いなら無いで普通に行けばいい。何でわざわざこんな風になってるんだろう?

 

 ……まあいいや。とりあえずホグワーツに行かないと。何が起こってるのか考えるのも怖いけれど、考えないわけにはいかないしね。

 

 さて、行こう。

 

 で、来た結果なのだけれど、予想以上に凄まじい状況だった。

 まず、ホグワーツが全体的に荒れていた。先生方や一部の生徒達が騒いでいるのが聞こえる。

 それから所々で煙が上がっているように見える。むしろ煙と言うか呪文による閃光がそこら中に見える。

 

 ……戦闘中? 誰が……って、そんなの一人しかいないよね。

 

「ダンブルドア先生!」

「うむ。先に行っておる。……エリー、できることなら君にはここで……」

「こんなところに一人で居たら襲われた時に危険だと思います。ハリーさんに近い場所に行った方がいいと」

「……わかった。無茶をするでないぞ」

 

 ダンブルドア先生はそう言って『姿くらまし』で先に行ってしまった。私が促したことではあるけれど、こんな状況でこんな場所で一人になるって言うのは凄く怖い。

 でも、怖がっているだけじゃあなんにもならないので行動しよう。何かをしてれば恐怖も紛れるし、今はハリーさんに会わなくちゃならないので移動した方がいい。

 それで、ハリーさんに会えたらまずは何が起こったのかを聞こうと思う。大体のことは予想できるけれど、それが正しいとは限らないしね。

 ちなみに私の予想では、何らかの方法でダンブルドア先生がホグワーツを離れたことに気がついたヴォルデモート───もう本人に聞こえないところではヴォルデモートでいいや───が、どうやったのかはわからないけれどホグワーツにやって来て暴れてるって所だろう。

 ただ、いくつもの場所で呪文の閃光が見えるから配下である死喰い人を連れて来ている可能性が高い。少なくとも私がヴォルデモートだったら数合わせだろうがなんだろうがそれなりの人数を間違いなく用意してからホグワーツに侵攻するだろう。

 勿論ホグワーツ側からのある程度の反撃を考えてそれなりに腕の立つ部下だけの少数精鋭で、できるだけ素早くスマートに行動する。ハリーさんにバレたら大変だしね。

 

 私は安全そうな場所に一度着地し、その場で透明マントを被る。それからまた箒に跨がって空を飛ぶ。

 ……ネビュラス以外の箒を使うのは、一年生の頃の飛行訓練以来だ。体感的にかなり鈍いし遅い。そして間違いなく実際に遅い。

 それでも歩くよりはずっと速いし疲れない。それでなくても空を飛ぶと言うのは十分にアドバンテージとなるし、ダンブルドア先生が先に行ってくれたと言うのも……言ってしまえば囮としてかなり効果的ではあった筈だ。

 今なら学校全体が騒がしくなっていることだし、この騒ぎに乗じてグリフィンドール塔の談話室の窓から侵入できれば……まあ、不意打ちにはなるだろう。

 

 私にできることを全力でやろう。何ができるかは行ってみないとわからないけど、ここでぐずぐずしているよりいくらかましな結果になる筈だ。

 

 さあ、行こう。

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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