ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side エリー・ポッター

 

大広間に入ってすぐ、私達は上級生達に歓迎の拍手を受けた。そして前にぽつんと用意されていた組分け帽子が歌い出し、それから私達の組分けの儀式が始まった。

今まで出会って話をした同級生たちが、次々に帽子を被っては入る寮を決められていく。

カエルをなくしていたネビルはグリフィンドール。物知りなハーマイオニーもグリフィンドール。魔法使いらしい魔法使いのロンも同じく。

プラチナブロンドでちょっとイヤミで、騒いでいたせいでハリーさんに何かされて気絶していたマルフォイは、取り巻きのクラッブ、ゴイルと共にスリザリンに入った。

そして今はハリーさんの番……なのだけれど…………ハリーさんはもう十五分も帽子を被ったままでいる。

ハリーさんはずっと黙ったまま、帽子も同じように黙ったまま、シンとした広間から視線を受け続けている。

あの中ではいったい、どんなことが行われているんだろうか……?

 

……と、考えていたら、突然ハリーさんは帽子を脱いだ。膝の上に帽子を乗せて、右手をひらひらと揺らす。

 

「せいっ」

 

ドゴムッ!!!

 

……ハリーさんの拳が振るわれ、組分け帽子が斜め四十五度の角度からおもいきり殴り潰された。その衝撃が帽子を載せているハリーさんの脚から床へと注ぎ、椅子の四本の脚を中心に蜘蛛の巣状の皹が床に走る。

そしてハリーさんは騒ぐこともできずにただ驚愕の視線を向けることしかできない周囲を完全に無視して、もう一度帽子を被り直した。

 

「……ああ、聞こえる聞こえる。やっぱり電化製品は斜め四十五度からぶん殴れば直るな」

「それ電化製品じゃないですから。おもいっきり魔法系ですから」

 

私のツッコミに周囲が全力で頷いた。ダンブルドア先生を初めとした先生方ですら息を合わせて頷いている。

そのまま数分。漸くハリーさんはグリフィンドールに行くことが決定し、ハリーさんが椅子から立ち上がる。

 

ビシッ!ビヂヂギ……ガラガララ…………カラン。

 

……同時に椅子が砕けて崩れ落ちた。ハリーさんは面倒臭そうに崩れた椅子に杖を向け、何事か呪文を唱える。

すると即座に砕けた椅子も皹だらけになった床も修復された。床は作られたばかりであるかのような光沢を取り戻し、椅子も一度砕けたなどとは思えないような状態に戻っていた。

ハリーさんは直したばかりの椅子に被っていた帽子を置いて、端の方の机に向かって歩いていった。

 

暫く静寂が続き、私と目があったマクゴナガル先生がはっと意識を取り戻して次の生徒の名前を呼ぶ。

その声が呼び水になったのか、生徒の名前が呼ばれて寮に分けられていく度に少しずつ大広間に活気が戻っていった。

ちなみに、私は活気が戻らない内に名前を呼ばれて静かにグリフィンドールに入っていったので、多分そこまで目立ってはいない。今回注目を集めたのは、間違いなくハリーさんだね。

あと、マルフォイはまた無駄に人を馬鹿にした言葉を吐こうとしてどこからともなく飛んできたクヌート銅貨に額を撃ち抜かれ、縦に三回転しながら吹き飛んで壁に叩きつけられて医務室に運ばれていった。

あの銅貨がどこから飛んできたのかは謎だけれど、マルフォイはよく生きていられたものだと思う。普通はあんな勢いで縦に三回転しつつ吹き飛ぶような衝撃を頭に受けたら間違いなく死ぬんだけれど……。

 

「……ねえ、ロン? 魔法使いって、普通の人間に比べて遥かに頑丈だったり……」

「しない。あと筋力とかも普通のマグルと変わらないよ」

「……マグルは、マルフォイみたいになったら死ぬよ……?」

「………………当たり所が良かったんじゃない? 知らないけどさ。あと、僕はあんなんなったら死ぬから」

 

そう言ってロンは現れたばかりの料理を次々に食べている。ハリーさんもぱくぱくと凄まじい勢いで食べ続けていて、このまま放っておいたらグリフィンドール寮の机に出てきた料理が全て一人分の胃の中に収まってしまうかもしれない。

……うん、周りの人達もあの勢いには目を見張っているみたいだし、きっとあれもハリーさん特有の異常事態なんだろうな。ついさっき見たハリーさんのあの腕力を見てからは、ハリーさんがこれだけ食べるってことも納得できる。

食べないと力も出ないしね。うん、きっとそうだよ。

 

まるでブラックホールか何かのように食べ物を吸い込んでいくハリーさんから目を逸らし、自分の近くにある大皿から適当な料理をとって口に運ぶ。今までお腹いっぱいになるまで食べたことなんて一度もなかったけれど、確かに満腹になるって言うのは気持ちがいいことだった。

それに、いつも食べていた残飯のようなものに比べてここに出てくる料理はとても美味しい。

ちゃんと肉の部分が丸々ついているローストチキンに端っこの屑みたいなのじゃないローストビーフ。ポークチョップやラムチョップなんて直接触るのも初めてだったし、皮に若干の身がついているかどうかなんて言うものじゃないちゃんとしたにんじん。ステーキを目の前にしたのも初めてだし、ポテトも土のついていない皮をなんとか食べる以外で食べるのはもういつぶりになるだろう。

飢え死にこそしなかったけれど、今見てみればあまりに酷い食事内容。こうして魔法の事を知るまでに食べた中で一番良かったのは、ダーズリー家の近くに住むフィッグ婆さんが出してくれたちょっと猫臭いビスケットやスープだと言えば、今私が感じている感動を理解できるだろうか?

 

「……なぜ、泣いておられるのですか?」

 

懸命に食事を食べていると、ひだ襟服のゴーストが驚いたように聞いてきた。

 

「な、なんでも……ひっく……なんでもないの……ただ、……お腹一杯になるまで、食べていいの……ひっく……初めてで……」

 

私の言葉を聞いたのか、隣に座る上級生が私のお皿にすっと野菜を盛り付けてくれた。他にもステーキの乗ったお皿をこちらに押しやったり、茹でたジャガイモをかごごとこちらに渡してくれたりと、色々してくれた。

気が付いたら手元のカップにジュースが注がれていて、そして私の目の前には食べきれないほどのごちそうが並んでいる。

周りの人にお礼を言って、私はその料理をぱくぱくと食べ続けた。

 

……あと、なぜか私がああ言った直後に先生方の机の方で少し騒ぎがあったようだけれど、食べ物に夢中だった私は何も知らない。ねっとりとした黒髪の先生が騒ぎだした人らしいけれど、いったい何が……?

 

……ご飯、おいしい。

 

 

※エリーさんはお母さんにそっくりです。

 

 





ハリーは帽子と何を話したか。

ハ「グリフィンドールに入れろや」
組「しかしどう考えても適性はスリz」
ハ「いいから入れろやボテくりこかすぞ」
組「しかしのう……」
ハ「……せいっ!」
組「ぐべらっ!?」
ハ「グリフィンドール入りたいなぁ……入れてくれなかったら悲しくてもう一発やっちゃうかも……」
組「グリフィンドール!!」

 ……こんな感じ。

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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