ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
さて、正直な話をしよう。スラグホーン(敬称略)が鬱陶しいです。具体的に何がどう鬱陶しいかと言うと、まずパーティーに凄い誘ってくること。そろそろ諦めてもいいと思うんだけど、諦めが悪いのがきっとスラグホーン(敬称略)の在り方なんだろう。
それはまだいい。私も一応一回か二回は参加して、話の大半を聞き流しつつ適当にそれらしい返事をしながらご飯を食べることができたし、なんだかよくわからないけれど伝記を出して云々と言う身にならない話を聞かされただけだったし。
ただ、それに私を呼ぶ時や私に直接話しかける時にロンやマルフォイをいないものとして扱おうとするのは許し難い。
それから、事あるごとに私と私のお母さんを重ねようとするのも私的にはマイナスポイント。できるならもう少し公私混同を辞めると言うか、私自身を見て正当な評価をしてほしい。
……もしかしたら、これはハリーさんのせいかもしれないけどね。ハリーさんが幻覚で私とお母さんを重ねさせてスラグホーン(敬称略)の罪悪感を刺激しまくって記憶を頂いていったって言ってたし、そのせいって言うのが多々ありそうだ。
「都合のいい財布とでも思っておけばどうだ?」
「いや流石にそれはちょっと……」
「あれにも悪気はないんだ。ただ少し今までコネを作るのが上手く行きすぎて調子に乗ってるいい歳した子供みたいなおっさんなだけで」
「大分罵倒しましたね」
「いやいや、なにかを作る学問において童心を持つと言うのはとても大切なことだ。子供っぽいからと言ってそれが悪いこととは限らない」
「今回の場合は?」
「解1、誉めている。解2、どうとも思っていない。解3、どうでもいい。どれだと思う?」
「……3番!」
「答えは4番、死ねばいい。でした。4だけに」
「それってつまりただの語呂合わせ……?」
「語呂合わせって言っても結構便利なんだぞ? 短縮詠唱や意訳詠唱に使えるし、概念術を使う時にも役に立つし」
「……短縮詠唱はともかくとして、意訳詠唱も概念術も聞いたことがないんですけど……」
「だろうな。俺個人のオリジナルみたいなものだし」
「……どんな技なんですか?」
私がそう聞くと、ハリーさんは面倒そうに言葉を選び……そして数秒で言葉選びを放棄して口を開いた。
「制限付きではあるが、一部の事柄において嘘を現実にする技だ」
「なにその反則技!?」
「いや、『一部の事柄において』だからな?」
そう念押ししてハリーさんは説明を続ける。
「『概念術』と言うからには概念を操るわけだが、概念とはつまり『そうあること』と言う事実から来る法則みたいなものだ。
例えば、『刃は切れる』と言うのは人間や魔法族に限らず大体の存在にとっては正しい事実。つまり、一種の概念と成り得るわけだ。
そこで、ただの鉄の棒を用意する。当然切れはしないんだが、ここでその鉄の棒に名前をつける。できるだけ有名な刀剣類の名前がいい。
そうすると、ただの鉄の棒に刀剣類の名前がつき、ほんの僅かながらも刀剣類……つまり、刃物の概念が付加されるわけだ。
そのほんの僅かの概念を強化・増幅し、概念が現実を凌駕すれば……鉄パイプでも切ることができるって訳だ」
「……概念を強化するって、何をどうすればそんなことができるようになるんですか?」
「魔力でやったり言霊を使ったり氣を使ったり……あるいは多数の存在にそれを認識させればそれだけで多少は増すから基本はそれらの組み合わせだな。特に言霊と魔力、言霊と氣の組み合わせは有効だ。多数の人間を騙すより楽だしな」
「最後の台詞で台無しですよ」
ハリーさんはいつもこうしてなんでもかんでも台無しにする。なんでそうしようとしたのかはわからないし、どうしてそんなことをするのかもわからないけれど、それでももうそれはいつものことだし諦めようと思う。
「で、スライムボーンだったか。どうしても嫌ならなんとかできるぞ?」
「具体的な方法は?」
「ちょっと脳に電極刺してくちゅくちゅっと……」
「アウトー!ハリーさんアウトー!!それはアウトー!!せめて魔法でお願いします!」
「電極を魔法で作って、魔法で雷の縮小版を作ってやれと……また面倒な注文をしてくるな娘っ子は?」
「意味が大分違うんですけど!? と言うかやってることがSFじゃないですか!?」
「いやいや、電気信号で情報をやり取りしている人間の脳に電極刺して電気流したら記憶を失うか発狂することのどこが不思議なんだ?」
「一応ツッコミしときますけど、SFって『少し不思議』の略称じゃないですからね」
「知ってるよ。『凄く不思議』の略称でSFだろ?」
「大分違う!かなり違う!凄く違う!とても違う!」
「大丈夫大丈夫、バレないように上手くやるさ」
「バレるバレないの問題じゃなくってね!?」
「わかっているとも。バレるバレないの問題ではなく……やるかやらないかの問題だと言うことくらい!」
「全然違うんですけどその辺りどうなんですかねぇ!?」
「知らん。どうでもいい。常識なんてバルバモートにぶるぁぁぁぁぁぁぁ!!されて今死ねすぐ死ね骨まで砕けろ」
あ、ハリーさん常識の範囲内で動く気なんてさらさら無い。本気で動く気満々だ。
だからと言ってスラグホーン(敬称略)をどうこうするとは……正確には、殺害しようとは思ってないだろうけど……気に入らない相手だったら万難を排して不幸のどん底にまで追い詰めようとする人だから、安心はできなさそうだけど……。
「ああそうだ、そろそろバルバモートが本気で動き出しそうだから気を付けろよ。本気になったら多分一時的に凄まじい強化をして殴ってきたり、凄まじい強化をして蹴り飛ばしてきたり、凄まじい強化をしてなにかを投げ飛ばしてきたり、凄まじい強化をしてビーム撃ってきたり、凄まじい強化をして全身からなにか得体の知れない光線を出してきたり、凄まじい強化をして口から炎を吐いてきたり、凄まじい強化をしてありとあらゆる魔法を弾いてきたり、凄まじい強化をしてありとああらゆる物理事象に抵抗したり、凄まじい強化をしてあの世から身一つで戻ってきたり、凄まじい強化をして破壊した分霊箱に憑依させながら鍛練させていた自分の魂の欠片を全て自分の身体に戻して魔法の威力を六倍にしたりとかしてきたり、凄まじい強化をして自分の魂を百兆個に分けて一秒で百兆秒分の鍛練をして魂を再構築させてヤバい効率で強くなっていったりするだろうから、そんなことになる前に殺しとかないと厄介だぞ」
「厄介とかそんなレベルで済むような問題じゃないじゃないですかやだー!」
ちょっとこれ本当に絶望的。どうしよう……?
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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