ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
「分霊箱? ああうん知ってるぞ」
……これは、私がハリーさんに『ヴォルデモートの分霊箱の在処を知っていますか?』と聞いた際のハリーさんの答えである。あまりの軽さに脱力してしまいそうだったけれど、なんとか立て直して再度質問。
「えっと……」
「ああすまん、正確には『ヴォルデモートが分霊箱を作って隠した場所を知っている』のであって、実際に今ある場所を知っているかと聞かれるとな。いくつかは誰かが場所を変えたようだし、正確な場所をすぐに言えと言われても『イギリスのどこか』としか言えないぞ?」
「間違ってはないんでしょうけど大分広いですね……まあ、とにかくわかる場所を知りたいそうなので、六時頃に校長室に来て欲しいって言うことです」
「わかったわかった、大体全部教えてやるよ。本当に全部教えるわけにはいかないけどな」
ハリーさんはそう言って笑みを浮かべた。どうやらこの件に関してはハリーさんにとって『面白そうなこと』にカテゴリされたらしい。
これで、ハリーさんがこの件で手を抜くことはなくなったと考えて大丈夫だろう。ハリーさんは面白いことには一切手を抜かない……と言うか、遊びのようなことだからこそ本気でやらなければつまらないと思う人だからね。
それで、ダンブルドア先生との約束の時間となり、私とハリーさんは校長室に向かう。
合言葉を言って校長室に入り、そしてダンブルドア先生と顔を合わせる。
「来てもらいました。あとはよろしくお願いします」
「うむ。……それではハリー、座ってくれるかの?」
「いや、この後予定が無きにしもあらずだから早めに話を終わらせて作業に戻るわ。
で、確かヴォルデモートの分霊箱の話だったな。一つは二年の時にホグワーツで色々やった日記帳。もう破壊されてるから別にいいな。
次にスリザリンのロケット。ヴォルデモートの母が古物商に捨て値で買い叩かれ、そして巡り巡ってヴォルデモートが奪ったものだな。
当時はとある絶海の孤島に隠してあったが、R・A・Bと言う奴によって摩り替えられている。破壊しようとしたらしいが、非常に強力な封印がされていたはずだから本人が壊すのは無理だろう。
次にハッフルパフのカップ。これはスリザリンのロケットと同時にヴォルデモートが強奪していったものだな。封印はされていないが、そんなものが必要無い場所に安置されている。
具体的な場所は、グリンゴッツ銀行の地下深くのとある金庫だ。あれは確かレストランドだかレストリクトだか言う死喰い人の巨大な金庫だ。正確な名前? シラネ。
四つ目はレイブンクローの髪飾り。数百年前に失われたと言われているそれを、ヴォルデモートはなんとかして見つけ出したらしい。その方法についても知ってはいるが、ノーコメント。
それで、そのレイブンクローの髪飾りは当時はどこぞの森の樹のうろに隠されていたが、ヴォルデモートはそれをホグワーツに隠した。校長に教師になりたいと言いに来たその時にな。
五つ目はヴォルデモートの実家に伝わる指輪、死の秘宝の一つである『蘇りの石』だ。多分本人はその価値を知らなかったんだろうな。実に馬鹿だ。ヒントは山のようにあっただろうに。
その指輪は……言う必要は無さそうだが、校長が持ってるな。破壊できないんだろう? ちょロンにでも頼めば砕いてくれるかもしれないな。
六つ目だが、生きた蛇を分霊箱にしたようだ。賢いが馬鹿なことをしたもんだよな。殆どの呪文を弾き返し、ある程度思った通りに動く蛇。厄介だよな。
ちなみにこいつはどうやら割と最近作られたらしい。具体的には、ポッター家を襲って返り討ちになり、なんとか復活しようとしてキレ茄子に取り憑いて俺に叩き出されたよりも後だな。蛇語で操るのはヴォルデモートの魂が邪魔して難しいだろうから、殺るならバジリスクの毒を使うかゴブリンから武器を借りて毒を吸わせて叩き切るか、『悪霊の火』で焼き払うかのどれかが一番手っ取り早いだろうよ。
で、他に聞きたいことは?」
ハリーさんは私が知りたいと思っていたことの殆ど全てをあっという間に並べ立てた。とりあえず私はもうあまり知りたいことはないけれど、強いて言うなら……
「ハリーさんは、どこでそんなことを知ったんですか?」
……と、これに限る。
答えてもらえるかは微妙なところだったのだけれど、ハリーさんはいつもと変わらぬ表情で
「二年前にヴォルデモートと会った時にコロコロしつつ記憶を全部覗かせてもらった。コロコロされて意識が朦朧としている時に読んだから読まれたことにも気付いてないし、ついでにいくつかは忘れさせて偽の記憶を植え付けておいたから割と困るんじゃないか?」
「ハリーさん……ヴォルデモート相手にいったい何をやって……」
「記憶の強奪と改竄?」
「なんでそんなにも簡単そうに言えるんですか!?」
「難易度自体は相当低いからな。ロックバンドだってやり方は違うにしろやってたろ」
「記憶を改竄してくるロックバンドに知り合いはいないんですけど!?」
「……二年の頃に『闇の魔術に対する防衛術』を教えると言う名目で来てたあの馬鹿だよ。正確な名前なんか覚えてないし覚える気もないが」
「……ああ、ロックハート。なるほど」
曲がりなりにもロックハートにできたことがハリーさんにできないわけがない。相手が違いすぎるとか色々言いたいことはあったけど、なんとなく納得してしまったのだから仕方がない。納得できてしまった時点で私の負けだ。
負けてしまったので理解はできないにしろ納得しておくことにして、とりあえず今わかる分霊箱のことを考える。一つはホグワーツにあり、一つはグリンゴッツ銀行にあり、一つは既に破壊され、一つはダンブルドア先生が既に確保していて、一つはヴォルデモートが常に側に居て、一つは行方不明。
それらを全て発見して破壊するには……いったいどれだけの労力が必要となるだろう。私には検討もつかない。
特に難しいのがグリンゴッツに秘蔵されているもの。グリンゴッツの金庫破りだなんて、できるとは思えない。グリンゴッツの小鬼を味方につけなくちゃいけないって時点で詰んでいる。
ハリーさんなら……二時間あればできるんじゃないかな? 方法はちょっとどころじゃなく違法だろうけど、相手も色々とやってるし別にいいよね。
あと、違法だの反則だのと言う物はあくまでも人間が勝手に決めたものだし、ハリーさんにとっては「そう、関係無いね」の一言で終わらせることができてしまいそうだけど。
「……他に聞きたいことは……無いな? あっても知らん。俺は行くぞ」
「ありがとうございました!」
ハリーさんはひらひらと手を振って、校長室から出ていった。
……ハリーさんはなんでも知ってるなぁ……。
でも、どうしてハリーさんは私の記憶封鎖を鍵で解けるようにしておいたんだろう? よくわからないなぁ……。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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