ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
スラグホーン先生の記憶が必要らしい。どうやらそれを手に入れれば、ダンブルドア先生はヴォルデモートの弱点を見つけることができるらしい。
ただ、一応スラグホーン先生の記憶は手に入れはしたそうなんだけれど……スラグホーン先生自身の手で改竄されているらしい。面倒だなぁ……。
……と言うわけで、ハリーさんにスラグホーンの記憶でヴォルデモートが出てる部分の記憶が欲しいんだけれど知恵を貸してくれませんかと相談に行った結果。
「まず始めに二、三日夢を見せます。内容は、娘っ子の母親が悲しそうな顔でじっと見つめてくるだけ。喋らないし動かない、ただそれだけの夢だ。
それで娘っ子の顔を見る度に怯むようになったら第一段階は終了。第二段階に移行するわけだ。
で、スラムコーンに幻覚をかけて娘っ子と娘っ子の母親の姿が被るようにする。不自然じゃない程度にゆっくり進行させる必要があるから時間はかかるが、確実だ。
そして最後に、娘っ子がスラブソーンに頼み込む。自分は間違いなく『選ばれし者』だとか、口八丁でな。不安ならフェリックス・フェリシスを飲んでいくといい。フェリックスが大体のことを教えてくれるだろう。
最後に、校長にスカルボーンの記憶を見せれば任務完了だ。
で、こちらにあるのが暇潰しに同じようなやり方でスバルローンから拝借してきた記憶だ。色々とネタは手に入ったし、もういらん。必要なところだけ瓶に入れてやるから持っていけ」
「……って言うことで手に入れてきました」
予想以上の方法で予想外に早くスラグホーンの記憶を手に入れることができてしまったことに、ダンブルドア先生は驚愕の表情を隠しきれていなかった。
まあ、私だってハリーさんに相談に行って何らかの知恵を貸してもらえるものだと思ってたら記憶そのものを貰っちゃって結構本気で驚いたけど。
あと、ハリーさんのスラグホーンの名前の間違え方が凄い。普通そこまで間違えないよね? ってくらいに間違えている。直す気もあんまり無さそうだし。
ちなみに、手に入れた方法を正直にダンブルドア先生に話してみたところ、お腹を押さえてゆっくりと机に突っ伏していった。ハリーさんにしてはとても平和的な方法だと思ったんだけど、いったい何が駄目なんだろう?
「……いや、スラグホーン先生の記憶が手に入った。今はそれだけでよい……それだけで……よい…………」
「下向いてそんなことを言っていても説得力がないですよ?」
「……そうじゃの。しかし、弱音を吐くよりもやらねばならないことがある……」
ダンブルドア先生はそう言って記憶を『憂いの篩』に流し込み、私を連れてゆっくりとスラグホーン先生の記憶の中に入り込んでいった。
……そして私はその内容を見て思い出す。ある日、ハリーさんから聞いたある話を。ハリーさん自身が私に話し、そしてあっという間に忘れさせたその話を。
ヴォルデモートの秘密は何かと聞いた私に、ハリーさんは何でもないかのように言った。
『分霊箱』を6つ作って隠してあるからそれが全部破壊されるまで死なないこと。
あの頃は、私はまだ何も知らなかった。なのに、ハリーさんはあの頃にはもう私達が今知ったばかりの事を知っていた。
なぜ、どうやってその事を知ったのかはわからないけれど、相手がハリーさんであることを考えれば不思議ではあるものの異常なことではない。なにしろ、異常なハリーさんがやることなのだから異常であることが当たり前。ならば異常こそが通常だと考えてしまえばそれでいい。ただそれだけの話だ。
だけど、今回は私はその事をダンブルドア先生に話しておくことにした。
するとダンブルドア先生は非常に頭が痛そうに眉間に皺を寄せ、けれどすぐに顔をあげた。
「エリー。すぐにハリーを呼んできてくれるかの」
「……本気ですか? 最近は顔を見るだけで胃がキリキリ痛むようになってるんでしょう?」
私がそう問いかけると、ダンブルドア先生は僅かに驚いたように目を見開いた。
しかし、すぐに目の大きさはいつも通りに戻り、落ち着いた声で言葉を返す。
「確かに、儂はハリーを見るだけで胃が痛くなる。エリーは知らないことじゃろうが、ハリーは儂の想像を遥かに越えるほど物知りであると同時に、儂らが常識として知っていることに対しては凄まじく無知であり、また純粋すぎるのじゃ。
それこそ、誰もが知らず、知りたいと思うも手が届かぬ故に知ることができずにいる事を、自分が常識として知っていれば誰もが知っていると本気で思っているほどにのう」
ダンブルドア先生に言われて思い出してみると……なるほど、確かにハリーさんはそう言うところがある。
自分が知っているから当然他人も知っているだろうと一見常識外れにしか見えない行動をとるし、当たり前に皆が知っていることを知らないが故に時々凄まじいことをやらかす。
合点がいった私を見て、理解の色を浮かべたことを見てとったらしいダンブルドア先生は静かに頷く。
「そう、純粋なのじゃ。やりたいことをやり、やりたくないことはできるだけ短く終わらせてやりたいことをやる時間を増やす。そして暇があれば遊び、暇がなくなればやらなければならないことを瞬く間に終わらせて暇を作ってまた遊ぶ。それが、儂の知るハリーなのじゃ。
そして、今回はハリーのみが知るその情報を聞く価値は間違いなくあると儂は思う。魔法界のための情報が、儂の胃の痛み程度で手に入るのならば安いものじゃ」
「……わかりました。けれど、できれば呼ぶのは今日ではなくて明日の昼か夕方頃にするのがいいと思います。ハリーさんは寝ているところを起こすと本当に凄い殺気を叩きつけてくるので、起きてる時に呼ぶ方が……」
「……そうじゃな。エリーがそう言うならばそうなのじゃろう。
ならば、明日じゃ。明日の夕方ごろ……午後六時頃にここで待っておる」
ダンブルドア先生にそう言われ、私は神妙に頷いた。なんだか凄く疲れたけれど、とても有用な時間だった。
……ただ、ハリーさんがなんでヴォルデモートの秘密を知っていたのかとか、色々と知りたいこともできたけれど……一番は、ハリーさんの『忘却呪文』がこんな簡単に解除されるわけがないってことだ。
つまり、ハリーさんは何らかの情報を……多分ヴォルデモートの作った分霊箱の数の情報を私が手に入れることで記憶の封鎖が解除されるようにしていたのだろう。理由はわからないけれど、できるかできないかで言えばハリーさんなら簡単にやってしまいそうだ。
とにかく、ハリーさんに色々聞いてみよう。もしかしたら今そういったものがどこにあるのかも知っているかもしれないし。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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