ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
『魔法生物飼育学』では、ハグリッドの好きそうな危険で希少な動物を相手に授業を進めていった。私しかいないのはちょっと寂しかったけれど、それでもまあやることがあれば耐えられる。
ちなみに、ロンとハーマイオニーは受けてはいないけれどその理由を適当に脚色してハグリッドに伝えておいたのでそこまでショックは受けていないようだ。
……まあ、時間的に入れるのが難しくて、さらにはバルバモートが魔法省を襲撃して時の砂を盗んでいってしまったせいで『逆転時計』を作ることができないからどうしょうもない……なんて言われたら納得するしかないだろうけど、もう少しごねられるかもしれないって考えてた私の努力は一体なんだったんだろうね?
……努力が無駄に終わる分には別にいいか。努力が足りないのは問題だけど、無駄に終わるって言うことはつまり平和だって言うことだしね。
戦うための努力なんて、みんなみんな無駄に終わるのが一番なんだけど……それでも自分達が生きるために、あるいは自分達になんらかの益を求めて、人間と言う種族は争いを続けている。これはなんともまあ愚かなことだね。
……戦う理由を他人に預けてしまった私が言っていい言葉じゃないかもしれないけどさ。
私はじっと相手の目を見る。観察する。行動を見て、覚えて、何をしてほしくて何をしてほしくないのかを見極めていく。これで相手の好きなものや嫌いなものがわかるし、ついでに戦いの時にも相手の嬉しくない方に動いてやれば戦うことをしやすくなる。
それがもしもルールに則った決闘だったら顰蹙を買う行動かもしれないけど、私が想定しているのは決闘ではなく戦闘だから問題はない。戦闘であるなら、むしろこの行動はとって然るべき物だよね。
ハリーさんならもっとえげつない方法で勝ちに行くだろうけど……これが今の私にできる精一杯。だから、とりあえずこんなところで勘弁してもらおうかな。ハリーさんには怒られちゃいそうだけど。
「……ねえ、ハグリッド? 今度から、低学年の子達に教えるのはもっと難易度が低かったり、一般的には危険とは言われていない子にした方がいいと思うよ?」
「しかしなぁ……」
「じゃないと、来年から新しく入ってくる子達も『魔法生物飼育学』をとってくれなくなるかもしれないし、ある程度常識的な考えを持たないと大変だと思うんだ。だって、ハグリッドも沢山色々なことを教えたいでしょ? 今、私にやってるみたいにさ」
ハグリッドが『魔法生物飼育学』を教え始めて三年。相手をした生き物の殆どがかなり危ないものばかりだったけれど、そのお陰で色々と知ることができた。
例えば、ドラゴンを相手にするなら狙う場所は眼と翼膜、それから炎のブレスを吐くドラゴンには喉のあたりに可燃性の粉末や液体が詰まった袋があるからそこを狙うのが一番だと言うこととか。
その他にも、色々な怪物の懐かせ方や好きなもの、嫌いなものを使った誘き寄せ方や追い払い方。やっていいこと悪いこと。生かし方に殺し方、身体の素材をどう使うかなど、本当に色々なことを知ることができた。
習ったことが全部いい方向には使われないって言うのが悲しいところだけれど、このご時世ならもうしょうがないと思ってほしい。私しかバルバモートを倒せないって言う話だし、バルバモートを倒して当面の私の命の危機が過ぎ去るまではこんな感じなんだと思う。
なんだか授業が単にハグリッドの助手みたいな感じになっているけどそれはそれ。人数が少ないのも、しっかりと勉強できるって考えれば悪いことではないしね。
マグルの中では一対一での教育の方がしっかりと個人のわからない部分を理解させることができるってよく言われているし、魔法薬等で記憶力を上げていたりしなければ魔法使いの頭も作り自体はそう変わらないわけだし……きっと効果はあるんだろうね。どの程度かは知らないけどさ。
……勉強頑張ろ。
side ハリー
謀略を巡らせるのは愉しいと言ったのは誰だったか……よく覚えていないが、それでもその言葉が正しいと言うことだけはよくわかる。実行に移すかどうかは別として、ただそれを考えるだけと言うのも中々に楽しいことは間違いない。
けれど、考えるのが楽しいからと言って実際にやるのが楽しいとは限らない。まさに今の俺の状況だな。
……考え付いた時には中々いい策だと思ったし、実際に最後にはどちらに転んでも大丈夫と言う保険までしっかりとした物ではあるんだが……最終的に間違いなく俺は身の回りの事を他人に任せてのんびりと寝て過ごせるようになると言うことがわかっているから頑張れる。
……ここで手を抜いたら色々と面倒になるし、仕方ないから最後までしっかりとやるしかない。厄介事は芽を出す前にきっちりかっちり潰しておかないと。手を抜いて後で困ることになるのは他ならぬ俺自身なんだし、嫌でも気は使っておかないと。
だからこそ、例え面倒でもこうして色々と手を回したりしてるわけだし、面倒臭がりで飽きっぽい俺にしてはかなり頑張った方だと思う。
普段から周りの人間をからかって回るのがなかったら、多分もっと早くに面倒になって辞めてただろうな。シリウス・ブラックからこの屋敷を貰った辺りで学校に行くのをやめて、世界が荒廃していくのを我関せずとばかりに眺めていたかもしれない。
人間はやっぱり一人では生きていけない生物なんだな。俺は寝れさえすれば一億年程度何の感覚もない場所に封印されても平気だが、普通は無理だそうだし。
……六年目の大きな出来事と言えば、校長の死とヴォルデモートの殺し方の発見だろう。これがなければ原作でハリー・ポッターはヴォルデモートに勝てなかったに違いない。
しかし校長は既に杖の忠誠心を失い、さらにゴーントの指輪を所有していない。一応偽物を置いてはきたが、別にあれは分霊箱ではないかわりに普通に頑丈だ。具体的には今のフォイより頑丈で、壊すには特殊な魔法ではなく物理的な威力が必要となってくる。つまり、『悪霊の火』や『バジリスクの毒』と言った特殊な魔法や物質では早々壊すことはできず、どうしても壊したいなら『粉々呪文(物理)』や『爆破呪文(物理)』を使う必要があると言うわけだ。
普通の呪文でも壊せないことはないが……その場合には俺がルーちゃんの力を借りてかけた『固定化』を抜かなくちゃいけない。まあ、難しいだろうな。
……あともう一息だ。頑張ろうじゃないか。なぁ?
ストックが切れました。もしかしたら明日は更新できないかもしれません。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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