ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 ハリーさんの動きをする魔法機械と試合をして、〇対四百四十四万四千四百四十点と言う心折れる点数を取られた。秒間何回点を入れられたのかすらも曖昧になって、グリフィンドール・チームの誰もがクアッフルに触れることすらできずに試合が終わってしまった。

 ブラッジャーが黒線を描いて檻を作り、誰もが動いた瞬間にブラッジャーに当たってしまうから動けない。そしてもしブラッジャーに耐えて動けたとしても、ボールに触れられるかどうかもわからない。そんな状態で何ができるのかと言えば……何もできないに決まっている。まだ死にたくないしね。

 それを理解できない新入りが頑張って何とかしようとしているけれど……ビーターはクラブを砕かれ、チェイサーは手に一発食らってしまってそこで試合が一時中断。それからも一方的にぼこぼこにされ、一時間もしないうちにこの有り様である。

 

 うん、まあ、正直勝てるとは全く思ってなかったけど……それでも予想以上にボコられたね。

 でも、それでもある程度これに匹敵する……は言い過ぎとして、せめて多少点を取れるくらいの実力はつけておかないと……いつか取り返しのつかない怪我をする可能性があるからね。ちゃんとやっておかないと……。

 

「『運動前の柔軟はちゃんとしないと怪我するからね』みたいな感じでかなり無茶なことを押し付けられたような気がする……」

「大丈夫、ちゃんと五十点くらいなら取れることはわかってるから」

「取ったの!?」

「三年前にウッド達がね。全力でやってそれでなんとか五十対三千二百四十点って言う記録があるよ」

「……あれ相手に五十点取った上に、取られた点数四桁に抑えたのかよ……」

「ウッドって凄いよね。プロのチームに行ってから二回しか得点されてないってさ」

「なにその鉄壁!?」

「ロンもそのくらい頑張ってね?」

「無理!無理無理無理無理無理無理!」

「やらないんだったら私はハーマイオニーにマルフォイ推ししてくるけど」

「考えたな畜生ッ!」

 

 ロンは凄く悔しそうな表情で私を睨むけれど、私はさらりとそれを受け流す。

 

「逆を言えば『頑張ってくれればロン推しするよ?』ってことなんだけど……」

「っし、なにやってんだ練習しようぜ!」

 

 ちょろい。なるほどこれはちょろい。ハリーさんがロンのことを『ちょロン』と呼んでいたのも理解できる。本人の前では言っていなかったけど、『あいつのあだ名をロニー坊やからちょロンに変えることを本気で検討し始めている』って話だしね。

 

 きっと本人が聞いたら怒るんだろうなと思いながら、私は何も言わないでおく。何か言っても悪い方にしか進まないなら言わない方がいい。

 それに、ちょうどやる気になってくれてるんだ。そこにわざわざ水を差しても良いことなんて一つもない。特にロンは調子に乗ると強い反面、自分がダメだと思うと一気に調子が落ちるからね。フェリックス・フェリシスを飲ませたと思わせれば、勝手に最高の状態になってくれるんじゃないかな?

 ……やらないけどね。

 

 それからはそれぞれがそれぞれのやりたいように練習を続けた。自分の目指すべき場所が見えると、人間って言うのは頑張れるものだからね。心を鍛える他にこういう狙いもあったりする。

 まあ、それでも相手があまりに高い場所にいることを理解して心が折れてしまうことだってあるんだけれど……こうして自分から来て選ばれたのならしっかりとやってもらわなければ困る。その為にわざわざこうして選抜までして選んだんだから。

 

 でももう時間だからこれ以上の練習は時間を改めてもらわないと。そろそろ試合場を予約している時間も過ぎてしまうし、何よりもお腹が空いてきたしね。

 厨房に行って、何か食べ物でも貰ってこよっと。

 その他にも色々呪文を練習しなくちゃいけないし……ああ、やることが多すぎて困っちゃうね。学年が上がるとやることも増えて大変だ。

 

 まあ、そんなことよりご飯ご飯。お腹が空いたら何事も効率的にはできなくなっちゃうし、栄養を取ることは大事だよ?

 脂質、蛋白質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、ハリーさん。どれもこれも私が生きて行くに必要不可欠な栄養素。必要になったら必要なだけ取らないと。

 

「……なんかおかしいのが混ざってたような気がするんだけど?」

「エリーにとってはおかしくないんでしょ。エリーも常識外れだから」

「ハーマイオニーもな」

「ロンもでしょ。ハリーから聞いてるわよ。一日一回私から届いた手紙をいくつか選んで読み返してにやにやしてるって」

「謀ったな!? ハリーさん謀ったな!?」

「ハリーさんが嵌めるつもりで動いたら、ロンなんてもうハーマイオニーに告白する以外の道を綺麗に塞がれちゃってるよ。と言うかマルフォイはもうハーマイオニーに告白したみたいだし、早くしないとハーマイオニーを取られちゃうよ?」

「なっ……なんの話をしてるんだよ!?」

「さぁ? なんの話だろうねー? なんの話だと思ったの?」

「ぅぐっ……」

 

 ロンは顔を真っ赤にして黙ってしまった。ロンの後ろでハーマイオニーがにこにこしているのを見る限り、どうもハーマイオニーってばちょっといじめっ子の気質があるように見受けられるけれど……。

 

「……」

 

 はいはいわかったからそんなに睨まないでよハーマイオニー。ハーマイオニーの眼力って結構強いんだからびっくりしちゃうでしょ。

 それに、ハーマイオニーだってこの状況の原因の一つであることは間違いないんだから、私ばっかり睨まれるのはちょっと納得いかないな。ロンの優柔不断が原因の六割くらいを占めていたとしても、それでもハーマイオニーが気付いていないせいだって言うのも残りの殆どなんだから。私の責任なんて殆ど無いんだよ?

 個人的には見ている分には面白いから構わないんだけど、いつかそれが原因で面倒なことになりかねないし……できればさっさと決着だけでもつけてほしいんだよね。

 

 まあとにかく、ハリーさんに色々言ってる暇があるんだったらさっさと行動しましょうね、ってことだ。行動するなら早い方がいい。漫画だって月刊より週刊、週刊より日刊で描けた方が凄いでしょう? 百年かければ馬鹿でも名作小説が書ける。大切なのはそれを成すためにかけた時間の方なんだよ。

 

「と言う訳でさあ告白を!」

「しねえよ!」

 

 ロンは真っ赤になりながら私に向かって叫び返した。

 

 

 

 




 
 しかしここまでやってもハーマイオニーは気付かない。

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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