ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 さて、クィディッチの選抜だ。今年は私をシーカーとして、他の全員をしっかりと一から選び直すつもりでいる。

 特に、ビーターはしっかり選ばなければならないだろう。去年のうちにフレッドとジョージが誰かいい選手候補でも見つけていてくれればよかったのだけど……双子はそんなことはしてくれなかったから。

 まあ、あの二人は今はダイアゴン横丁で悪戯専門店をやっていて、去年はその準備で忙しかっただろうから仕方無いと言えば仕方無いんだけどね。

 ただ、ハリーさんが出資してちょっとだけ『真面目路線』にも走っている上に相当の儲けが出ているらしいし……金はもっと多くの金を稼ぐために使われると言うけれど、あの双子はそれを本当によく体現している。

 まあ、そんな訳でフレッドとジョージは手をつけられなくても仕方無かったかもしれないけれど……まあ、その辺りは今だから言えること。それに私だって、卒業する前に自分の後継者みたいな人を選んでいるとは思えないし。

 

 ……愚痴も言い終わったし、とりあえず仕事をしよう。クィディッチ・チームに入ろうとしている人よりもDAに入ろうとしている人の方がずっと多いんだし、このくらいの人数なら大したことはない。ちょっと頑張ればなんとかなってしまう程度のものだ。

 

「はいそれじゃあまずなりたいポジションごとに別れて並んでね。順番とか関係無いから押し合いしないようにねー。チェイサーはこっち、ビーターはこっち、キーパーはそっちねー」

 

 ちなみに参加している人はビーター狙いの人が一番多い。まあ、去年の頭のネジとかその他色々なものがぶっ飛んだ試合を見て『自分もあれと同じくらい動ける』と思う人はいないだろうしね。

 チェイサーのうち二人はほとんど確定。キーパーもまず間違いなく確定。一番確率が高いのは確かにビーターだしね。

 

 ……まずは基本的なテストから。人数はあんまり多くはないけど、とりあえずある程度飛べることが最低条件としておく。そのお陰で人数がそれなりに減り、選抜が楽になった。

 まあそんなわけで選んでいったのだけれど、実際に何人かでクアッフルを使った勝負をしてもらって試合形式で決めていった。

 ちなみに正式にチェイサーとなったのはケイティとジニー、そして新人のデメルザ・ロビンス。デメルザはシュートはそこまで上手じゃなかったけれど、その代わりにブラッジャーを避けるのがとても上手だったのでそこを採用した。

 

 それからビーターだけれど、同じようにちょっと飛び回ってもらってブラッジャーを打ってもらった。的として私が箒に跨がった人形を飛ばしてそれに当ててもらった。そしてその正確さとブラッジャーを打った回数、威力などを調べて選んでおいた。

 いくら一発一発が強くて正確だったとしても、打つ回数が少ないんだったらあまり意味はないし……逆に、何発打っても当たらないんだったらいるだけ無駄。それなら無難な人を選んだ方がいくらかましと言うものだ。

 結果、ビーターとして選ばれたのはジミー・ビークスとリッチー・クート。ジミーは小柄だけど力が強く、クートは狙いが非常に上手だったので採用した。

 

 それからキーパーだけれど……これは正式に採用された三人のチェイサーに協力してもらった。三人のチェイサーがそれぞれ二回ずつ投げたクアッフルを止めてもらった。

 それで私が求めたのは、一度目は加減してもらって常人の中でかなり凄い程度に。二回目は各自全力でやってもらうことにした。

 それで、始めのうちはあまりいい成績の人はいなかったけれど、そのうちコーマック・マクラーゲンと言う七年生が六回のうち三回を止めてみせた。けれど、残りの三回も同じように止めようとしてケイティの二本目のシュートに吹き飛ばされて尻からゴールポストの穴に突き刺さって気絶してしまった。

 ……まあ、予想通りかな。新人であるデメルザのはともかくとして、そう簡単にジニーとケイティの本気のシュートを止められてたまるものかと。

 それからロンの番になり、何故かジニーとケイティが全力以上の全力でちょっとヤバい威力のシュートを打った。まるで『今までのシュートは遊び以上の意味はありませんでした、本気でやるわけないでしょ?』と言わんばかりの威力の差に、コーマック・マクラーゲンも顔をひきつらせるだけで文句の一つもなくキーパーを諦めた。

 ……ちゃんと加減するようにって言ったのに、ロンが相手の時だけ一回目から他の人達に見せた本気と同じような威力と速さでやってたし……平等にって言ったのに。

 

 まあ、これでクィディッチ・チームのメンバーが揃った訳なんだけれど……とりあえず、まずは試合に出して使い物になる程度まで鍛え上げないといけない。特に新しくチェイサーになったデメルザは。

 チェイサーこそがクィディッチでは勝敗の鍵を握る。二年ほど前のクラムがそうだったように、シーカーがスニッチを取って試合を終わらせた時に相手の点数が160点以上こちらよりも上だったら負けてしまう。そうならないようにそれだけの点差がつけられるよりも早く試合を終わらせてしまえばそれが一番の道なんだけれど、そう上手く行かないことだってある。

 だからこそ、得点役であり防御役でもあるチェイサーの力が重要になってくるわけだ。

 

 ……私? 私は今まで殆ど負けたことはないし、スニッチを見つける速さで負けたこともあまりない。どちらもハリーさんを除くけれど、それでも初めにスニッチを見付けるまでに10分以上かけたことはない。

 唯一負けた相手がセドリックだけど……二勝一敗で勝ち越しているからそこまで気にはならない。でも、負けた時は悔しかったからさらに練習を重ねたけどね。

 

「……と、言う訳で……ハリーさんが用意してくれたこちらの『クィディッチ用心粉砕機』と対戦しましょう。勝てとも負けるなとも言いません。ただ、この『クィディッチ用心粉砕機』の動きは実在する人物によって実行できる動きだと言う事が証明されているから、いつかは勝てるようになるといいね?」

「何その不吉な名前!?」

「ハリーさんが『心を鍛えるのに付き合うのが面倒』って作ってくれた。ちゃんと肉体的には再起不能にならないでくれる程度には加減してくれるみたいだから大丈夫だよ?」

「精神的には!?」

「意思を鍛えるために精神に負担をかける道具なのに、なんでリミッターをつけるの?」

「精神的に死にかねないからだよ!」

「大丈夫。何回か精神的に死んで人形みたいになっても生きていけるから。体験談だから確実だよ?」

「こんなところで久し振りにエリーのさらっと重い話が出た……だと……?」

 

 なんだか周りが『ざわ……ざわ……』し始めたけど、私は気にせず『クィディッチ用心粉砕機』のスイッチを入れる。

 

「じゃあ始めるよー、みんな箒に乗ってねー。

 ……あと、気を抜くと死ぬから気をつけてね」

「やっぱり死ぬんじゃないか!?」

 

 ゴールポスト前のロンが騒いだけれど、私はそ知らぬ顔で空に上がった。

 まあ、折れても大丈夫。強くなりたいと思い、ちゃんと正しい努力をすれば強くはなれるから。

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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