ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side エリー・ポッター

 

その後はもう本当に色々あった。まともじゃない味の百味ビーンズの粒が物凄い勢いで前の車輛に飛び込んでいって大騒ぎになったりとか、ロンの兄弟の双子さんがロンに軽く挨拶に来たりとか、プラチナブロンドの少年と大柄な少年二人がいきなりやって来て額にクヌート銅貨を叩き込まれて気絶したまま前の方の車輛に一塊になって連れていかれたり、自分のカエルがいなくなってしまった男の子がやってきてカエルを知らないかと聞いてきたり、ハーマイオニーって言う女の子が来て色々と話をしたり……そうこうしている間に私達の乗る特急列車はホグワーツに到着していた。

 

「……着いたみたいだ。それじゃあ行こう」

「……うん。ハリーさんも……っていない!?」

「は? なにが……いない!?」

 

結局殆ど眠りっぱなしだったハリーさんに到着したことを伝えようと見てみれば、いつの間にかハリーさんの姿はそこから消えていた。私達の前を通らなくちゃ外には出られないはずなのに、いつの間に……。

 

「……透明マントでも持ってたのかな……? それで、エリーがコンパートメントを出る時に一緒に……」

「でも、私が戻ってきた時にはそこに居たよ……?」

「……どうなって……?」

 

ロンと二人で首を傾げていたけれど、それより今は汽車から降りることを優先した。ハリーさんが先に降りていたならそれでいいし、居なくてもまあ……ハリーさんだし何とかすると思う。瞬間移動してとか。

そうやって自分を納得させてから汽車を降りる。荷物はそのままでいいって言うことだったので置いていくけれど、杖やお金と言った大切なものだけは持っていく。

 

「よう」

「ほんとに居たよ」

「……どうやって先に出たんですか」

「『出たいな』と思ったら出てた」

「……ロン、ちょっと聞きたいんだけれど……魔法族って、そう言うものなの……?」

「違うよ。普通は無理。いや、できる人も居るだろうけど普通やらない」

「……そうなんだ…………」

 

降りてすぐのところでハリーさんを見付けた。やっぱりいつも通りになんでもない顔をしてとんでもない事をやらかす人だ。私と違って魔法使いの純血であるロンがそう言うんだから、やっぱり普通ではないんだろう。

私はジト目でハリーさんを睨むけれど、ハリーさんはやっぱり平然としている。むしろクスクスと笑って私達の反応を楽しんでいるようだ。

 

「ほら、森番さんが呼んでいる。早く行ったらどうだ?」

「……ハリーさんもですよ。一年生なんだから」

「はっはっは、娘っ子も元気になったな。初めて会ったときにはあんなに引っ込み思案だったのに、今ではこんなにアグレッシブにツッコミを……」

 

はっはっはと笑い続けるハリーさんの後ろに回り、ハグリッドの居る方にぐいぐいと押していく。ハリーさんはそれに逆らうことなく押されていくが、なぜかロンはそれを呆れたような目で眺めている。

 

「まあ、安心するといい。とりあえずはのんびり着いていかせてもらうさね」

「そうしてください」

 

ぐいぐいと押し込み続け、ついでにハリーさんを周囲からの視線への盾として進む。私よりずっと背が高くて、私より少し肩幅の広いハリーさんは、視線避けにはちょうどいい。かなり背が高い方であるはずのロンでさえ、ハリーさんには少し届かない。

……流石にハグリッドよりはずっと小さいけれど、それは仕方がない。ハグリッドより大きい人なんて見たことないし、正直居るのかどうか……。

 

そうやってハリーさんの影に隠れたまま船に乗り込み、湖を越えて蔦のカーテンを抜ける。船を降りたところで、汽車の中でカエルを探していた男の子が逃がしたらしいカエルが見付かったりした以外には大したことも起きず、私達は大きな扉の前でしばらく待つことになった。

 

「組分けの儀式……いったい何をすることになるんだろう……?」

「さあ? 試験みたいなものだと思うけど……フレッドはすごく痛いとかいってたけど、きっと冗談だ」

 

ロンも何が起こるかは知らないらしい。きっとこの場に居る誰も詳しくは……。

 

「…………」

「ん? なんだね娘っ子。そんな最高に最悪だとでも言いたげな表情を浮かべて。組分けの儀式の詳細でも知りたいのか?」

「……はい。知っていますか……?」

「別に呪文を唱えたりなんかと戦ったりする訳じゃないから安心しろって。早い奴なら一秒程度で終わる、簡単な事だから。なにせ帽子を被るだけだし」

 

……帽子?

 

「……それだけ……ですか?」

「それだけ。ちなみにいくつかに適正があれば直接言えばある程度反映してくれるから、素質さえあるなら自分の行きたいところに行けばいい」

「はあ……」

 

あまりにも当然のように言うハリーさんだけど……いったいそんなことをどこで知ったんだろう? ハリーさんはマグル生まれだって言っていたから周りの人から聞けるわけがないし、そもそもハリーさんの周りには人がいないって言う話だし……。

気になったことを聞くことは、ここでは禁じられていない。私はハリーさんに聞いてみた。

 

「……どうして、ハリーさんはそんなことを知っているんですか? どうやって知ったんですか?」

「俺って時々寝てる間に幽体離脱するんだよな」

「直接見てたんです!?」

「去年のこの日にも離脱してなぁ……」

「完全に直接見てたんですね!?」

「つまみ食いした料理のまた美味いこと」

「霊体のままつまみ食い!? なんて自由な!?」

「嘘だ」

「嘘なの!?」

「本当は霊体じゃなくて分身がな……」

「似たような物だった!?」

「嘘だ」

「また嘘なの!?」

「さっきの霊体化して云々は嘘だ」

「それさっき聞いた!嘘だって言うのも聞いた!」

「というのは嘘」

「嘘なの!?」

「……ではない」

「じゃないんだ!?」

「と言うのも嘘ではない」

「また嘘……って嘘じゃないんだ!?」

 

ハリーさんのからかい方はわかりづらい。物凄く真顔で言ってくるものだから、嘘と本当の区別がつかなさすぎて……。

 

そんな感じにハリーさんに弄ばれている間に時間は過ぎて、何の心の準備もできずに私は組分けの儀式に参加することになってしまった。

ハリーさんが言った通りならば組分けの儀式に緊張することなんてほとんど無いんだけれど、ロンが言うには普通は分身とか幽体離脱とかそんなことはできないらしいので、いくらなんでも……ねぇ?

 

「俺の言ったことが合ってたら、娘っ子の目の前から糖蜜タルトとプディングが姿を消すことになるが構わんな?」

「構いますよそれ!?」

 

と言うか今私の考えてることバレてた!?

 

「開心術という術がある。動物と心を通わすのに実に便利だ」

「……確かに便利そうですね」

 

うん、覚えてみよう。

 

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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