ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
さて、DA会合が再開したのだけれど……その前に、会合の場所が大きく変更になった。
理由はいくつかあるけれど、まずは『必要の部屋』の事を多くの人に知られないようにすることが一つ。それからこの会合の事を他人に知られても大丈夫になったからと言う理由で利便性を求められたからである。
そう言うことで、今は誰もが知っている上に使いやすい大広間の扉の向かい側に、一枚のカーテンがかけられている。そこはハリーさんがちょっとした道具を使って部屋を一つでっち上げていて、ハリーさんのみが開閉することができるようだ。
多分だけれど、これはハリーさんの持っていたマントの中を避難所にしたあれと同じなんだろう。道具なのか魔法なのかはわからないけれど、流石はハリーさん。常識とかそう言うものを完全に凌駕しているね。
さて、そこで行われているDA会合の話なんだけれど、ここでは参加者はいくつかの組に分けられている。
分けられる理由は簡単。今年から入った殆どの人は、残念ながら私達に歩調を合わせるとあっという間に潰れてしまうと判断されたのだ。
だから、そうして付いてこれないだろうと言う『常人組』と、トップクラスをひた走る『異常人組』の二つに分けられている。
ちなみに、フレッドとジョージとセドリックが卒業してしまったのでホグワーツ10怪人の席が三つ空いてしまったのだけれど、空いた席にはネビルとハッフルパフのアーニー・マクミラン、レイブンクローのジャスティン・フィン・フレッチリーが入ることになった。
正直なところ以前の皆の方が間違いなく強かったとは思うけれど……まあ、皆が皆始めから強かったわけじゃないだろうし、だいじょうぶだよね?
そう言う訳で、私達は私達で色々な危険が伴ったり非常に難しいと一般的には言われていたりする魔法を習い、新しく入ってきた人達はハリーさんの出す基礎訓練で基礎の基礎から積み上げを始めている。
……ただ、新しく入ってきた人達のやっている運動はやったことがないような気がするけれど、実際にやってみたら余裕綽々でできてしまったことに驚いた。私達が呪文ばかりやっていてずるいと思ったんだろうけど、残念なことにDAメンバーに全く異常じゃない人なんて私を含めても皆無。基本的に体力的な方には向いていなくても、マグルのオリンピック選手それぞれの記録をまるっと塗り替えることくらい簡単なことだ。
それに、魔法を使うとお腹が空く。ハリーさんに言わせるとこれはつまり、魔法使いの身体は外から魔力を取り込んだ時にそのまま使うのではなく、自分の身体の中である程度自分に合うように調整してから魔力として使えるようになるそうなのだけど……その『自分に合うように調整する』所と『使うために制御する』所で体力を使うんだとか。
まず、取り込んだ魔力……これをハリーさんは『マナ』と仮に呼んでいるんだけと、マナに体力を混ぜ合わせることで自分に扱えるようにすることができるらしい。
希にこの行程を上手く行えなかったりする人が居て、全く混ぜられなければ魔力はあるのに使えなかったりするし、多く混ぜすぎると使えるけれど非常に効果が弱くなったりするし、逆に魔力に対して体力を混ぜる量が少なすぎれば制御が非常に困難になったりするそうだ。
なお、魔力の純度は魔法の効果の強さに直結するために体力を混ぜる量が少なくなれば魔法の効果自体は強くなりやすいそうだ。
また、そんな風に濃くて操りにくい魔力でも平然と操ってしまう天才というのはいつの時代にも居たらしく、現代ではダンブルドア先生やヴォルデモート、ハリーさん等がそれに当てはまるという話を聞いた。
ただ、ハリーさんの知り合いには自分の魔力が全く含まれていないにも関わらずに空気中の魔力を自分の意思で自由自在に操ることができた人が居るそうだ。
ハリーさんもちょっと真似してみたらできたそうだから、もう本格的に人外まっしぐら。いったい人間とはなんだったのか。きっと人間とは新しい階梯を昇るための踏み台的な位置にあるんだろうね。と言うか人間と言う存在そのものが踏み台なんだよきっと。
……ちょっと錯乱してた。今のは忘れて。私は確かに無言呪文はデフォルトでできないとおかしいと思ってるし、100メートルを8秒フラットで走れない人を見たらどこか身体の調子でも悪いのかと思うようになっちゃってるし、マラソンはやりたくないけどやろうとすればタイムは一時間くらいでいけないこともないし、垂直跳びは足の裏が自分の身長の1.5倍くらいの場所にいけるし、反復横跳びは秒間十五回くらいはできないと体力……と言うか身体能力面で優れているとは口が裂けても言えないと思っているけど……それでも私はまだ普通の感性を残してる!まだ大丈夫!
「いやアウトだよ」
「アウトよ」
「アウトだろう」
「アウトだ」
「アウトかな」
「まあアウトだろうな」
「それはもうアウトだもン」
「娘っ子、アウトー」
「むしろダウトだと思うんだが」
「誰が上手いこと言えっつったよフォイフォイ」
まさかのほぼ全員からのアウト判定。と言うか、ハリーさんからのアウト発言は正直納得できない。人間として一番アウトな人であるハリーさんに人間としてアウトと言われたくはない。
と言うか、私にばかりアウト判定が出ているけれど実際のところDAメンバーのうち古株の誰もがハリーさん以外の人を常識外れだのなんだのと言える立場にないよね? 特にロンとハーマイオニーとマルフォイ。
三人は一位であるハリーさんが二位以下に百倍差どころじゃない差をつけてるから目立たないだけで、ハリーさんが居なかった場合には間違いなく『ホグワーツ三邪神』とかそんな感じに呼ばれてるだろうと簡単に予想できるじゃない。ハリーさんにもだけど、三人にも言われたくないよ?
「……まあ、僕としてはハリーさんよりはましだと言われればそれで……」
「僕もそんな感じだな。ハーマイオニーは?」
「一部においてエリーの方が取り返しのつかない感じになってるけど、そこに目を瞑れば同意見ね」
……なんだかハーマイオニーの言葉に含むものがあるような気がするけれど、なんだか三人はある程度自分の異常さを受け入れているように見える。そうやって自分を自分として受け入れることができるのは……ちょっと羨ましいかな。
私は、ハリーさんが認めてくれれば正直周りがどう思っていてもそこまで気にしないのだけれど、ハリーさんがあまり人の輪から外れすぎないようにハリーさんへのツッコミ役をしているだけだし……ね。
……ハリーさんのためじゃなかったら、誰がこんな疲れることをわざわざやりたいと思うのか。私がそうやった方が色々とハリーさんが動きやすくなるだろうからこうしているだけだし。
……歪んでるなぁ……私。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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