ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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投稿する場所を間違えました。直しておきます。


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 side エリー・ポッター

 

 私が今年取る授業は、『変身術』、『闇の魔術に対する防衛術』、『魔法薬学』、『薬草学』、『呪文学』、『魔法生物飼育学』の六つ。これからどんな仕事につくつもりかは考えていないけれど、とりあえずとれるものでかつやる気のあるものを全て取っておくことにしたのだ。

 いつか未来で役に立つかもしれないし、役に立たないまま終わるかもしれない。けれど、知らなければ役に立つか立たないかすらもわからない。そんなのはあまりにも勿体無さすぎる。

 そんなわけで申し込んだ六つの授業だけれど、早速一つ目スネイプ先生の『闇の魔術に対する防衛術』のクラスに行こうと思う。

 

 スネイプ先生が『魔法薬学』から『闇の魔術に対する防衛術』に鞍替えしてしまったのは残念だと思うけれど……スネイプ先生は『闇の魔術に対する防衛術』にも深い知識を持っているようだからその辺りを心配することはない。ただ、単純に私が『魔法薬学』の授業をスネイプ先生から受けたかったなと勝手に思っていたというだけの話。スネイプ先生は悪くないし、私自身も悪くない。この事に関して誰かが悪いなんて言うことは無い。

 まあ、それはそれとして……スネイプ先生の授業は割とスパルタだと言える。教科書を読むよりも実践で学ぶことの方が多く、実際に杖を振って覚えていく。

 ただ、DAメンバーは基礎技能として『無言呪文』を習得しているので一番初めの授業で困ることはなかった。DAメンバーにとって『無言呪文』とは呼吸するのと変わらないほど容易いことだ。私もできるし他の皆も当然できる。

 

 ……まあ、そう言うわけでスネイプ先生の初授業はちゃんと受けることができた。次は、スラグホーン先生の『魔法薬学』だ。

 受ける教室は今までと同じ地下牢教室。けれど今までのような牢獄らしい空気は無く、まるでちょっとした書斎のようにも見える。まあ、書斎と言うにはいくつも並んだ鍋が邪魔なんだけれど、それ以外に適切な表現が見つからないから仕方ないと諦めてもらおうと思う。

 

 ……で、スラグホーンの初めの授業なんだけれど……私は教科書の通りにやるのではなく、本能が囁く直感の通りに体を動かした。およその流れはそのままに、最近になってかなり本気で鋭くなり過ぎてきた感覚で行動する。材料を少し多めに取り、それから少しずつ混ぜ合わせていく。

 上手く作ることができればフェリックス・フェリシスという薬……あらゆる行動が自分にとって最高の形となるという効果を持つものらしい薬をくれるという話だったけれど、どうせ一番はハリーさんだ。だから私は頭の中で叫ぶ本能に任せて薬を作っていこうと思う。

 ……そう言えば、スネイプ先生がいつも黒板に書いていた薬の調合方法はやや難しい代わりに効果が高いものであることが多かった。教科書に書いてある内容とは少しだけ違っていて、私はいつからかその内容をメモとして残すことを続けていたっけ。

 

 ……さてと。それじゃあ現実逃避を辞めてしっかりと目の前のこれを見つめようか。

 

 色々な手を加えられた『生ける屍の水薬』は、すっかり透明になってしまっている。かなり手を加えたから失敗覚悟と言うか……失敗するだろうなと思いつつ作っていたものがまさかの成功。やり方は一応メモしておいたけれど、正直に言って役に立つとは思っていなかっただけに驚愕が前面に立つ。

 ……もしかしたら、私がフェリックス・フェリシスをもらえることになっちゃうかもね。ハリーさんが居るから望み薄だけど……と言うか、ハリーさんだったらもっと凄いことをしちゃうかも。『生ける屍の水薬』と同じ効果の全く別の薬を作ってしまうとか、その薬の材料が格安で手に入るから『死喰い人』達に便利な薬として使われるようになっちゃったりとか……まあ、色々と。

 

 そんなことを考えつつハリーさんの方をちらりと見てみると……なんだか金色の滴が跳び跳ねているのに一粒も鍋の外には出ない不思議な薬ができていた。

 

 ……どこかでみたことあるなーあのくすりー。具体的にはついさっき、ご褒美として渡されると言われていた薬にそっくりだなー。

 ……いやうん、とりあえず言いたいことだけ言っておこうと思う。

 

 ───予想外にも程があるよねこれ!? 課題のご褒美は欲しいけど課題はやりたくないからってご褒美の方を先に作っちゃうとか、予想外を通り越して最早呆れるくらいしかできないよ!? しかも作ったものが上級魔法薬学の教科書にも載っていないような超高難度のフェリックス・フェリシスとか、普通の一生徒には絶対できないよねそれ!? もう本当に今更過ぎるけど、ハリーさんって常識を無視しすぎだと思うんだ!

 そのせいだろうけど、『生ける屍の水薬』を一番上手く作ったのは私だったのが、インパクトを全部ハリーさんに持っていかれてしまった。別に困ったりはしないものの、厄介なことになりそうな気がしてならない。こう言う嫌な予感ほど当たるから困るよね。ほんと。

 

 ちなみに、出来上がったフェリックス・フェリシスはハリーさんの懐に消え、私は私でスラグホーン先生からフェリックス・フェリシスの小瓶(十二時間分)を手に入れることができたんだけれど……なんと言うか、凄く釈然としない空気が出来上がってしまった。

 フェリックス・フェリシスをこんな短時間で作るのはあり得ないとか、ハリーさんに向けて聞いたことのない人の名前を尋ねて縁戚関係を調べてみたようだけれど……残念、ハリーさんはマグル生まれでした。自称だけど。

 

 スラグホーン先生はマグル生まれを差別しないと口では言っているけど、実際にはマグル生まれで優秀な人が居ると凄く驚くよね。ハリーさんもそうだし、ハーマイオニーもそう。

 ……ああ、それと私のお母さんについてもそうだね。とても優秀だった、って話す割に、優秀であること自体を驚くような空気があったし。

 ……言ってることとやってることの間にかなりの差があるんだけど、それもまた人間の在り方の一つと言えばそれまで。そういう人間だと考えればいい。人間には色々居るからね。世界を滅ぼしたがる人が居れば、世界を救いたいと言う人もいる。人間には色々と居るって言う明らかな証拠となるだろう。

 

 ……でも、ハリーさんみたいな人間が他に居ることは無いと思う。正確には、そんな人間が他に居ると思いたくはない。心臓に悪いし、精神衛生的に最悪。ハリーさんは一人だけでいい。

 ……ハリーさんが何人も居たら、絶対に心臓が持たない。ハリーさんの膝に座って、右と左からハリーさんにご飯を『あーん』で食べさせてもらったりしたら……

 …………うん、死ねる。嬉しすぎて死ねる。嬉し死ぬ。

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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