ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 ホグワーツに到着。汽車の中でなんでかスラグホーン先生に呼ばれていたんだけれど、とりあえずご飯で忙しかったのでパスした。ハリーさんの作る料理は手抜きでも美味しくて大好きです。結婚してください。

 

 ……そう言えば、呼ばれていたのは私だけじゃなくてハリーさんとネビル、それにジニーも呼ばれていたらしいけれど……ハリーさんは呼びに来た人を眼力と殺意で窒息死させそうになっていたし、ネビルはネビルでフレッド、ジョージ、セドリックが抜けたお陰で空席になったホグワーツ十怪人の座に収まっているせいもあってか色々とそういったことに興味がなくなっているようで、DAの話をするために私達のいるコンパートメントにやって来ていた。

 まあ、話をしようにもハリーさんは普通に寝ていたし、あまり大きな声は出せなかったけれど、ルーナも交えて随分と有意義な話ができたと思う。

 ……一番驚いたのは、寝ていると思っていたハリーさんがふと目を開いて渡してきた紙の内容だったんだけどね。まさか、あの短時間でそれぞれの人達に合ったカリキュラムを組み上げられるだなんて、ハリーさんのスペックは本当にまともの域には入っていない。完全に逸脱してしまっている。

 ただ、流石にこれからDAに何人増えて何人がどんな方向に進めるのが一番効率がいいか、等を全て予想するのはできるかどうかわからないらしいので、どちらかと言うと頭を使う作業よりも身体を使う作業の方が得意らしいと言うことはわかったけどね。

 

 ……魔法よりも自分の身体を使う方が得意な魔法使いって……どうなんだろう?

 

「とある魔法使いは言いました。『Lvを上げて物理で殴れば基本的にはどうとでもなる』と」

「それ言ったのっていったいどこの脳筋魔法使いですか!?」

「……ん? 『それ』ってのはなんだ?」

「だから、『Lvを上げて物理で殴れば基本的にはどうとでもなる』なんて言ったのはどこの誰なんですかと聞いたんです!」

「俺の妹が言ってたな」

「へー妹さんですかって妹ぉ!?」

 

 食事中だったけれどついつい叫んでしまった。なんだかかなりの人数の視線が私とハリーさんに集まっているような気がするけれど、今の私はそんなことは気にしない。

 

「ハリーさんって妹さんが居たんですか!?」

「ああ。時々俺の料理を食わせてやると一心不乱にかつ美味そうに食う奴でな。これが中々可愛いんだよ」

「でもハリーさんに『Lvを上げて物理で殴れば基本的にはどうとでもなる』なんて言ったんですよね!?」

「言ったな」

「妹さんなんだか凄い脳筋!?」

「一部において俺より勝ってるからな。ホグワーツでいったいどんな行動をするのか今から楽しみでな」

「一部ハリーさん以上!? しかもホグワーツに来るの!? 本当に!?」

「ああ。前に連れてきたこともあるんだが……」

「見たこと無いですよ!?」

「そうか。間違いなく見たことはあるはずなんだが……あ、もしかして娘っ子はゴーストとかポルターガイストとは違うガチの幽霊とか見えない人か?」

「……え? それをこの場面で聞くってことは……その妹さんって…………」

 

 ハリーさんはにっこりと笑顔を浮かべ、無言のままに金の大皿に盛られていた料理を取り分けて私に勧めた。きっとその料理は美味しかったんだろうけど、あまり味はわからない。

 

「……まあ、別にいいんだよ。俺は幽霊も亡霊も見えるタイプだし、幽霊亡霊でも食える飯を作れるしな。ペットもいるし、寂しいことはない」

「……ハリーさん…………」

「妹も生きてるしな」

「そうで…………ハイ?」

 

 しれっとそんなことを言うハリーさんに聞き返してみる。なんと言うか、ハリーさんにもしんみりした事情があると思ったのに……。

 

「いやほら、俺は『妹がいる』って話しはしたし『ゴーストとかポルターガイストとかじゃないマジな幽霊も見える』とは言ったが、別に妹がマジな幽霊だとは一言も言ってないわけで?」

「なんかもうほんと色々と台無しですよ!」

「ちなみに妹もホグワーツに入学するだろうと思っていた」

「増えるの!? ハリーさんのような厄介事がさらに増えるの!?」

「安心しろ。なんとかなるって。ちょっと犯罪者に命を狙われたり、とある組織に命を狙われたり、本人が俺に割と依存傾向で俺から暫く離れていると勝手に発狂と自我の再構築を繰り返しているような娘だが、悪い奴ではないんじゃないか? 何をもって『悪い』とするかは人それぞれだから断言はしないが」

「つまり安心はできないってことなんですねそうなんですね!?

 ……でも、私ハリーさんの家に遊びに行った事があるどころか暫く泊めてもらったこともありますけど、妹さんの事なんて知りませんでしたよ?」

「そうか? 絶対に目についたと思うんだが」

「……その妹さんって、実は透明になれたりしないでしょうね?」

「『透明マント』を使えばなれるぞ」

「それで透明になれない存在の方が珍しいですよね!?」

「使わないでもなれるかもしれないがな。去年辺りに方法は教えたし」

「ハリーさんの妹はハリーさんにそっくりなんですねわかりました!」

 

 ……あれ、どうしてだろう? さっきから顔も知らないハリーさんの妹さんに向けて色々言っているだけなのに、なんだか盛大に私に突き刺さってるような気がするんだけど……?

 

「……」

「……なんで笑いを堪えてるんですか?」

「気にするな。ちょっと笑える自爆と言うか、盛大なブーメランと言うか、そういった感じのものを見ただけだ」

 

 …………なんだかこの話題を続けるのが危険な気がしてきた。私の本能がそう言っている。

 ただ、同じように『話を続けるべきだ』と本能が叫ぶ声も聞こえるのだけれど……いったい私はどっちの言葉に従えばいいんだろうか?

 

「とりあえず今は食事を続ければいいんじゃないか?」

「……そうですね!」

 

 さっきの一口はあんまり味がしなかったけど、今度の一口はちゃんと味がした。うん、やっぱりホグワーツのご飯は美味しいね。さっきはなんでか味がわからなかったんだけど。

 

「美味いか?」

「ふぁい!」

 

 ハリーさんからの問いに頷いて返す。しもべ妖精振興福祉協会のハーマイオニーには悪いけれど、美味しいものは美味しいんだから仕方がない。

 ……でも、確かに屋敷しもべ妖精だって休みやお給料を貰ってもいいと思うよ? 協力できるかどうかはわからないけれど、ハーマイオニーの言うその在り方には一応賛成するかな。

 だからと言ってハーマイオニーみたいに無理に帽子や靴下を与えようとしたり隠しておいたりはしないけどね。

 個人的には、自分から動かない者に救いの手が差し伸べられることはないと思ってるからね。昔の私への戒めと言う意味も込めて。

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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