ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
予想した通り、ダンブルドア先生は新しい先生を迎え入れるために行動していたらしい。名前は『ホラス・スラグホーン』と言い、私の見立てでは『多少厄介な小市民』と言うところに落ち着いた。
才能や野心などによって未来で出世する人を見抜けるのは素直に凄いと思える。何しろそれは有能無能で完全に決まるものではなく、人脈や人付き合いの上手さ、その時の魔法省の状況等によって著しく変動する。それをある程度とはいえ予想できると言うのは、非常に有用な能力だと言えるよね。目的はあれだけど、やっていること自体は『完璧に近い先読み』だしね。
ただ、アンブリッジがホグワーツからいなくなった事に関して色々と言っていたけど、その事に関しては
「ドラゴンの逆さ鱗を引き剥がす。ユニコーンに無理に跨がる。バジリスクと睨み合い、ケンタウルスの尾の毛を抜き、小鬼との契約を破る。アンブリッジはそれとは比べ物にならないほどに危険な相手に無謀にも挑んでしまった結果、ああなってしまったんです。……スラグホーンさんは、そんなことしませんよね?」
……等と不思議そうに問いかけてみたら頷いてくれた。
それから、今の魔法省がどれだけ信用できるのかを聞いてみたら凄く口ごもったので、現状を正しく認識するだけの判断力もちゃんと持っていると考えられる。それがあるなら、今のホグワーツでもちゃんと健康的な生活を送ることができるだろう。
そういう感じにホグワーツに来た場合のメリットを大きく、デメリットを気持ち小さく話し、嵌めるも同然のやり方でホグワーツの教師になると言う答えを受け取った。
まあ、無理矢理だったとしても悪いことではないし、別にいいのではないかと思っている。嘘は一つもついていないし、本当ではないことも一つも喋っていない。
ただ、喋っていないことが多少あるだけで。
……まあ、そう言うわけで私の方の準備は整ったと言っていい。元から買い換えなくてはならないものなんて殆ど持っていなかったし、最近は凄く物騒だからと言うこともあって私が外に出ることはなく用意も完了してしまったので外に出掛けることもできない。みんなが私のことを心配しているのはわかるけれど……でも、かなりやりすぎ感があるんだよね。私の我儘かもしれないけど。
とは言っても、正直なところバルバモート達が本気になれば魔法省に乗り込んだ時のように護衛もなにも一切関係無しに攻め込んできそうだし、実際に攻められたら多分私達はあっという間に全滅してしまうだろう。
なにしろ相手はバルバモート。ダンブルドア先生と戦って一蹴した、一部の例外を除けば世界最強の魔法使いだ。そんな奴を相手に私がいったいなにができると言うのか。
……精々時間稼ぎくらいだろう。それも、全力でやって三秒は持たない。
そうなったら私はきっと殺される。バルバモート自身の手で、無慈悲に殺されてしまうだろう。そして世界はバルバモートの理想の世界になってしまう。
……まあ、バルバモートがハリーさんを世界から排除できるとは思えないけれど……ハリーさんはなんとなく自分がある程度の範囲を思い通りにできればその他の事は知ったことじゃないって言うスタンスを取ることが多いから、もしかしたらバルバモートをスルーして特殊な空間に引き込もって相手の熱が冷めるのを待ったりするかもしれない。
ハリーさんなら一人で数千年でも数万年でも生きていけそうだし、それだけ生きていればバルバモートもハリーさんの存在を忘れてしまうだろう。
ハリーさんの家の庭をまるごと異空間にでも移し替えれば暇潰しにピクニックに行ったりすることもできるようになるだろうし、それでハリーさんが困ることは殆ど無い。
……ハリーさんって本当に反則染みている。できないことがあるなら教えてもらいたいほどだ。死者蘇生とか時間移動くらいなら軽々やっちゃいそうな気がするし。
……前にもこれと同じような事を言った事があるけど、つい何度も考えてしまう。なにしろ相手はハリーさん。常識を蹂躙し幻想と現実の境界を取り払い空想を事実として体現することのできる理外の存在。多少人外っぷりが強化されても今更感が凄すぎる。
けれどそれは驚く機会が減ると言うわけではなく、残念ながらハリーさんに慣れても慣れてもまだまだまだまだまだまだまだまだ上があると言われたようなもので……流石ハリーさんだよね!で全てを終わらせてしまいたい。きっとその方が凄く楽だろうし。
さて、興味の薄い世界の話は置いておくとして、興味のある話をしよう。
私は今年、クィディッチ・チームのキャプテンに選ばれた。マルフォイも選ばれたそうだけれど、私にはキャプテンだと言うことを表すバッジに手紙が一つ同封されていた。差出人は明記されてはいなかったけれど、字から考えれば多分マクゴナガル先生だと思われる。
内容を一言で表すと……『ハリーさん出場は最終手段としても禁止と言うローカルルールを作りましたので参加させないように』と言うことだった。
……いやまあ確かにハリーさんの参加はかなり反則に近いと言うかむしろ明文化されてないだけの反則みたいなものだったから別に構わないけれど……明文化してしまうのはいいんだろうか? ある意味差別みたいなものだと思うんだけど……まあ、相手がハリーさんだししょうがないって言う部分はあるよね。間違いなく。
そう言うわけで今年からは私がチームを率いらなくちゃいけないし、私がチームメイトを探してチームとして成り立たせなくちゃいけないんだけれど……何がきついって、ホグワーツの誇る十怪人のうち三人が卒業してしまった事だろう。
一人はハッフルパフなのでそこまででもないんだけれど、フレッドとジョージがいなくなってしまったのは非常に痛い。腕のいいビーターを二人同時に失ってしまった。
これが一人ずつだったら技術を後の人に教えることもできたんだろうけど、残念なことに二人同時ではそれもできない。ビーターが突然弱くなるだけでなく、熟練のチェイサーが二人さらに減る。本当にどうしろと。
……ああもう本当に胃が痛い。これで他のチームに勝つ方法なんて、正直に言って『開始とほぼ同時に私がスニッチを取る』くらいしか考え付かない。
……実のところ、ハッフルパフからセドリックがいなくなったので大体の相手に狙えそうな手ではあるんだけれど、流石にそれをやってしまったらいくらなんでも顰蹙を買う程度じゃ済まないよね。いやほんとに。
なんとかしていいチームを作らないといけないんだけど、残念なことに宛があまり無い。とりあえずロンとジニーでキーパーとチェイサー一人は確保できるとして……後は選抜かな。人外的な選手であるロンとジニー、できればケイティの三人と私で枠を四つ埋めておきたい。じゃないと残った相手のチーム達には勝てそうにないしね。
……頑張ろう。うん。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き