ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
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side エリー・ポッター
沢山の人が色々な場所でバルバモートに殺されている。
魔法を使えないマグルを中心に、マグル産まれや半分マグルと言う人達がかなり襲われているらしい。
ハリーさんの言うことではマグル産まれはある意味では完全な純血一代目と言えるような状態にある筈なんだけれど、どうやら死喰い人はそんなことはどうでもいいと殺人を続けていた。
正直な話、マグルを皆殺しにすると言うのはよくない。どう考えても魔法使い一人に与えられる仕事の量が多すぎて間違いなく死ねるほどの量になるだろう。
それを抑えるのに一役買っているのが、マグルの労働力。つまり、マグルを皆殺しにするのではなく家畜として労働力を提供してもらえばそれでいい。
マグルの方が遥かに数が多いかもしれないが、バルバモートと言う強力無比な魔法使いがいるのだから数なんて物は頼りにならないだろう。
『戦いは数だよ兄貴』と言う言葉は確かにあるけれど、象を相手に一万匹の蟻がなにをできるのか。いったいどうすれば、機関銃を持った敵に竹槍で突っ込んでいって勝てるのか。戦いは数だと言う言葉は、少なくともその一つ一つの物が相手になんらかの損耗を強いることができる程度の能力を持っている事が前提となっているんだけれど、相手が何の気なしに動いているだけでこちらに甚大な被害が出る上、あちらには何の痛痒も与えられていないとなれば……間違いなく勝率はゼロに等しいだろう。
相手がマグルだろうが魔法使いだろうが、世界を身一つでひっくり返せてしまうだけの実力を持つ相手。そんなのが敵に居るって言うのは、最悪に近い。
世界を相手に勝ち抜ける人と言えば私にとってはハリーさんだけれど、バルバモートはそんなハリーさんとなんらかの繋がりがあるらしい。
それがいったいどんなものかはわからないけれど、とりあえず勝利は絶望的。ほんの僅かな繋がりと言えど、繋がっている相手が相手だ。いったいどんな風に世界が動いていくのか、全く予想ができない。
ただ……凄く、嫌な予感がする。なんだかよくわからないけれど、凄く不吉な未来が待ち受けていそうな……そんな予感がする。
……まあ、それはそれとして今年の準備をしなくちゃね。私のOWL試験の成績は、『天文学』と『魔法史』が【可】。『占い学』が【不可】。『魔法生物飼育学』と『呪文学』、『薬草学』、『変身術』が【良】。『闇の魔術に対する防衛術』と『魔法薬学』が【優】と言う、かなり良好な成績だった。
この結果からすると、とりあえず『呪文学』、『変身術』、『闇の魔術に対する防衛術』、『魔法薬学』、『薬草学』の六つの授業をNEWTレベルで学ぶことを許された……と言うことだ。
だったらそれなりの準備をしなくてはならないのだけれど……私は何故かダンブルドア先生に連れられて皆とは別行動をしている。
私がこうしている間に、ウィーズリーおばさん達が私の分の教科書を揃えておいてくれるそうなんだけれど、私はいったいこの場所で何をすればいいんだろう?
……よし、推理してみよう。頭を回すことは大切だからね。回していないと錆び付いてしまう。
まず、ダンブルドア先生が今欲しているものについて予想してみることにする。
ダンブルドア先生はバルバモートに敗北し、杖の忠誠心を奪われてしまっている。ただ、それはあくまでも当時使っていた節くれだった黒い杖のことで、それ以前に使っていたらしい杖は未だにダンブルドア先生に忠誠を捧げているらしいから大丈夫。無理に取り戻す必要はない筈だ。
では、他になにか足りないものと言えば……バルバモートを倒すために必要な武器か、あるいは情報。けれど、そのどちらだったとしても私をわざわざ連れてくる必要は全く無い。となるとバルバモートとはあまり関係はないものだと予想することができる。
では、欲しいもののランクを『世界のため』から少し下げて、小さいところから見回してみよう。
ではまず『学校』のことを考える。すると、去年に『闇の魔術に対する防衛術』の教師を曲がりなりにも勤めていたアンブリッジが辞め、殺害されたことで教師の数が足りなくなっている。足りないのは『闇の魔術に対する防衛術』なので、そのための教師を探しに来た……って言うのはどうだろう? これなら『私を必要以上の危険に触れさせておらず』、『人によっては私の協力があった方が楽で』、『私以外に人がいては困る』理由になる。
……まあ、とりあえずその線で考えておこうかな。ダンブルドア先生は誰かをホグワーツの教職に誘いに来たけれど、ダンブルドア先生だけでは上手く引き込めそうにない。だから私の協力を得て、ホグワーツに誘おうとしている……と考えるべき。
だとすると、私の仕事は相手のことを見極めてそれに合った方法で相手をホグワーツに誘い込めばいいんだろうね。
となれば後は私はその場の流れに合わせて、普通の無邪気な子供のようににこにこと笑っていればいい。幸い……幸い!私の身長は低いから、十分に『ただの無邪気な子供』に見させることができるはず。
相手が誰なのかは知らないけれど、相手に下に見られることなら大得意だ。
……悲しいけどね。
実際に言葉に出された訳じゃないけれど……まあ、自分にできるだけはやろうと思う。こういうことをやっていかないと、私達はバルバモート達には勝てなくなっちゃうんだろうしね。
力じゃ勝てない。数でも微妙。技術もどうだかわからない。だったらもう相手にこれでもかと言うほど侮ってもらうしか生き残る方法は無いよね?
さあ、それじゃあ私ができるなりに相手を油断させるべく、するりと心の中の油断に取り入ろう。そこからじわじわと侵食して行き、相手の心の深い場所にいつの間にか睨みを効かせることができる立ち位置に立ってしまえば大体は終わる。
そう上手くいくかはわからないけれど……バルバモートが暴れている世界ではハリーさんとの幸せな結婚生活なんて送れなさそうだしね。私の野望のために頑張ろうと思う。
夢は大きく持たないと!叶えられるかどうかは気にしないで、夢を持つと言う事実そのものが重要なんだから。
……叶わなかったら悲しいから、いくつか保険はかけておくけどね。私は実は世界とか人類の命運とか割とどうでもいい派だし、基本的には壁を作っておきながらその壁に気づかせないようにしつつ人付き合いをする方だし、バルバモートに今の世界が滅ぼされてしまったとしてもきっとハリーさんだけは生き延びるだろうから……まあ、別にいいかな。私は間違いなく殺されてしまうだろうけど。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き