ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
DA集会で、毎回準備運動として『フォフォフォフォイ体操』が実施されることになった。実際に非常に高い効果を出していなければ受け入れられることはなかっただろうけど、マルフォイだけじゃなくてクラッブやゴイルまでがハリーさんの軽い拳(ただしドラゴンの鱗をスナック菓子のように叩き割れる)を受けて平然としているところを見せられたら大体の人はそれをすぐにやろうとしてくれた。
そして、一番初めにほぼ完璧に体操を終えたネビルがクラッブやゴイルと同じように頑丈になったことで、この集まりの全員にしっかりとした効果があると言うことが認識された。
まあ、効果があるとわかればちゃんと使うのがホグワーツ式。使えるのならなんだって使ってしまうくらいの強かさがなければ、ホグワーツでちゃんと生きていくのは難しいと言わざるをえないのだから仕方無い。
そして体操が終わればこの体操の効果を確認して、それから呪文を唱えて魔法を少しずつ覚えていく。ゆっくりとした成長だけれど、それでもどんどんと伸びていっているのだから文句はどこからも出ていない。
さて、今回は主に実用性のある呪文を使うようにしているらしい。おおよその攻撃系の呪文は学んだけれど、呪いを返したり防いだり、様々な場面で使える便利な呪文はまだ習っていなかったのでちょうどいいとか。
まずは広く浅く様々な効果を持つ『盾の呪文』の応用編。実のところ、『盾の呪文』は呪文だけではなく軽い物理事象……礫や炎などを防ぐのにも効果があるらしく、色々便利なので応用としてしっかり学ぶ。
それからハリーさんオリジナルの魔法である『身体能力強化魔法』を習った。逃げるにも殴るにも使える便利な魔法だから覚えておいて損はないらしい。
確かに非常に便利な魔法ではある。何をするにも凄く便利で、日常でも戦いでもいつでも使うことのできる魔法となるだろう。
ただし、使い方を誤ると大変なことになるようで……他人の身体の運動を抑制する機構だけをただひたすらに強化し続けると相手は最終的に心臓の鼓動や呼吸、内臓などの無意識に動かしている筋肉などの全ての運動が止まって死亡することになるそうだ。なんでハリーさんの使う魔法はいつも極めるとだれかの死亡に繋がるんですかね?
「気にスンナ。あと、使い方を間違えれば死に繋がる何てのはわりかしどこにでもある話だろう? 料理を作るための包丁だって人を殺せるし、調味料として使われる塩も多量に接種すれば腎臓を壊してしまう。俺が時々使う扇子も、首に当てて引けば切り捨てることだってできる。世の中なんでも使いようなんだよ」
「権力も?」
「権力は利用するものだ。できれば自分が権力を握るのではなく、他人に権力を握らせてそいつを自分の意のままに動かすというのが理想の使い方だと思うがな」
「……ハリーさんが黒い」
「髪の話か?」
「確かにハリーさんの髪も黒いですけど、今はお腹の中身の話です」
「今更だし言われ慣れてはいるが酷いねぇ」
くすくすと笑いながらハリーさんは『盾の呪文』で不可視の壁を作る。どうやらその盾は少し歪んでいるらしく、私が放った『失神呪文』を一点に集中させるように反射して威力を増幅させるように反射してきた。
私はそれを無言呪文で発動した『盾の呪文』を使って逸らす。威力が増幅された呪文をまともに跳ね返すなんて、それがどうしても必要な時でもなければやりたくはない。
そうして逸らした呪文は私の背後の壁にぶつかって砕け散り、私はすぐに呪文を唱えず魔法を使う。とりあえず、無言呪文はもうデフォルトだよね。こういった実践的な使用によって呪文の腕は上がっていくと思うんだけど……どうしてアンブリッジはあんなに非効率的な授業を進めたがるんだろうね? 意味がわからないよ。
「ホグワーツを魔法省の下に置くためにホグワーツの戦力を削ろうとしてるんだろ」
「それが元で自分達の首がどんどん締められているのに?」
「首が締まって気絶するより早く相手の首を飛ばせばいいと思ってるんだろ。あるいは自分の首が締まっていることにも気付いていないただの馬鹿と言う可能性もあるが」
「後者である方に5シックル」
「賭けにならんな」
無言呪文で魔法の応酬をしながら話をしていた私とハリーさんだけれど、その光景に引っ張り上げられていくように色々な場所での決闘もどきが白熱していく。
ロンの『粉々呪文』がマルフォイの『盾の呪文』を一枚砕いて消滅する。ルーナとネビルが撃った呪文が正面からぶつかり合って火花を散らし、フレッドとジョージの双子の杖が金色の光の糸で繋がっている。
そんな光景が『必要の部屋』の様々な場所で見られ、それだけで始めた頃との実力の差を理解するには十分だった。
そして最後には私の杖がするりと手から抜け、ハリーさんにキャッチされて私とハリーさんの魔法合戦は一時中断された。
話しながらも集中は続けていたせいか、私は全身から多量の汗をかいている。とりあえず、今回の会合が終わったらすぐにお風呂に入ろうと思う。臭いのは嫌だしね。
「よしよし、大分よくなった……となると次あたりは合成呪文かね」
「『合成呪文』ですって!?」
「知っているのかハーマライデぐべらっ!?」
ハリーさんの呟きを拾ったハーマイオニーがぐるりとこちらに視線を向け、そしていつもの通りにハーマイオニーをハーマライデンと呼ぼうとしたロンが『盾の呪文』を貫いたハーマイオニーの呪文に打たれて吹き飛んだ。痛そう。
「『合成呪文』とは、二つ、あるいはそれ以上の数の呪文を特殊な条件下の元に発動させると起こすことができると言う、普通は使われることの無い特殊な呪文よ!
基本的には呪文と言うものは一つで完結しているところに無理矢理全く違う呪文を掛け合わせることで二つの呪文の効果を混ぜ合わせた効果になったり、あるいは全く新しい効果を持つようになったりするわ!
ただ、同じ効果を求めるなら混ぜる呪文の威力の調整を完璧にしなければならないために安定した効果を出すことが非常に困難であったために歴史の影に忘れ去られていった技術の一つね!
以前に説明した『集束魔法』等との違いは、ある一定の効果を出すことができるか否か、と言うところね。
大雑把に言えば、ひたすらに塩水を濃くしていって塩の結晶を作り出すのが『集束魔法』で、水と塩をある一定ずつ混ぜて塩水を作るのが『合成呪文』ね。結果的に塩水ができるけれど、『集束魔法』は必ず塩と限界まで塩の溶け込んだ塩水ができるのに対して、『合成呪文』では結果がどうなるのかは用意された塩と水の量次第。そんな感じの差ね。
ただ、暴発の危険もあるから普通はあまりやる人はいないわね」
「だがやるぞ」
「安全なやつからお願いね」
ハーマイオニーは色々言いはしたけれど結局やるつもりらしい。まあ、学べるなら何だって学びたいんだろうけど。ハーマイオニーは研究とか自分の知識を増やすことが好きみたいだし。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き