ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
冬休みの間に特に何かがあるわけでもなく実に平和な時間を過ごすことができた。
……まあ、私は平和な時間を過ごせたけれど、誰もが平和な時間を過ごすことができたかどうかは微妙なところだ。むしろ、一部の人は戦々恐々としていたんじゃないだろうか。具体的に誰とは言わないけれど、ホグワーツ魔法魔術学校の現校長を務めるA・Dさんとか、ホグワーツ魔法魔術学校で現在公式には大成功している事になっているらしい一ツ橋とか、現在魔法省の最高責任者をしている捏ねるっス・ファットとか、その辺りの人達が。
……そう言えば、生徒が殆どいなくなっている間にアンブリッジはまた変な省令を出したらしい。
全ての教師は自分の教える科目について密接に関係することでなければ生徒に情報を与えることはできなくなってしまったし、何を考えたのか既存のクラブや団体をすべて解散させた上で再結成にはアンブリッジ自身の許可が必要になるようにした。それから後付けでかなりの量の悪戯道具が規制され、悪戯好きの生徒達の一部が悲鳴をあげたとか。
ただ、それに全くと言っていいほど関心を示さなかったのがフレッドとジョージの悪戯大将。自分達が作った新しい道具は、広まってはいるものの禁止はされていないと言うところからだろうけれど……できるだけそう言うのは先生の目の前で広めていくのはよくないと思うんだよね。
だって、知られていないから規制されてなく、規制されていないから合法なだけであって、正確に合法だとされているわけではない。
簡単に言うと、全く知られていない新しい麻薬はどれだけ危険だろうと知られていないから法による規制は無い……と言うのとよく似ている。ハリーさんのよく使う手だね。
そう言うことでホグワーツに戻ったのだけれど、一体全体何があったのかアンブリッジが最後に見た時に比べてかなり痩せていた。痩せると言うよりやつれると言った方がいいかもしれないけれど……何があったんだろうね?
「俺の予想だと、ついに呪いの強化期間が来たな」
「呪いの強化期間?」
ひょっこりとどこからともなく現れたハリーさんが言うには、前にかけた呪いは解呪されそうになると一度影響をやめて静かに潜み、かけられた本人の魔力を吸収して再構築と強化を繰り返して行くらしい。結果として巻き爪が酷くなって手足の指先の爪の横の肉が挽肉状態になり、ドアと言うドアを潜る度に金属製の盥が脳天に直撃し、喋ろうとすると舌を噛み、何にもない所で転び、くしゃみが出そうで出ない感覚に襲われ続け、魔法が尻から逆流して口から出るようになり、現在こうしてよれよれのボロボロになってしまっているのだとか。
つまり、アンブリッジがああなった原因はだいたいみんなハリーさんだと言うことですねわかります。予想の通りすぎてそれ以外に言葉が見つからない。
……まあ、ハリーさんに色々とちょっかいをかけちゃったせいでこうなってるんだから、私にどうにかできることじゃない。この状況じゃ、私はなんにもできないよ。死にたくないし、危ないところに自分から首を突っ込むような真似は絶対にしないように決めている私はアンブリッジを助けることはできない。助けたいとは思わないから好都合ではあるのだけれど、可哀想と思うのもまた事実。
「……エリーは優しいよな。アンブリッジ相手に可哀想なんて言葉が出てくるなんてさ」
「……アンブリッジって可哀想。……頭が」
「おぉっと最後に一言着いただけで印象も意味も真逆になったぞー」
「アンブリッジって可哀想。……全体的に」
「全体的に可哀想って言われるアンブリッジが可哀想になってきたんだが」
「一ツ橋は汚職を繰り返し、他者を蹴落とし、罪をでっち上げたり自分の罪を他人に擦り付けたりしながら権力の座に着き、気に入らない相手に権力を楯に無茶苦茶な要求をしたり、怖いからと言って半人間の迫害を合法化する法律を可決しようとしたり、俺の家の庭に吸魂鬼を送り込んできたり、俺に真実薬を盛ろうとしたり、俺が家にいない間に勝手に家宅捜索しようとして庭の動物達に襲われたのを俺のせいにして起訴しようとしたり、俺の財産を差し押さえようとして失敗して俺とグリンゴッツの小鬼のせいにしてきたり、自分に都合の悪い報告を全て揉み消して上司にはいい報告しかしないで万事が上手く行っていると思い込ませていたり、人を雇って俺の店に嫌がらせをしようとしてきたり、俺の店の店員に『服従の呪文』をかけて内側から壊そうとしたり本当に色々やって来てるんだが……可哀想か?」
「ハリーさんが後ろに居るのに気付かないでハリーさんに凄まじくちょっかいどころじゃない害を与えていた相手を『可哀想』とか言って擁護するような姿勢を見せちゃった。助けてくれハーマライデン、ハーマライデンはなんでも知っているんだろ!? この状況で僕が死なないで済む策を出してくれよ!」
「誰がハーマライデンよ。あと、私はなんでも知っている訳じゃないわ。知ってることだけしか知らないの。知ってることをそのまま使うのは私の得意分野だけれど、知っていることからとにかく考えを回して色々な情報を引っ張り出すならエリーの方がずっと上手よ」
「助けてハーマイオニー!助けてエリー!僕死ぬ!死んじゃうよ!?」
さっきひょっこりと現れていたハリーさんに気付かなかったらしいロンが、失言から命を落としてしまいそうになっていた。
………………。
「なにその『屠殺場に運ばれていく豚を見て「明日にはあの子達も綺麗に
「何を言っているの? 解体した豚は暫く低温で熟成させて旨味成分を作らせてからじゃないとショーケースには並ばないから、今日解体された豚が次の日にお肉屋のショーケースに並ぶわけがないじゃない。……あ、だからわざわざ『箱入りお嬢さん』が言ってることにしたのね」
「その情報凄くどうでもいいんだけど!? いいからタスケテ!ヘルツミー!」
「ヘルプミーじゃないかな」
ちなみにハリーさんはそんな風に慌てまくっているロンを見てにやにやしているので、多分ロンを殺しちゃったりはしないと思うんだけど……まあ、見ている分には凄く面白いので暫くこのまま置いておくことにしよう。
「ロンよ、何故もがき、生きるのか?
滅びこそ我が喜び、死に逝く者こそ美しい。
さあ、ハー子の胸の中で息絶えるがよい!」
「えっ……!」
「……今一瞬『それもいいかも』って思ったろ」
「なっ……ち、ちがっ……!?」
……ああもう、結局こうやってからかわれて終わるんだね。平和に終わってよかったよ。うん。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き