ハリー・ポッター ～ほんとはただ寝たいだけ～

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　side　エリー・ポッター

　今年度最後のDA集会……なのだけれど、『必要の部屋』がなんだか凄まじく飾り立てられていた。多分犯人はドビーだと思うけど、やりすぎだと思う。

　……いや、嬉しくない訳じゃないんだよ？　嬉しくない訳じゃないんだけど、流石に少し恥ずかしい。別に色々飾り立てるのは構わないけれど……やっぱり全体的にやり過ぎ感が凄いんだよね。

　お祝いしてくれるのは素直に嬉しいんだけど……。

　そう言うわけで、飾りつけを素早く取っ払う。ただ、全部取っちゃうのはドビーに悪いような気がするのでおよそ六割……いつもよりかなり豪華、と言う範囲に収まる程度で取っておく。

　まあ、全部取ってしまったとしてもドビーは気にしないだろうけど、それでも私が気になっちゃうからね。

　それから冬休み前最後のDA会合。ハリーさんの号令で、飛んでくるクッション(たまに中身が水銀だったり極小の鉛玉がたくさん入っていたりして地味に危険)に向けて『妨害の呪い』をかけていく。かなりの人数が失敗するけれど、一回目から間違いなく成功する人なんていないからこうして練習しているわけだし……本番で失敗しないようにする練習で失敗を重ねても文句を言う人はそういないだろう。……本番でちゃんと使えるようになっていればの話だけれど。

　その点で言えばネビルの成長ぶりは凄いと思う。最近ではネビルもまた異常人の枠に手をかけ始めているのだろう。それを言ってしまえば、DAメンバーのほとんど全員が異常の領域に踏み込み始めているんだけどさ。

　ハリーさんもその内容に満足できたのか、新学期の一度目の会合では『守護霊の呪文』等の高難度の呪文を練習するようになるかもしれないと言う話をしてくれた。

　……まあ、あくまで『かもしれない』だからそこまで期待できる訳じゃないんだけどね。

　それでも『守護霊の呪文』は魅力的だ。難度の高い呪文としてとても有名だし、それが使えると言うだけで結構なステータスになりうる。伝言や報告にも便利だし、一番は吸魂鬼に対する牽制にもなってくれるところだろう。本来の使い方で使う日が来ないでくれると嬉しいけれど、ハリーさんがここで教えるって言うことは……まあ、使うことになるんだろうね。

　DA会合が終わればみんなは一度家に戻る。正直に言ってアンブリッジの居るホグワーツに残ってまでやりたいことなんて無いし、もしも残ったとしてもまた色々としち面倒な条例とかを施行して来るだろうから居る意味がない。ハリーさんも珍しく一度帰るそうだし、残るとかもう選択肢に上っただけであらゆる方向から顰蹙を買うレベル。もうありえないね。

　ちなみに私も一度シリウスおじさんの居るあの家に帰ることになっている。その時には時々見るようになった夢について、色々話をしてみるつもりだ。

　ハリーさん曰く、私はバルバモートと繋がっている。と言うことは、バルバモートの行動が私の中に入ってくる可能性だって十分に考えられる。最悪、バルバモートが私の身体を直接使って行動することもあるかもしれない。流石にそれは困る。

　私の場合、起きている時には無意識に刷り込むくらいに『閉心術』を使い続けているけれど、眠っている時には周りの危険を察知しようと『開心術』に近いことをやっていることがわかっている。そうしていると私の心の防壁は薄くなり、バルバモートの行動がわかってしまったりするんじゃないか……と言うのがハリーさんの話だった。

　……そうだとすると何かがおかしい。私には経験がないからわからないのだけれど、いくら防壁が脆くなっていると言っても明らかに敵対している相手が意識に触れてきたら即座に守りに入ろうとするはずだ。私は……と言うか、私の身体は自分の命を守るために色々とおかしくなっていっている最中なのだから、普段理性が主体でできていることが本能が主体になってできなくなるとは思えない。

　なのにバルバモートは私の意識に触れ、そして夢として形を持って現れた。それはいったいどう言うことかと言えば……流石にそんなところまでわかるわけがない。

　私は見た目十歳未満の十五歳。マグルから見ても魔法使いとして見ても間違いなく子供で、実際に子供だ。

　そんな子供が必死になって集めた情報を自分なりに解釈してみたところでちゃんとした解答になるわけもない。集めた情報が足りなさすぎるし、ちゃんと筋道立てて考えられているかどうかも微妙な所なんだからある意味当然なんだけど。

　集めた情報そのものの精度については全く疑っていない。なにしろその情報の出所はハリーさんなのだし、嘘は全く混ざっていないはずだ。

　ただ、ハリーさんが言った言葉から考えると嘘自体はなくても本当ではない事が混ざっている可能性は大いにある。嘘なんて言わなくても人を騙すことはできると言うことを体現してるからね。

　そう言うところに気を付ければハリーさんからの情報は基本的に信じることができるし、最後に貰った情報が全て正しいかどうかを聞けばその辺りもちゃんと答えてくれるから確認はとれる。

　……何が言いたいのかと言うと、簡単に言ってしまえば『おやすみやっほい』だね。

　ここ最近はやることが増えた。授業はまた全般的に難しくなっていくし、DA会合はやっぱり秘密にしておかないといけないし、アンブリッジはまた変な条例を施行しようとするし、ロンは買って貰ったばかりの箒を取り上げられてしまうし、ハリーさんの行動が裏方としての物が増えたせいで予想ができなくなって被害は増えるし、本当にアンブリッジはろくなことをしない。ぶっちゃけろくでもないことしかしない。

　ろくでもないことしかしていないからハリーさんからろくでもない報復を受け続けて色々とやばいことになっているような気がするのだけれど、いいのかな？　本人がいいって言うなら別にいいんだけれど、実際にはほぼ間違いなくいいとは言わないだろう。自業自得だから助ける気はしないけど。

　……まったく、どうしてこう世界は自業自得で破滅したくせにそれを自分の行動の結果だと認めようとしない人で溢れているんだろう？　私だって自分の行動の結果として自分自身が若干人間と言う生物の枠から外れていっていることを嫌々ながらも認めているのに、いい歳した大人がどうしてそんなこともできないでいるんだろう？

　そして、そんなこともできない大人が当然のように権力を握って色々と横暴に振る舞っているんだけど……いつか殺されちゃうんじゃないかな？　社会的には死んじゃってるのと同じようなものだけど。

　去年に私達を困らせたリータだけど、不思議なことに今年は私達ではなく魔法省のスキャンダルばかりを狙っている。例えば魔法省の裏取引のことだとか、多数の失態や事故として処理されている無数の殺人事件の事などを、気味が悪いほど正確に書いている。

　そして書き方が変わった。嘘を混ぜながらただ煽る書き方ではなく、嘘は一切混ぜずに勝手に間違えさせる書き方に。

　……ハリーさんに洗脳でもされたのかもしれないけど……まあ、どうでもいいね。リータだし。