ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 帰ってきたばかりのハグリッドの初めての授業はこれまでに無いほど奇妙なものだった。具体的には、何もない所に何かが居るとして話が進められていくのだ。

 けれど、なぜかハリーさんは見ることができるらしく、何もないように見えるその場所を何度か撫でていた。

 ……ちなみにマルフォイはいつものごとく凄い摺り寄られていたようだ。あれは魔法生物達の一種の愛情表現なのかもしれないね。

 

 そんなふうに見えない動物がいると聞かされたけれど、どうやらハーマイオニーにはその動物の正体がわかったらしい。流石はハーマイオニー、ダンブルドア先生からライデンの名を受け継ぐに相応しいと言われているだけの事はある。

 ハーマイオニーが言うその生物とは、セストラル。自分に近しい者の死を直接見たことのある者でなければその姿を見ることはできず、基本的には敵対してくる相手にしか牙を剥く事は無いそうだ。

 魔法界ではセストラルのことを不幸の象徴だとか、危険生物だとか言っているようだけれど、生物が自分の命を奪われそうな時にそれに抵抗するのは当たり前なこと。人間……正確には魔法使いだけにその権限がある訳じゃなく、全ての生命に等しく許された行為なんだよ? それを放棄している生き物なんて、一部の屋敷しもべ妖精くらいなものだよ?

 ……と言うか、そもそも『権限』とか『権利』とか格好をつけて言っているけど、そんなものは本来存在しない。この世に存在するものはそんな名前だけの『権利』や『権限』ではなくて、『何をしたからこうなった』と言う『原因』と『結果』の連続のみ。その二つが複雑に絡み合った物が、今こうして私達が生きている世界になるわけだ。

 

 つまり、ハーマイオニーがロンとマルフォイから向けられる好意の板挟みになっているのも、ハグリッドがずっと怪我をしているのも、アンブリッジが両目を抑えて地面を転げ回っているのも、ハリーさんがアンブリッジから剥ぎ取ったマントで人刺し指(誤字に非ず)と中指を拭っているのも、マルフォイが相変わらず凄い勢いでじゃれつかれている感じなのも、アンブリッジが復活しそうになった瞬間にハリーさんの姿が一瞬ぶれてアンブリッジがまた転げ回っているのも、瓜売りが瓜売りに来て瓜売れないのも、アンブリッジが復活しそうになる度にハリーさんの姿がぶれてアンブリッジの眼球がピンチになるのも、みんなそれまでの世界全ての行いが廻り廻ってここまで来ただけなんだろう。

 

 ……これもある意味じゃあ一つの『運命論』って言うやつになるのかな? 世界全てを巻き込んで行われる運命論なんて、聞く人が聞いたらかなり怒りそうな内容ではあるけれど……まあ、そのくらいは許してね? 私の勝手な想像の一つなんだからさ。

 

 ……あ、アンブリッジが目を守ろうとした手をどうやったのかハリーさんの指がすり抜けた。いやうん、本当にどうなってるのそれ? 人間の身体が人間の身体を透過したよ!? どうなってるのそれ!? ゴーストなの? 物体に触るも触らぬも自由自在なゴーストなの!?

 とりあえず本当にそうなんだとしたら、ニック達ゴーストに実体化の方法を教えてあげてください。ゴーストになってからご飯を食べたくても食べれないらしいので、是非食べれるようにしてあげたいです。

 

 まあ、それはそれとして、ハグリッドの授業は五月蝿いのがいなくなればそれなりに楽しいものとなった。正直に言って色々と危ないのは変わっていないような気がするけれど、それでも『尻尾爆発スクリュート』よりはずっとましだと思うしね。

 

 ……そう言えば、スクリュートはあの迷路でハリーさんに焼き尽くされちゃったんだっけ。あれがなかったらスクリュートがどこまで大きくなったのか少しだけ興味がなくもないけど、やっぱり色々やり過ぎ感はある。スクリュートってどう考えても途中からは生徒に面倒を見させるような生物じゃなくなってたし。

 あそこまで大きく強くなるんだったら危険生物として知られていてもいいような気がするけれど、スクリュートはやっぱりどんな本にもその存在が知られていなかった。やっぱりあれはハグリッドが独自に作り出したものと考えて間違いないらしい。

 できればアンブリッジを襲ってくれれば……いやいや、それはちょっと違うかな。えーと……アンブリッジが偶然に何者かに襲われてたまたま当たり処が悪くて奇遇にも意識不明の状態が続いてくれるようになったら嬉しいな……と言うことだね。

 別に『誰が』とも『何が』ともいわないけれど、もしかしたらそんなことがあるかもしれない事は間違いがない。『人間の想像できる範囲の事は全てが起こり得る魔法事象』と言うのは、ハリーさん曰くとある時空と平行世界を凌駕した魔法使いの言葉だそうだ。

 ちなみにハリーさんはその言葉を残した魔法使いの子孫と知り合いだと言う話。昔、従者として仕えていたことがあったのだとか。

 ……ハリーさんの言う『昔』がいったい何年前の事なのか。その時、ハリーさんはハリーさんであったのか。相手はこの世界の存在なのか。いったいハリーさんは何年生きているのか。ハリーさんはハリーさんとして以外に生きた記憶があるのではないか。質問したいことは山ほどある。

 けれど、山ほどあるからと言ってそれを質問していいと取ることはできない。むしろ、質問してはいけないと本能が判断することが大半だ。

 ハリーさんは隠し事が多い。そして、隠し事があることを隠さないことと、隠し事があることを上手くは隠さないことと、隠し事があることを上手に隠すことがある。

 大半の隠し事は初めの『隠さない隠し事』に入る。周りの人のちょっとした秘密とか、ちょっと調べれがわかるような簡単な事はあまり隠さない。聞かれれば答えるけれど、聞かれなければ答えないのがここに入る。

 上手くは隠さないものは、私がやろうとすれば何となく存在に気づくことができる物である。内容はわからないにしろ、存在にだけは気づくことができる。

 そして上手く隠しているものは、私も存在を認知することはできない。ただ、ハリーさんがあんなに分かりやすく隠し事をしておいてそれが全てだと言うことはありえないので、私が勝手に存在するとして考えているだけの物だ。多分、かなり下らないことから全力で隠さなければいけないものまで幅広くここに属しているだろう。

 遊びだからこそ本気でやると言うのがハリーさんの持論なので、下らない遊びの物が大半だろうね。

 ……そんな中に、極々一部だけ凄まじく重要な……それこそ世界を丸ごとひっくり返せそうな程の情報を隠しているに違いない。だってほら、ハリーさんだし? 正直な話、ハリーさんがバルバモートに成り代わって死喰い人を支配してもおかしいとは全く思わない。ハリーさんならそれができそうだしね。やるかどうかは別として。

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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