ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
クィディッチの試合は非常に熱い大接戦となった。
チェイサー同士のボールのやり取りに、キーパー達のスーパープレーが連発し、ビーターの打つブラッジャーが炎や氷を纏ったり、チェイサーがシュートする時に背中に何か巨大な影を背負って必殺シュートが放たれ、キーパーも同じように影を背負っては必殺技を受け止める。
チェイサーが凄まじい速度で駆け抜け、ブラッジャーが妨害し、魔法は使ってないのに魔法のような現象が普通に起きる。
……これが『超次元クィディッチ』かぁ……ハリーさんの言った通り、なんと言うかもう理解の範疇を越えているよね。人が吹っ飛ぶのが日常なクィディッチとか、危険すぎると思うんだ。
でも、そう言えばウッドも似たような技を使っていたような気がする。誰より早くそう言う力に目覚めていたなんて、流石はウッド。クィディッチの鬼と呼ばれるだけはあるよね。
ウッドは他にも色々やっていたけど……暫くすればそれの正体もわかったりするのかな? そこまでクィディッチに熱意を注ぐ人がいるかどうかはわからないけれど、きっといつかわかる……よね?
そして最後には、私とマルフォイのデッドヒート。必殺技で進路が曲げられたり、目の前に壁が出てきてそれを避けるのに時間をとられたり、次々に出てくる障害物や必殺技を避けながらスニッチを追い、そして私がネビュラスを最速で駆り、掴んだことで試合は終了した。
……ただ、マルフォイの背負っていた影がどう見ても大魔王ゾーマ様って言うのはどうなんだろう? 闇の衣繋がりなのかな?
決着がついた後、グリフィンドールは喜んでスリザリンは悔しがる。今年は正直に言って凄く危なかったけれど、それでも勝つことができた。
ウッドがいなくなってしまったのはグリフィンドールにとってかなりの痛手だったけれど、それでも勝てたことは喜ぶべきことだろう。スリザリンも、ウッドがいなくなったグリフィンドールが弱くなっていない事を確認できて、少しだけ嬉しそうに見えた。
けれど、そんな喜ばしい場に水を差す人もいる。具体的には名前の頭に『ド』がついて、名前の最後が『ス』で、名前の前から二番目の文字が『ロ』で名前の真ん中に長音がつき、名前の最後から二番目に『レ』が付く五音の名前を持ち、ハリーさんからは一ツ橋と嫌悪と嘲弄を込めて呼ばれている、年齢の事を考えないで少女趣味に走っているガマガエルのような顔と太ったガマガエルのような胴体と肥えたガマガエルのような四肢とガマガエルの餌になりそうなブクブク太った芋虫のような指を持つ、ホグワーツ全体に嫌われに嫌われているのに更に敵を作る行為を繰り返している、半人間嫌いの自称人間のガマガエルに劣る何か。まったく、自分がどれだけ有害な存在かを理解して恥じ入っていなくなって欲しい。今。すぐ。
……と言う心からの願いは叶えられるわけもなく、アンブリッジは私の予想通りに朝に行われた喧嘩の件でロンだけをクィディッチ出場禁止にした。不公平だと思わなくもないけれど、とりあえず報いだけは間違いなく受けてもらおうと思う。
高笑いしながら去っていくアンブリッジの背を横目に、観客席を見渡してハリーさんを探し出す。
……いた。観客席……の、上の……更に上。旗とかそう言うのが立てられている場所に、のんびりと座りながら私達の事を見つめていた。
私はネビュラスに跨がって地面を蹴る。あっという間にハリーさんの前に到着して、ハリーさんの隣に降り立った。
「……ハリーさん」
「……なんだ、娘っ子」
「ロンが、クィディッチをできなくさせられました」
「見ていたから知ってるよ。俺は目を閉じてることが多いが目が悪い訳じゃないし、耳だって割と良い方なんでな」
ハリーさんはなんとも思っていないことがすぐにわかる表情のまま、私に向けて冷静に言葉を返す。
「……少しだけでいいので、チームに入ってもらえませんか?」
「別に構わんが、俺は確かクィディッチの試合に出るのは禁止されてなかったか?」
「明文化されたルールブックにはそんな文章はありません。……アンブリッジをなんとかしてやりたいんです」
「……」
「お願いします」
私はハリーさんに頭を下げる。ハリーさんは私を見つめたまま何も言わないけれど、きっと今は自分の利益やリスクと擦り合わせて色々なことを考えているのだと思う。
メリットは殆ど無い。ハリーさんなら、例え違法だったとしてもばれないようにアンブリッジを殴って知らん顔するだろうし、合法的に殴るのだっていくらでも方法を考えるだろう。
……最悪な方法を使うなら、『服従の呪文』を気付かれない内に使ってアンブリッジを魔法省に戻らせてファッジを暗殺してからハリーさんの都合のいいように法律を書き換えてやるとか、そのくらいの事はやりそうだ。
ただ、それだと魔法が解けた際にハリーさんにとって不利な状況になる可能性がある。だから、やるとしたら無能は全員殺して新しい大臣を立てさせるか、魔法省ごと消し飛ばして法律なんて存在しない文言通りの無法地帯にしてやるとか……そんな感じに後腐れなくやると思う。
それからデメリットはと言うと、残念ながら沢山ある。練習には参加しなくちゃいけないし、クィディッチに参加もしなくちゃいけない。悪天候だろうが何だろうが関係無くゲームをしなくちゃいけないし、ハリーさんにとっての自由時間がかなり潰されることになる。
こんなことでハリーさんが納得してくれるとは思えないけれど……それでも、私はこうしてお願いすることしかできないわけで。
「……じゃあ、チームへの説明その他は全部任せた。キーパーやれば良いんだよな?」
「やってくれるんですか!?」
「最初に『別に構わん』と言っておいただろう。破る必要のない約束は出来る限り守るさ」
ここで『絶対』とは言わないのがハリーさんクオリティ。ハリーさんは基本的に『絶対』と言う言葉は相手が不利になる時にしか使わないんだよね。
例えば、この後に明らかに相手が不利になったり、明らかに失敗するのが目に見えているのにわざとお金を貸し付けて高利でも暴利でもない程度の金利で相手の財政を圧迫するとか、その際にいつまでも返ってこないお金を取り返すためにあちらの家をまるごと勝手に売り払ったりするとか……まあ、外道だよね。相手が破滅していくのに拍車をかけるとか、本当に。
……今回はそれで助けてもらう訳だから、私がどうこういえる立場にはないんだけどさ。
ハリー、クィディッチに参加決定。
同時に一ツ橋、死亡確定。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き