ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 初めての会合は、ハリーさんが紹介してくれた『必要の部屋』を使って行われることになった。本当に、ハリーさんはこの学校の事をよく知っている。

 ハリーさん自身は『他の奴から聞いた』と言っていたけれど、聞いてしまえば間違いなくハリーさんの知識だ。活用できるか否かもハリーさん自身の手に委ねられている。

 そしてハリーさんは、見事にその知識を活用して見せた。知っているだけではなんの意味もないと言うことがよくわかる。

 

 さて、そんなわけでまずはこの集まりの名前と、形式としてリーダーを決めておくことにする。集まり云々は一切禁止されていないけど、それでもアンブリッジ……ひいては魔法省がこの事を知ったら間違いなくなんらかの規則を新しく作って禁止してくるだろうと思ったので、もしも他人に聞かれても内容が予想もつかないような名前がいい。

 それからリーダーは……まあ、ハリーさんで確定だよね。教師役だし、一番強いし、実のところ退学しても困らない身だし。

 色々案は出たけれど、とりあえず名前はDAに。防衛協会の頭文字をとっただけと言う簡単なものだけど、わからなければそれでいい。ハリーさんも

 

「何も知らない奴がそれを聞いて内容が想像できないようなものならOK」

 

 って言っていたし、その最低限の要求はクリアしているから問題無い。

 ちなみに、他の案には『魔法省はみんな間抜け(MMM)』とか、『ハリーさんと愉快な仲間達』とか、『フォイ売りがフォイ売りに来てフォイ売れずフォイフォイ帰るフォイフォイのフォイ』とか、よくわからない物がたくさんあった。とくに最後のなんて意味がわからない。

 

 そして始まる一回目の練習、その内容は『武装解除呪文』だった。

 ここで文句が出たけれど、基本中の基本として教えると言うことと、どこまでを武器として認識するかによって効果の範囲が変わると言う所からこの呪文が選ばれたと言う話をして実践をしたところ、その文句を言った相手はすぐに黙ることとなった。

 なにしろ、ただ武器を奪うだけのイメージしかなかった呪文が、術者のイメージ次第で全身を解体するレベルの呪文にまでなるとは想像もしていなかったんだろう。

 確かに、相手の本体を脳として考えれば、杖が武器なのは言うまでもないことだとして服も武器になり得るし、筋肉や骨、歯や爪だって武器になるし、人の身体から出てくる害のある物質を毒……つまり武器だとして考えれば、それを産出する皮脂腺や汗腺、腸だって武器としてカウントできなくはない。

 今まで何の気なしに使っていた呪文がここまでのことができるものだと知って、数人は蒼白になっていたけれど……ハリーさんはちゃんと手加減した状態でかければ杖だけを吹き飛ばしたり、杖ではないけれど持っているものだけを奪い去る呪文として有効だと語り、ちゃんとしたイメージを作るために何故か日本の漫画を読むことになっていた。

 ……確かに、拳や身体が十分に武器となるってことを理解するにはちょうどいいものだったかもしれないけれど、何人かが新しい必殺技に目覚めてしまった。これはこれである意味成功ってことでいいのかな?

 ……アンブリッジにバレないように、ちゃんと隠してはいるつもりだけど……隠せてるかなぁ……?

 

 二回目の会合の時に、ハーマイオニーが頑張ってくれて『変幻自在呪文』を偽のガリオン金貨に使い、簡単な連絡網を作り出してくれたから連絡の秘匿性はさらに上がり、これはもうよっぽどのことがなければバレることはないだろうと言うところまでやった。やれる限りの事はやっているし、厳戒体制を強いているので大概のことは大丈夫。

 

 ……どこに耳があるのかはわからないから、大きな声で言うことはできないけれど……とにかく現状ではこの状況は理想的とも言えるだろう。秘密の『闇の魔術に対する防衛術』自習クラブだなんて、アンブリッジもきっと予想していなかったに違いない。後手後手に回るプロだしね。

 

 もちろんそれ以外にもやるべき事がたくさんある。クィディッチのこともそうだし、一部の物を除く授業もそう。宿題もしなくちゃならないし、何よりご飯を作るのを練習しなくちゃ。

 

「そこで食事の事が出てくるのがエリーがエリーたる理由よね」

「私が私じゃなかったらなんになるの?」

「…………ハリーのペット?」

 

 なにそれ嬉しい。なりたい。わん!

 

「冗談よ。……なんで恨めしそうな目で私を見るのよ」

「期待させるだけさせておいて目の前でその希望を放り捨てるなんて事をしたくせに……」

「人聞きが悪いわね。第一、私が何を言おうとハリー自身がエリーを受け入れないと何も変わらないじゃない」

「……ハーマイオニーの正論魔神。純血タラシ痛い痛い痛い!」

「誰が純血タラシよ誰が」

「だってハーマイオニーってばロンとマルフォイって言う古くから続く魔法使いの純血の一族の子供達からかなり好かれてるじゃない」

「ええそうね。いい友人だと思ってるけど……それが?」

「……ハーマイオニーってごく一部の状況において凄く鈍いよね」

「は? どこがよ?」

「うん、そこが」

 

 ハーマイオニーは訳がわからないという表情を浮かべている。……ロンとマルフォイも可哀想に……ハーマイオニーに恋なんてしちゃったばかりに、こんなに恋愛感情に鈍いハーマイオニーを落とさなくちゃいけないだなんて……ある意味同情するよ。

 私も頑張らないとね。ハリーさんに想いを……伝えても伝えてもはぐらかされるんだけど、だからってそれで諦められるような柔な心はしていない。いつも諦めが心の中にあった私を変えてくれたのはハリーさんなのだから、ちゃんと私の事を受け止めてもらいます。ええ、受け止めてもらいますとも。

 受け止めてもらった結果がどうなるかはわからないけれど、それでもできる限りの事はやる。後悔しながら未来を生きるより、後悔しないように今を生きる方がいいと思うからね。それが取り返しがいくらでもつくようなことならともかく、取り返しがつきそうにない時なら尚更に。

 それで、一応花嫁修行ってことにしておいて料理と掃除とその他色々な修行をしておく。炊事洗濯はいいお嫁さんとしては必須な能力だよね。勿論、お嫁さんとしてだけではなくて、お母さんとしても。

 ……えっと、こういうのを何て言うんだっけ……確か…………『良妻軽母』?

 

 ……なんだろう、なんだか突然弓を持って着物を着ているのに背中に機械みたいなものを背負っている女の人が脳裏に浮かんだんだけど、いったい今のは誰だろう? なんだか優しそうな人だったけど……。

 ……いやいや、今はそれより練習しなくちゃ。もうすぐクィディッチの第一戦、ロンにとっては初めての公式な試合なんだから。そんな大切な試合を失敗から始めたくはないからね。

 

 ……そう言えば、スリザリンには新しくビーターとしてクラッブとゴイルが入ったんだっけ。二人は確か球の狙いはよくないけど、かわりに凄い速さと威力を誇る。一発でも当たったら間違いなく……訂正、マルフォイとハリーさん以外だったら間違いなく、試合中に起きてこれる保証ができない。

 マルフォイだったら普通に耐えるだろうし、ハリーさんだったらむしろ受け止めて投げ返すだろうけどね。

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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