ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 思い付いた話をロンとハーマイオニーにしてみたら、いつの間にか私がハリーさんに頼んで教師役を引き受けてもらうことになっていた。何がどうしてそんなことになったのかはわからないけれど、とにかくそうなってしまった。

 今のところ決まっている参加者は、私、ロン、ハーマイオニー、フレッド、ジョージ、ジニー、マルフォイ、クラッブ、ゴイル、ルーナ、セドリック、コリンと言ったホグワーツ10怪人と怪人予備軍……その他にも何に興味を引かれたのかはわからないけれど、それなりの人数がホグズミードのホッグズ・ヘッドに集まった。

 ……見慣れない顔もいくつかあったけれど、それは気にしない方向で。

 

 と言うか、なにより言いたいことは……なんだか予想以上に人数が多いってことだ。

 

 …………あ、チョウが連れてきたらしいあの女、なんだか信用できなさそうな顔をしてる。なんと言うか、正直に言ってこんなところ来たくなかったのに……って言う表情と、ハリーさんの言葉をあんまり信じていないことがわかる胡散臭げと言うか疑わしいものを見る目でハリーさんのことを見詰めていた。

 ……あんまり信用できなさそうな相手を連れてこないでほしいんだけどなぁ……私の望みって、高すぎる?

 

 結局集まったのはさっきの12人に加えて22人とハリーさんと言う大所帯で、ホッグズ・ヘッドの席の殆どが埋まってしまった。

 

「……さて、それではまずは私から……」

「いや、その前に耳を潰すぞ」

 

 ハリーさんがそう言って左手の杖を振るうと、なにか膜のようなものが周りにできたような感覚がして、外の音が聞こえづらくなった。こんな便利な呪文もあるんだね。

 

「……ありがとう、気が回ってなかったわ……では、まずは私から話をさせてもらうわね」

 

 そうして始まるハーマイオニーの話に、その場の殆ど全員が聞き入っていた。ハリーさんを疑うような人はここには……いるけど、殆どいないし、ハーマイオニーのことを……正確にはハーマイオニーと言う名前じゃなくてハーマライデンと言う二つ名の方だけど……知らない人もここにはいなかった。

 そんな中で始まったハーマイオニーの演説は、その場に居た生徒達の心を鷲掴みにしていることがすぐにわかった。なにしろ、殆ど全員目の色が違っているのだからそれもすぐにわかると言うものだ。

 私が個人的に警戒していた女も、どうやらハーマイオニーの演説にほだされてしまっているらしく、視線にも大分温度が戻ってきている。

 ……多分だけれど、このままではいけないと言うことはこの女もわかっていたのだろう。けれど、ハリーさんはこの女よりも歳が下。歳が下の相手に教わるのは嫌だった……ってところかな?

 

 ……それならそれで別にいいけど、こっちの害になるようなことは辞めてよね。死ぬなら自分一人で死んで。

 あと、ハーマイオニー……その演説の仕方って、前に見せてくれた『これであなたも教祖様』の技だよね? 一応読んで覚えてるからわかるよ?

 使わないって言ってたのに、結局使ってるんだね。ある意味じゃ助かったって言ってもいいけど、あんまり使いすぎると祭り上げられちゃうから気を付けてね?

 

 で、ハーマイオニーとハリーさんの話を要約すると。

 

「アンブリッジ、あれはクソね。クズでもいいわ」

「あんなのに付き合ってちゃこっちの身が危ないわ。なんとかしないと!」

「だったら自分達を鍛えよう!……と言う目的の集まりよ」

「それで俺が教師役と言うことになった。質問については好きにしていいが、答えないこともある。ちゃんとした質問ならまず間違いなく返すだろうから気にしなくていい」

「さて、集まった人数が予想外だったから少し驚きはしたが、とりあえず既に場所は用意してある。そこで、参加する者はここでこの紙に署名してくれ。……しなかった場合は俺が直々に記憶を消した上で万が一思い出して喋ってしまった時に『高血圧の呪い』が発動するように術をかける」

「……効果が地味? そうか、この呪いは対象の血圧を一度に一千万倍に引き上げて全身のありとあらゆる血管を内側から引き裂いて爆散させる呪文だからいい見せしめになると思ったんだが……」

「……どうした、顔色が悪いぞ? まあ、この紙に名前を書いてこの集まりの事を他人に言いふらしたりしなければいいだけのことだ」

「もしも言いふらしたら? それの答えもまた簡単だ。即死級の物ではないが、大量に呪いがかかる。『ダイエットをすると胸から落ちて腹から増えるようになる呪い』とか、『睫毛が五分に一回目に入ってとれなくなる呪い』とか、『喋る言葉が全て『フォイ』になり、誰かの言葉が全て『フォイ』に聞こえるようになる呪い』、『EDになる呪い』、『魔法が使えなくなる呪い』、『片目の失明』、『聴力の半減』、『触覚喪失』、『皮膚が全て腐り落ちて筋肉が露出する』等々、非常にバリエーションに富んだ呪詛を取り扱っている。よかったな、飽きが来ないぞ」

「……おいおい、そんなに争うように名前を書くなって。紙が破れたら呪いが暴発するぞ? 落ち着け落ち着け」

「……よし、全員書いたな。それではこの紙は俺が預かっておこう。バレたら少々疲れるからちゃんと隠しておくよ」

 

 ……とまあ、大体こんな感じでハリーさんのお話は終わった。途中から脅迫になっていたような気もしたけれど、きっとそれは気のせいだそうに違いない。違わなくても違うんだよきっと。何が何とどう違うのかは知らないけど、きっと何かが違うに違いない。

 でも、少なくともこれでまず裏切られることはなくなったと言っていい。恐怖や暴力で締め付けるのはハリーさんの特技で、そう言った生体の本能でない場所に語りかけるのはハーマイオニーに領分だ。本能と理性とに同時に首輪をつけられて逆らえる相手なんて、早々居るものではない。

 ……けれど、だとするとなんでバルバモートはハリーさんに敵対する気になったのかが気になる。バルバモートだって、ハリーさんに本能を押さえられている筈なのに、どうして敵対する気になった……と言うか、敵対すると言う意思が生まれたのかが凄く不思議だ。ハリーさんを前にしてそんなことが冗談じゃなく言えるのは、ハリーさんに比肩もしくは凌駕する力を持つか、ただの馬鹿か……。

 

 ……後者かな。昔使っていたヴォルデモートって名前からして廚二病が全開だし、自意識過剰って言うのも混じっているかもしれない。自分がこの世界で最強だとでも思っているんじゃないだろうか。

 ……そんなことないのにね。『上には上がいる』んだよ? ハリーさんの上が居るとは考えたくないけど。

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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