ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
ホグワーツに到着し、そしてすぐに宴会が開かれた。毎年のことではあるのだけれど、やっぱりご飯が美味しい。
もしもこのご飯が美味しくないとか大したことないとか言う人のために、ご飯を美味しく食べるコツのようなものを教えておこうと思います。
まず、2~3日ほどご飯を抜くか、あるいは小さな虫や雑草、雨水以外を口に入れないまましばらく過ごします。
すると、いい感じに飢えてきて水や食べ物のことしか考えられなくなります。初めは食べ物のことばかりが思い浮かぶと思いますが、最終的には水のことばかりを考えるようになると思います。
そうなったら第一段階は終了。次は、ただひたすらに料理屋等の匂いだけを嗅ぎながら水気を飛ばしてスナックのようにした虫をかじり、お腹を押さえながら丸くなって朝を待ちます。この時、眠ってしまってはいけません。
そして朝になったら準備は出来上がり。ホグワーツの朝ごはんの並ぶ大広間に向かい、机に並べられたごはんをゆっくりと食べましょう。一度に食べると、身体がびっくりして壊れてしまうこともありますので気を付けて下さい。本当に死にます。
……それでも「美味しくない」とか言う人は、自分の好きなものだけ食べていつの間にか身体を壊して死んでしまえばいいよ。我儘極まりないのは別にどうだっていいけれど、その我儘を言うこともできずに死んでいっている人がこの世界にはたくさん居ることを忘れてはいけないよね。
さて、そういうことでごはんを食べ終えて凄く幸せなところに、なんだか凄く嫌なことが起きた。原因は、今年から新しく『闇の魔術に対する防衛術』を教えることになったアンブリッジ先生。名前を聞いた瞬間に、ハリーさんが凄く嫌そうな表情を浮かべていたのが凄く印象的だった。
そして始まる凄まじく長い上にこちらをあからさまに見下し、更には色々とこちらを縛り付けると言う発言が出た瞬間に……グリフィンドールのテーブルが消えた。
そしてその直後に教職員テーブルの方から轟音が響き渡ったかと思うと、グリフィンドールのテーブルが皿ごと再生。もうなんだかわけがわからないよ。
そんなわけで、『訳がわからないことが起きたらとりあえずハリーさんを疑え』と言う格言通りにハリーさんを見てみると、ハリーさんはまるで何かを腕だけで投げた直後のような体勢をしていた。
……それって絶対ハリーさんがテーブルを視認が不可能な速度でぶん投げたってことじゃないですかやだー。しかも片手の肘から先だけでまるでダーツの針でも投げるかのようにあの速度でテーブル投げるとか何考えてるんですかねハリーさん。
「……俺は前に岩心と言う男に食事を邪魔されたときに誓ったのだ。『また食事を邪魔されることがあったら、テーブル投げてでもその馬鹿黙らせる』と」
「だからって普通ほんとに寮用の大テーブルぶん投げますか!?」
「俺はやると言ったらやることにしている。だからこの場合の普通は投げる」
「あの人死にますよ!?」
「…………あの女名前なんだった? ガマガエル語はわかるんだがあれの言語はわからなくてな……無機物の音を言語化するのはやっぱり無茶だったか」
「人間扱いどころかガマガエル扱いすらされてない!? アンブリッジですよ!ドローレス・アンブリッジ!」
「一ツ橋ドボンです……ドボンですとか幸先悪そうな名前だな」
「今まさにハリーさんの手で最悪のスタートを切ったばかりですよあの人!?」
「一ツ橋死すべし、慈悲はない」
「今だかつてハリーさんがここまでホグワーツの教師の扱いを悪くしたことはあっただろうか!いや無い!」
「実は、ある」
「あるんですか!?」
「ある。キレ茄子相手にだが、顔を見るより早く待ち合わせ場所に爆発物を仕掛けて教室に入ってきた瞬間に爆破して生き埋めにしたあとに生徒達に向けて昔の熱血台詞やらなにやらかにやらの黒歴史を暴露した挙げ句に新しく黒歴史を作って頬をぺしぺししてやったことがある」
「ハリーさんってば予想以上に鬼!? と言うかさっきから思ってたんですけど一ツ橋って誰ですか!?」
「An bridge……つまりは、一つの、橋。……故に一ツ橋。死すべし、慈悲はない」
「何でそんなに強烈に敵視!?」
「庭に吸魂鬼を放たれたし、変な罪状を叩きつけようとして来たし、妙な薬品を依頼人不明で送りつけてきたし、とりあえず一ツ橋死すべし、慈悲はない」
むしろハリーさんにそこまで手を出していてまだ生きているってところに戦慄を隠し切れないんですが。今まさに死にかけていそうですけど。
「さて、一ツ橋の話も終わったようだし、俺はもう寮に行ってる。お休み」
ハリーさんはそう言って、まるで『姿くらまし』でもしたかのように一瞬でその場からいなくなって見せた。
……ハーマイオニー曰く、ホグワーツ内では『姿あらわし』も『姿くらまし』もできないようになっているはずなのに、そんな常識を平然とねじ曲げていく。そんな姿に私は痺れる憧れぬ!
……ハリーさんみたいになりたいとは思わないし、憧れは無いよ? 間違いなく人外に突入しちゃう道を選ぶ奇特な人はそうそう多くはいないからね。もちろん私だって人外になるのはよっぽどの状況じゃなくっちゃ嫌だ。私はまだまだ人間でいたい。
……まあ、ハリーさんが実は吸血鬼で、私を『吸血鬼の花嫁』にしようと私の首筋にキスをするように舌を這わせ、血を吸って同族に変えようとするんだったら全力でウェルカムなんですけど……まずハリーさんは吸血鬼ではないし、そんなことになったらシリウスおじさんがきっとすごい絡んでくるだろうし、現実的ではないかなぁ……。
私は溜め息を一つつき、ハリーさんの手で投げ飛ばされた机とその机が直撃したらしくて気絶しているように見えるアンブリッジ先生を眺める。
……痛そうだけれど、ハリーさんのせいだから恨むんだったらこの時期にホグワーツに来てしまったと言う運の悪さと、ハリーさんに色々な嫌がらせをしようとした自分の軽挙を恨むといいよ。
ハリーさんを恨んで行動に移したら、何が起きるかわからないからね。気が付いたら魂が砕かれてゴーストとしてこの世界にとどまることすらできなくなるまで痛め付けられてからファッジ大臣の昼食のミートボールの具材として使われちゃうかもしれないからね。
食べるんだったらともかく、食べられるのは私はちょっと勘弁してほしい。食べる側なら虫を食べていたこともある私からしたら人間くらい食べられないことはないけど、死んじゃうのは嫌だ。
……さて、それじゃあアンブリッジ先生に黙想して、それから寮の私のベッドに寝転がろう。お腹一杯になったらなんだか眠くなってきちゃったし、アンブリッジ先生の身体のことより私自身の健康の事の方が大事だからね。
それじゃあお休み。
次回作は……?
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