ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
今年もホグワーツに出発する。シリウスおじさんやウィーズリーおばさん、ムーディ先生達もガードについてくれているので安心できる。
ただ、今年はロンとハーマイオニー、それにマルフォイが新しく監督生になったのでいつもの七人組が作れないんだけど……まあ、私とハリーさん、ジニーの三人でもそれなりに楽しくやれるはずだ。
それに、できれば一度ロンのいないところでハリーさんにロンへのプレゼントにするクッキーとかの良さそうなレシピを聞いておきたかったし、ちょうどいいと言えばちょうどいい。
そんなわけでホグワーツ急行列車に乗り込んでハリーさんを探す。……この列車は『ホグワーツ急行』って呼ばれたり『ホグワーツ特急』って呼ばれたりしているけれど、私は基本的には『ホグワーツ急行』と呼んでいる。一度覚えちゃったらなかなか直せないよね。
ちなみにハリーさんも同じように『ホグワーツ急行』と呼んでいる。
そんなハリーさんを探していると、いつものようにのんびりしながらマントにくるまっているハリーさんを発見。いつもと違うのは、その向かいの席に見たことのない女の子が逆さまにした本を読みながら座っているってところかな。
彼女の事は知っている。私とハーマイオニー、ジニーと並んで『ホグワーツ四大有名女生徒』と称されている、ルーニー・ラブグッドだ。ルーナと呼ばれることの方が多いそうだけれど、この娘は考えがどこか跳んでいる。マグルの言い方をすると、頭のネジが一本足りない、とでも言うのかな。
彼女が有名な理由は、ハリーさんと一緒にいる時間はあまりないはずなのにやけに高い理不尽耐性を持っていることと、それから彼女自身の変人っぷり、さらに、ロンやマルフォイ程とは言わないけれどセドリックと同程度の人外性能を持っていると言う三点に集約される。
ハリーさん曰く、ルーナの異常さはホグワーツの中で最も複雑であり、変性が止まることを知らないらしい。故に、あらゆる事ができるが何もできないと言う嵌まれば凄いがあまりにも変わりすぎるせいで自分自身すら何ができるのかわからなくなっていると言う……まあなんとも難儀なことになっているらしい。
そんなルーナだけれど、私やジニーとは面識がある。結構変わった子だけれど、けして悪い子ではない。私の事を初めに見たときから、なんとなくで年が上だと見抜けるくらいの観察眼もあるらしい。
……いい子だよね。私をちゃんと先輩として扱ってくれる後輩なんて……初めてだよ。ジニーは私を妹のように扱うし……。
そう言うことで、ルーナと一緒のコンパートメントに入る。ハリーさんは基本的に面倒臭がりだし、眠たがりだからこういう場所であまり話そうとはしない。
そんな中でずっと静かにしているのは苦痛になりやすいんだろうけれど、ハリーさんの周りはなぜか落ち着けるんだよね。
残念ながらネビルは見知らぬ相手やスネイプ先生と仲が良かったり悪かったりするハリーさんと一緒にいると言うのは大分ストレスになるらしく、落ち着いたりはできていないみたいだけど……まあ、それはそれ。私はハリーさんと一緒で落ち着くから問題ない。
……あ、そうそう、相談しないと。
「あの……ハリーさん」
「……どうした、監督生になれたロニー坊やとハー子とフォイにクッキーのプレゼントをしたいからレシピを聞きたいとかか?」
「あとついでにハリーさんの『開心術』を防ぐ方法とかも教えてもらえませんかね?」
「気合いと根性と努力、略してK・K・D」
「それでなんとかなるほどハリーさんは生優しくないでしょう」
「別にノリと勢いと気分で何とかできるならやってもらって構わないが」
「結局無理なものは無理ですよね!?」
「無理なものはできないが無茶なものはできないこともない。そして俺が今のを実践している以上、今の言葉は全て無理ではなく無茶だ」
「まともな人間には無理です」
「自分の体積以上の料理を30分もしない内に食い尽くしておかわりを要求するような見た目10に届かない15歳を普通とは言わない」
ハリーさんに諭された。反論できない具体例を持ち出されて諭された。この休みの間に頑張って心を鍛えておいたはずが、どうやらハリーさんには通用しなかったようだ。
……でも、よくよく考えたら私がそうなったのはまず間違いなくハリーさんとの付き合いにかなりの原因があるわけで……つまりハリーさんは鍛えておいたと思った私の心に金属寄生体でも仕込んでいたような状態らしい。まさかあの軽口を本当に実行してくるなんて……。
「それはそれとしてクッキーの作り方を教えてもらえませんか?」
「考えるのを辞めたな? 別に教えるのは構わないが味見で全部無くなっていたとかそんなことにはならないようにな」
「いくら私だってそんなことはしませんよ!」
「腹ペコキャラは何をするかわからないからな。特に食に関しては」
「……むぅ」
「ほれサンドイッチ」
「わぁい^_^」
ハリーさんに渡されたサンドイッチを食べる。……中身はツナマヨだ!
「……なあ、赤毛の娘っ子にラヴクラフト。この娘っ子、お前達より年上なんだぜ……?」
「……見えない」
「見えないよね。あと、私はラヴクラフトじゃなくてラブグッド……ルーナでいいよ」
「ルーナな、了解」
もきゅもきゅとハリーさんから差し出されるサンドイッチを食べ続ける。ツナマヨの次は……!? これ、パンじゃない!ご飯だ!焼きおにぎりのように表面に醤油を塗って軽く炙り、それをパンのようにしてるんだ!
そして具は、ご飯によく合う薄切り肉をしょうが焼きにしたもの……しかも、まるで作りたてであるかのように温かくてご飯の方も汁を吸ってべちゃべちゃになっていたりしない。
凄く……美味しいです!
「……これで年上扱いしろってのもなぁ……」
「無理ですよねぇ……」
「え? 可愛い先輩だよ?」
なんだかルーナが変なことを言っているような気がするけどきっと気のせい。ご飯が美味しいのは気のせいじゃないからもうなんだか割と何でもいいような気分になってきてるんだよね。
……ああ、ご飯美味しい。ハリーさんのご飯美味しい。結婚してくださいお願いします。
「結婚してくださいお願いします」
「結婚してくださいお願いします」
「連呼すんな」
「でも結婚したいです。愛人とかペットとか愛玩奴隷でもいいですよ?」
「はいあーん」
ハリーさんの手で口の中にサンドイッチが放り込まれた。むしろ『めり込む』って言う感じの勢いで押し込まれたと言ってもいい。
ハリーさんに道具のように乱暴に口の中に物を突っ込まれるなんて……なんだか凄くあれだね。うん。
「娘っ子が変態に育ってきている件について」
「世の中諦めが肝心だそうだけど」
「ある意味ではいつものことだよね」
みんなひどい。
次回作は……?
-
鬼滅の刃
-
鋼の錬金術師
-
金色のガッシュ
-
BLEACHの続き
-
他の止まってるやつの続き