ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

120 / 199
119

 

 

 

 

 side エリー・ポッター

 

 ハリーさんが一応味方になってくれたので、私は安心して買い物をする。ハリーさんは少なくともここに居る全員より悪どくて悪辣で容赦がなくて強いから、きっとこの戦いを終わらせる鍵になってくれるはずだ。

 ……鍵と言うか、むしろハリーさんが最初から最後まで気が付いたら終わらせていた……なんてことになりそうだけれど、流石にハリーさん一人に世界の命運を背負ってもらおうとするほど馬鹿じゃない。ハリーさんがやる気をなくしたら確定で滅ぶとか、冗談にしても笑えない。

 

 ……と、それはそれとして買い物をしないといけない。今年はなんと言うか……随分と教科書のリストが届くのが遅かったし、ついでに少しばかり大変なことも起こっているしね。

 具体的に言うと……魔法省のかなりのスキャンダルになるのだけれど、魔法省内部に不法に侵入した人が出たらしい。誰だかはわからないし、正確にいつ入ったのかも不明。ただし、何を狙って入ったのかだけはわかっている。

 

 それは、予言。魔法省に保存されていた古今東西のあらゆる予言がいつの間にか中身の曇った質の悪い水晶玉にすり替えられていたそうだ。

 ただし、その水晶玉はただの水晶玉ではなく、中の予言を見ようとすると一応見ることはできるけど、大音量で変な歌が流れて奇妙なナマモノがアップになったり離れたり増えたり減ったと見せかけて増えたり増殖したりして予言が聞き取れなくなっていたそうだ。

 その事に気付いたのは予言を保管していた神秘部の人の一人で、その人はすぐにその事を上層部に内密に報告したそうなのだけれど、何故かリータ・スキーターに嗅ぎ付けられて記事にされてしまったらしい。

 ……リータ、生きてたんだね。ハリーさんの記事を出して以来表舞台に出てきてなかったから、死んでるんだろうと勝手に思ってたよ。実際には生きてたわけだけどさ。

 もしも、万が一にも本当にハリーさんから逃げ切れていると言うのならば、正直、どうやってハリーさんの手の中から逃げ出したのかを知りたい。次から私がその穴を塞いで逃げられないようにしておくから。

 ……あ、でも、ハリーさんがわざと逃がしたってことも考えられるよね。ハリーさんなら『服従の呪文』を使わないでも他人の行動を縛ることくらい簡単にできるだろうし、リータにもそれをやっていたとしても何もおかしい事はない。

 いやある。ハリーさんがそんなことをできるってこと自体がおかしい。危ない危ない、ハリーさんに私の頭の中の常識まで冒されちゃうところだった。どうせだったらハリーさんには私の常識じゃなくて私の全てを犯してほしい。

 

 ……私って、こんなに依存傾向強かったかなぁ……? 昔はもう少し自立を…………してないか。昔からこんな感じだったね。うん。

 あー、ハリーさんと結婚したい。

 

 ……そう言えば、最近になって奇妙なことが起きている。具体的には、『ハリー・ポッター』と『ヴォルデモート』と言う名前がマグルの中で広まってきているようだ。

 いったい、何がどうしてその名前が広まったのかはわからないけれど……魔法使い達はその名前を聞く度にビクビクさせられると言う。

 ダンブルドア先生が言うには、なんでもある本が最近になって世界的に流行ってきていて、その本の名悪役と主役の名前がそれなんだとか。

 ……それを聞くと、なんだかちょっとだけ変な気分になる。どんな話かはわからないけれど、ハリーさんがいて、ヴォルデモートがいて、私はいない世界。それはいったいどんな風になっているのか……気にはなるけれど知りたくはないという……凄く奇妙な気持ちだ。

 

 まあ、この世界には私がいて、ハリーさんがいて、ヴォルデモートじゃなくなったバルバモートがいて……今のところそれなりに平和な時間が過ぎている。

 これからのことはわからないけれど、こんな平和な時間が続いていけばいいなと思う。

 

 ……本当は、今は平和じゃないって言うことくらいわかっている。けれど、それでも人が誰かに殺されることはあまり無いし、魔法使いが酷いことをしたと言う話もあまり聞かない。

 人が死ぬことなんて日常茶飯事。人が人を殺すことも……ある意味では当たり前。強かったり頭が良かったりする人だけが勝ち残って生き延びて、負けてしまえばはいそれまで。ある意味、動物としては正しい姿だと言えるよね。

 とは言っても、いくら動物でも……いや、むしろ動物だからこそ、そんな沢山同族を殺したりはしないものなんだけれど……そこはある意味では獣よりも遥かに劣っているのかもしれない。

 

 ……ああ、考えるのって大変。色々買い物をしながら考えるのはもっと大変。

 ダイアゴン横丁では、私の身は実は結構危ない。バルバモートの信奉者達がどこに居るのかわからないし、その事を注意するのも大変。危ないところや危なそうな所を見つけるのは結構得意だけれど、見付けたそれを全部避けられるとは限らないしね。

 

 ……ハリーさんの引き込みには私が一番適していただろうけど、やっぱりシリウスおじさん達は本当はもう少し危機感を持ってほしいと思ってたのかもね。実際のところがどうなのかはわからないけど。

 そう言うわけで、急いで準備を終わらせよう。教科書、布、薬を入れるフラスコに薬瓶。中古のものには呪いがかかっているかもしれないとムーディ先生が強硬に反対したので全て新品。布はともかくとして、フラスコや教科書なんかはいつも中古で揃えていたから高価いと思ってしまう。

 ……それに、ロンとハーマイオニーへの監督生就任祝いを買わないと。あんまりいいものは買えないけれど、こういうことでお祝いされたら嬉しいだろうしね。

 

 ……食べ物でいいかな。箒はウィーズリーおばさんに買ってもらうみたいだし、ふくろうはピッグウィジョンがいるし、ボードゲーム系統は飽きるほどやってるだろうし。私だったら珍しくなくていいから何か美味しいものが食べたい。

 あ、それならハリーさんに頼んで何か作ってもらえばよかった。きっとクッキーとかそう言うお手軽でお手頃価格でそれなりに美味しい何かを作ってくれたはず。

 ……でも、あんまりハリーさんにばかり頼っていると、いつかのロンみたいに

 

「いつも他人の宿題を写してばかりの悪い子はしまっちゃおうねぇ~」

 

 って言われて石櫃にしまわれちゃうかもしれないし……よし、材料だけ買って自作しよう。騎士団の本部ではウィーズリーおばさんが厨房を使わせてくれないから、ホグワーツに行ってからになるかな。

 よし、頑張って作ってみよう!

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。