ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 今起こったことをありのままに話そうと思う。

『私は紅茶を頼んだと思ったらなぜかフォッカチャが運ばれてきた』

 何が起きているのかわからないし、どうしてそんなことになったのかもわからない。注文の間違いとか勘違いとかそんなちゃちなものじゃ断じてない。この世で最も恐ろしいハリーさんの気紛れの片鱗を見たような気がするよ……。

 

「サービスだよ」

「なんだ、そうだったんですか……ああよかった」

 

 ……いやまあ本当はサービスだったとしても怖くて仕方ないんですけどね。なんで紅茶を頼んでフォッカチャが出てくるのかはわかっても、そのフォッカチャに変な薬とかが何も入っていないとは限らないわけでして。ハリーさんのことだから入っていないだろうとは思うけれど、それでもやっぱり相手はハリーさんなので怖くて仕方がないわけで。

 

「そんな怖がらなくてもこの毒は傷口から身体に入れなければなんの効果も出ないから平気だよ」

「そもそも毒入れるのやめません!?」

「この毒の味が旨味を引き立てるんだ。傷口さえ無ければ無害だから使ってる」

「……ダンブルドア先生はつれてこれないや」

「ちなみに、毒を使わず味も落とさず手間も少なく原価も安いやつもある」

「先にそっち出してくださいよぉ!」

「それだと娘っ子と元人間と黒犬ニートをからかえないだろ」

「からかうのやめてもらえません!?」

「安心しろ、実は初めから毒なんて入れていない。そんなことをしたらこの店に客が来なくなるだろう」

 

 やれやれ何言ってんだか、そのくらいちょっと考えればわかるだろうに……とでも言いたげにハリーさんは首をすくめた。

 

「やれやれ何言ってんだか、そのくらいちょっと考えればわかるだろうに……」

「本当に言ったよハリーさんってば!?」

「落ち着け、エリー……」

「そうだな。奴に何を言ったところで流されて終いだ」

「バルバモートさんちょっと黙っててください」

「店主、とりあえずおすすめの茶を頼む」

「はい、加○茶のビデオテープ。デッキは別料金だ」

 

 バルバモートとハリーさんは私の言葉をスルーしつつやり取りを始めた。しかし、どうしてかバルバモートとハリーさんはやけに気が合っているように見える。なんでだろうか?

 

 ……おっとっと、それよりも今はもっと大切なことがある。それを聞かなくちゃいけないんだよね。

 

「……ハリーさん、今回はお願いがあって来ました」

「言ってみな。ただし黒犬ニートとハーフフェンリルと魔法の目玉親父は暫く黙っててくれな」

 

 ハリーさんのつける奇妙な渾名をスルーして、私はハリーさんと視線を合わせる。

 

「バルバモートを倒してこの世界の平和を守るのを手伝ってください」

「別にいいけどそれバルバモートの居る前で言っていいのか?」

「別に構わないでしょう。どうせバルバモートがここに居るってことはハリーさんの勧誘かあるいは仲間にならなかったときのために殺しに来たかのどっちかでしょうし……バルバモートに誘われて、もう断ったんじゃないですか?」

 

 バルバモートはハリーさんに何度も殺されては気分で蘇ることを何度か繰り返されたらしい。自分自身と、父親の骨と、敵の血液を特殊な魔法薬に放り込めば私でも半死者蘇生をできるって言う話だから……ハリーさんの実力についてはよく知っているはずだ。

 恐らくバルバモートは何度もハリーさんに殺されているはず。けれど今も生きているのは、殺されるだけでは死なないようにしてあるのか、それともハリーさんが手加減したのか、あるいはハリーさんの陰謀か。

 ……とりあえず、ハリーさんが手加減したのか陰謀かのどっちかだろうね。バルバモート……と言うか、ヴォルデモートだった頃に何をやっていたところでハリーさんに通じるわけがないだろうし……例えば、何らかの方法で死んでもこの世に止まり続けて力を取り戻せる方法や、命をいくつかに分けて本体以外の命を全部殺してからじゃないと死なないようにしていたとしても、ハリーさんなら何でもないようにそれを見つけて破壊してそうだし……。

 そして、そんなハリーさんと若干繋がっているらしいバルバモートはハリーさんの恐ろしさを本人よりもよく理解しているんじゃないかと予想する。

 

 ……あれ? そう言えば、バルバモート……と言うか、バルバモートと名乗る前のヴォルデモートは私と傷を通して何らかの形で繋がってるんだよね?

 そしてヴォルデモートが心機一転して産まれたらしいバルバモートは、ハリーさんと繋がっている。

 と言うことは……私とハリーさんは繋がっているってことになる……のかな?

 ……どうしよう、ちょっとどころじゃなく嬉しいかもしれない。ハリーさんと直接繋がってる訳じゃないって言うのがちょっと悲しいけど、それはそれ。現在はまだそれでいい。

 ……まだ、ね。

 

「……話続けていいか?」

「あ、はい、是非」

「……バルバモートにはもう誘われたが、仕事が多そうだから拒否した」

「理由が予想以上にハリーさんらしくてなんだかちょっと安心しちゃった私がいます」

「逆らう奴が居たら方法問わずに殺すだけの簡単な仕事なのだがな」

「他人に言われて殺人なんてやりたかないよ。殺るなら自分で殺るっての」

「殺っちゃうこと前提で話が進んでるような気がするんですけど」

 

 そしてやっぱりハリーさんとバルバモートの仲がやけに良いような気がする。仲が良いと言うか、正確には考えてることがよく似ていると言うか……そんな感じなのだけど。

 ……ハリーさんと繋がりがあって、そのせいでハリーさんに精神的に汚染されていったからかもしれない。そうだとするならちょっとだけ可哀想だと思わなくもない。

 ……自業自得だけどね。

 

「……ふむ、それでは俺様は帰るとしようか。勧誘に失敗してしまった上に茶も飲み終わったとなれば、ここにはもう用はない」

「金払え」

「ジンバブエ・ドルでいいか?」

「別に構わないが、ジンバブエ・ドルだと手数料込みで3000万は行くが、そんなに持ってるのか?」

「……大人しくガリオンで払うことにする」

「そうしておけ。ガリオンを使うほど高くはないがな」

「あ、それじゃあ私たちも先にお会計を……」

「はいはい……フリエル、会計頼む」

 

 何でそこでわざわざあえて不定形粘液生命体をチョイスしますかねハリーさんは!確かに目を合わせると即死したり巨大ドラゴンだったりする相手と向き合いたくはないですけど!だったら気弱なキメラのフリークさんが居るじゃないですか!

 ……まあ、襲ってこなくてちゃんと計算ができるんだったら別に良いですけど。

 

 

 

 




 
 意外にも待ってくれている人がいるようなので、明日の更新は久し振りに『エリーちゃんの夢のペット生活五日目』です。

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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