ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 昨日、ヴォルデモートの襲撃があったらしい。正確にはヴォルデモートからバルバモートへと改名したらしいんだけど、バルバモートと言っても誰も理解できないし慣れてもいないのでバルバモートは基本的に『ヴォルデモート』と呼ばれている。

 ……まあとにかく、バルバモートが復活してしまったらしい。名前を変える意味はよくわからないけれど、ハリーさん曰く『力ある者の名を借りて使う魔法がある。バルバモートはいくつかの存在から重なる部分を取って自分の名前とすることで自分自身を強化しようとしたんじゃないか?』とのこと。

 

 ……ところで、『バルバトス』という人と『バルバロス』と言う怪物を知っている人は居るでしょうか? どちらもハリーさんがバルバモートの名前を取るときに引用できる存在だそうですが、鬼畜カウンター使いととある能力と合わせて使うと気違い染みたパワーになる怪物だそうです。

 バルバトスと言う人は、道具を使おうとしたり道具を拾おうとしたりある程度以上体力を減らした後に魔法を使おうとしたりすると一撃必殺技に近いカウンターを撃ち込んで来るそうですし、もう片方は自分の効果の良いところだけ使って悪いところは無効化する上にこちら側も特殊な効果を使う事ができなくなると言う……なんとも悪どい技を使ってくるそうで。

 ここで唯一安心できるのは、どちらも実在はしないと言うこと。実在するかしないかで引き出せる力の種類や質が凄まじく変わってくるのだとか。

 実在している相手ならば、使える権能は完全にその相手による上に、ほんの僅か借りているだけだからほぼ無尽蔵に使ってくるが、実在していなかった場合にはそれはただの思い込みで、実際には自分に暗示をかけて底力を引き出したりしているだけで限界も割とすぐ来るし、耐えれば相手はボロボロになるそうだ。

 

 ……それはそれとして、最近の魔法界には色々と物騒な噂と言うか、面倒な状況が広がっている。

 

 まずは魔法省。ハリーさんから伝えられた『ヴォルデモート復活』と言う言葉を信じないで嘘つき呼ばわりして、あげくに自分は大臣の権力に取り憑かれていて何も見えていない。

 ……これは別にどうだっていい。魔法省が滅んで無くなっても、ハリーさんの言うことを信じないでいた魔法省が悪い。私は知らない。

 

 それから一般の家庭だけれど、ハリーさんは未だにあまり歓迎される名前ではないらしく、ハリーさんの言うことをしっかりと信じている人は皆無……と言うか、それ以前にハリーさんの言葉なんて全く知られていない。

 これも魔法省のせいだけど、これもこれでどうでもいい。と言うか、私にとっての世界は私の関知する範囲だけなのだから、私の関知しないところで起きた事はどうでもいい。知らない場所で知らない人が死んだことを新聞で知ったところでどうでもいいと想うのと同じだよね。

 それから……私にとってはこっちの方が重要なのだけれど、マルフォイやクラッブ、ゴイル達の父親はやっぱり『死喰い人』で、ヴォルデモートが甦った今、私を殺すこと……ではなく、ヴォルデモートに私を殺させることを狙っているそうだ。

 マルフォイ達がそんな事を言ってもいいのかと思ったが、ハリーさんとハリーさんが入学してから様変わりした学校の様子を見ているとハリーさんと戦ったら敗けが確定しているようにしか見えないし、両親の事は大切に思ってはいるけれど自分から死地に飛び込んでいくような人を助ける気は無いとか。

 ……一応、できるだけの事はするつもりらしいけれど、ハリーさんの事をよく知らない相手にはハリーさんがどうこうと言ったところでその恐ろしさは伝わらないだろう。今回の大会で少しハリーさんも少し有名になったとは言え、あの程度でハリーさんの事を理解するのは難しい。

 ……他の三人の代表を押し退けて優勝した程度なのだから、当たり前ではあるのだけれど。

 

 まあ、何はともあれホグワーツに被害があまり無くってよかった。ムーディ先生は偽物で、私の事をバルバモートに売ろうとしていた相手だったけれど、ハリーさんがヴォルデモートと誰かの血と一緒に混ぜてバルバモートに錬金するのに使ったからもう安心みたいだし……いや、復活しちゃった時点で間違いなく危ないんだけれど、それでもすぐにどうこうと言うことはなくなった。

 

 あと注意することと言えば、リータ・スキーターのことだろう。

 彼女は何故か行方不明になっている。いったいどこに行ってしまったのか。今なにをしているのか。そもそも何があって姿を消したのかはわかっていないけれど、それでも間違いなく原因は───

 

「コガネムシの入った瓶を振るのは楽しいなー。土に埋もれているところから必死に抜け出そうとする姿とか、マジで笑える」

 

 ───そんなことを無表情のまま言っているハリーさんに原因の一端があるだろう。間違いなく。

 あるいは死喰い人に殺されてしまったのかもしれないけれど、死喰い人だったら死体を隠したりはしないだろう。クィディッチ・ワールドカップであれだけのことを大衆の面前でやってみせたんだから、今さら死体の一つや二つを隠すことに意味があるとは考えづらいからこれは違うと思う。

 だとすると……やっぱりハリーさんが怪しいんだよね?

 

 ……まあ、ハリーさんが何をやっていても別に構わないけれど。特にその被害者があのリータ・スキーターだと言うのならば止める理由を探す方が難しい。むしろもっとやってほしい。

 

 それと、周りの事から気になることはこれだけだけれど、個人的に気になることがもう一つ。

 これが現実に起きた話なのかどうかはわからないのだけれど……私は昨日夢を見た。

 その夢の中で私は何故か校長室で紅茶を飲んでいて、私の目の前にはハリーさんが座っていたのだ。

 そこで何か話をしていたけれど、なぜかその内容は上手く聞き取ることができず、私自身もそんな風にハリーさんと校長室で向き合いながらお茶を飲んだこともなければ、左目の目蓋の下を見たこともないので……未来の事を見る夢か、あるいはただの妄想か……どちらにしろ私はハリーさんの事ばかりを考えているらしいと自覚して少し恥ずかしくなった。

 でも私の想いは変わらない。好きです。ハリーさんの事が大好きです。結婚してください。食べてください。ハリーさんにだったらえっちな意味でも食事的な意味でもどっちの意味で食べられても許容しちゃいますよ?

 

「食えるような肉無いだろ」

「ハリーさんひどい!本当に酷い!私は傷付きました!責任をとって結婚してください!」

「人生ゲームでもやるのか?」

「違いますよ!?」

 

 ……こうしてのらりくらりとかわされながらも、私はハリーさんにじゃれついている。

 もうすぐ今年も学校が終わる。長い休みになりそうだけれど……きっと頑張れるよね。

 

 

 

 





 ヒント。スキドレバルバモートとエリーはハリーを通して繋がっています。間接的な繋がりだから、今のところ痛みなんかは無いです。

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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