ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
さて、そんな訳で校長をK.Oしてしまった俺だが、暫く校長室で時間を潰すことになった。バルバモートとの約束の時間になるまでここに居て欲しいからだそうだが……多分、バルバモートには勝てないだろうな。
ホグワーツ勢がバルバモートに勝てないとする理由はいくつかある。まず初めに、バルバモートと名乗るようになったあれは名前がかの反則存在と名前を被らせることで、例の反則存在の力をこの世界で真似する事に成功していると言うこと。
それに、変態仮面には言ってないがバルバモートは例の方法でこの世界に存在しているため、俺と繋がりを持っていると言うこと。
また、名前がバルバモートという時点でなぜか勝率が落ちそうだし、『バルバ』と付いてる時点でなぜか強く感じるし、名前が強そうだ。
……名前ばっかりだとか、基本的に名前しか特筆するようなことが無いだとか、その基本から外れた唯一の物がやばすぎるだとか、色々と言いたいことはあるかもしれないが……俺はあまり心配していない。
俺とバルバモートが繋がっていると言うことは、上手く『開心術』を使うなりなんなりすればあちらの考えていることも大体わかると言うことだ。
あちらの考えがわかると言うことは、だいたいどんな感じに終わらせるつもりかもわかると言うことでもある。
その俺が言うのだから間違いない。今回のことで被害が出るとしたら、ホグワーツの教師陣や生徒たちが先に手を出したのがきっかけになるだろう。
「ノックしてもしもーし!邪魔をする!」
「邪魔するなら帰れ」
ドバンッ!と校長室のドアが開かれて、全身が筋肉の鎧に包まれているのが黒いローブの上からでもわかるのっぺりした顔の男が現れた。邪魔をしに来たと言うことだったので、魔法で勢いよく扉を叩きつけて外に放り出してやった。
「 」
「 」
「 」
何故か部屋の中にいる教師勢が呆然と俺を見ているが、そんなものは知らん。この程度のことなら俺の周りではよくあることだ。例えば、IS学園で過ごしていた頃に突然やって来たちょろータムにやったりとかな。
少しして、今度は静かに扉がノックされた。
「失礼する」
「失礼するなら出てけ」
またさっきと同じ筋肉の塊が入ってきた。ドアの向かい側の壁に人がめり込んだような跡が見えるが、気にせずゆっくりドアを閉めた。
それからまた数秒して、もう一度ノックの音が響く。
「入らせてもらう」
「いらっしゃい、檻迎……じゃない、歓迎するよ」
「すまないな。……ああ、これは土産だ、食べてくれ」
「これはこれはどうもご丁寧に……丁度いいしお茶請けにしようか。緑茶と紅茶と緑茶とハーブティーと緑茶とコーヒーと緑茶とほうじ茶と緑茶と鳩麦茶と緑茶と昆布茶と緑茶とプーアル茶と緑茶とスピリタスがあるが、好きなものを選べ」
「ならば三番目の緑茶を」
「玉露だな、わかった」
バルバモートのリクエストに答えるべく、ささっと道具を出して茶を入れる。緑茶系統はあまり得意ではない……と言うか、点てても飲んでくれる相手がいなかったのであまりやる気にならなかったからあまりやっていないと言うのが正しいんだが、なんにしろ得意ではないことには違いない。
バルバモートは行儀よく椅子に座って待っているが、教師陣は未だに固まっている。杖を出そうとした一番初めの体勢のままと言うのは疲れそうな気がするが、本人達がやっていることを無理矢理変えさせるのはちょっとな……。
『大鑑巨砲主義』と『当たらなければどうと言うことはない』と書かれた湯飲みに淹れたばかりの茶を入れて、バルバモートの前に出す。
同時にバルバモートが土産にと持ってきたカステラを小皿に盛って出しておいた。
「……結構なお手前で」
「そりゃどうも」
「…………ハッ!?」
あ、校長が正気を取り戻した。残念だ。
「……よく来たの、トム」
「…………………………ああ、先生ですか。パンツを被ってなかったのでわかりませんでした」
「お主の前でパンツを被っていたことなど一度もなかったはずじゃが!?」
「校長、それ以外ならあるって言ってるようなものだよそれ。やっぱり昔に妹さんのパンツを被り、無理矢理伸ばしたブーメランパンツと網タイツだけで悪事を働く怪人を成敗してたって言う噂は……」
「事実無根じゃよ!?」
「先生……!?」
「違う!儂は……儂はそんなことやってはおらん!」
「「そうなのか?」」
「なんでお主らはそんなに息が合っておるのじゃ!?」
「聞きましたバルバモートさん? 変態仮めnげふんげふん校長ってば否定しませんでしたよ?」
「聞いた聞いた、やっぱり先生は変態仮面だったようだ……」
「老人を苛めて楽しいかの!?」
「「老人はともかく変態の苦しむ様は楽しい」」
「お主ら気が合いすぎじゃろ!?」
変態仮面をからかうのは楽しい。疲労からかぐったりと机に突っ伏した変態仮面を見ていると、余計にそう思ったりもする。
……しかしまあ、今はもうその変態性も見せなくなったわけだし……本家の変態仮面も普段から変態仮面と呼ばれていたわけでは無いからして……普段はちゃんと『校長』と呼ぶことにしようか。
「……さて、校長をからかえるだけからかったわけだが……そろそろ本題に入ろうか。……何しに来た?」
俺が右目だけでなく左目も開けてバルバモートを見据える。左目の『即死の魔眼』が励起してバルバモートに死を与えようとしているが、バルバモートは真正面からそれを打ち破って俺の目を見て話を始めた。
「……ヴォルデモートは、一度死にかけた。それも年端も行かぬ赤子を相手に、ほんの僅かの傷を与えるだけで……だ。
それから今まで……およそ13年。俺様は自分が負けたと言う事実を認めないままに、弱った体を再生させるべく動いてきていた。
だが、ヴォルデモートは負けた。エリー・ポッターならばまだしも、何も関係の無い貴様に負けた。そして何度も壊され、何度も蘇るうちに俺様は気付いたのだ。
ヴォルデモートは、別に強い訳ではないという事実に。
闇の帝王と嘯きながらも、肉体的に自分の1/4も生きていない子供に負けてしまうほどに弱いのだということに。
ヴォルデモートは自らを天才だと評したが、自分を越える天才が現在にはいるのだと言うことに。
……だが、俺様は諦めぬ。必ずこの世界を支配し、愚かなマグルや穢らわしいマグル生まれを皆殺しにして見せる!
その決意を込めて、俺様は名を変えた。愚かだった自分と決別するためには、必要なことだと判断したからだ。
今の俺様はヴォルデモートではない。新たにより強靭な意思をもって目的を達成する……俺様の名はバルバモート!『暗黒皇帝』バルバモートだ!
ただ、それを言いに来ただけだ」
「三行で頼む」
「…………。
俺様は敗けを認めた。
しかし、諦めたわけではないから首を洗って待っていろ。
それと名前を変えたから間違えないでよねっ てへぺろ☆(・ω<)
べ、別にお前の首が欲しい訳じゃないんだからねっ!あくまでも世界を支配するついでなんだから!」
「そうか。心の底からキモいな。言い終わったら帰れ。送ってほしいなら送ってやるぞ?」
「なら頼むか。最近私と会ったあの墓場に送ってくれ」
「させると思うかの?」
言うことを要約させた後、バルバモートが帰ると言ったので送ることを提案したら、何故かパンツ校長に止められた。パンツ校長はバルバモートにニワトコの杖を向けていて、同時にマクドナルドや脛イ毛も杖を向けていた。
「させると思うか、だと? 馬鹿め。俺様がやることを老いぼれと裏切り者風情が止められるとでも夢想したか!」
バルバモートが手を振ると、脛イ毛とマクドナルドが吹き飛んだ。……そう言えば、復活の時にイチイの杖を鍋に放り込んだから、身体に杖が混じっていても不思議ではない。そして、杖さえあれば魔法使いは狙った魔法を使うことができる訳で……。
結論。俺、もしかしたらヴォルデモートを強化してしまったかもしれない。
……あ、凶化したからバルバモートになったんだったか。言うまでもないことだったな。失敗失敗。
「……フゥゥ……。では、送ってくれるか?」
「おう」
ラストに校長に発勁をかまして杖を奪ったバルバモートは、振り向いて俺に送迎を頼んできた。ついでに校長の杖を手渡してきたが、多分あとで返しておいて欲しいと言うことなんだろう。
……それはそれとして、さっきのやり取りは捉え方を間違えると殺害予告とそれを受容しているようにも聞こえるな。
「じゃあ送るぞー……『姿くらまし(物理)』」
それなりに強くバルバモートの背中を蹴り飛ばす。バルバモートは凄まじい勢いで吹き飛び、窓を抜けて空高く飛んでいった。
「いつか、魔法省を手中に納めた後!俺様は必ず戻ってくるぞぉぉぉぉっ!」
キラーン☆ミ と言う擬音と共に、バルバモートは捨て台詞を残して消えた。『姿くらまし(物理)』を受けると、ある程度以上に頑丈じゃないと蹴り砕かれて分子か原子レベルに崩壊して文字通りに永遠に『姿くらまし』することになるからフォイにすらやってなかったんだが……やっぱり平気だったか。
「……はい、杖。忠誠心奪われてるようだけど、使うだけなら使えるだろうから使えばいいんじゃないの?」
「……すまんの」
校長はニワトコの杖を受け取って、そのままばったりと床に伏した。
……よし、寝るか。1000ガリオンほど儲かったことだし、原作通り
姿くらまし(物理)
ハリーくらいしか使わない高速移動法。ぶっちゃけ相手を蹴り飛ばしたり自分でジャンプしたりと言うかなり速いだけの普通の移動法。ある程度頑丈じゃないと粉々に砕けて死ぬ。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き