ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 ダームストラングのイゴール・カルカロフ。ホグワーツにおける『闇の魔術に対する防衛術』の教師であるアラスター・ムーディ。この二人が行方不明になっているにも関わらず、優勝記念パーティがホグワーツで開かれている。

 私個人としては予想通り過ぎる結果となったので喜ばしいと言う気持ちはあまり無いのだけれど、今はそれよりももっと別の事で悩んでいる。

 

 第三の課題は、結局一時間もしないで終わってしまった。それも、ダームストラングとボーバトンに圧倒的とも言えるような力の差を見せつけた上で、完全な一人勝ちをしてしまった。

 しかし、ハリーさんが消えていたおよそ30分程度の間、いったいハリーさんがどこで何をしていたのか知るものはいない。

 その事を知るために、ダンブルドア先生はパーティの後にハリーさんを校長室に呼び出しているそうだけれど……私が気になっているのはまさにこの部分のことなのだ。

 

 ハリーさんが空白の時間で人を殺していたのは間違いない。どこで誰を殺していたかはわからないにしろ、ただ人を殺したと言う時点で犯罪者として追われることは確実だろう。

 それがバレてしまえばきっとダンブルドア先生でもハリーさんを学校に置いておくことはできないだろう。いくらなんでも人殺しと一緒に勉強をさせたいと思う人はそうそういない筈だ。

 ……その事を思うと、食事も喉を通らない。いつもだったら美味しく食べているはずの数々のお菓子も、今の心境ではまるで砂でも噛んでいるかのように味気ない。

 

「……馬鹿な……エリーが……あのエリーが、出されたお菓子や料理を残す……だと……!?」

「エリー、身体は大丈夫なの? お腹痛かったりしない? 熱は?」

「……私だってたまにはそんな時だってあるよ」

 

 何故かロンやハーマイオニー達に凄い心配されてしまった。精神的な理由で食べられなくなるのは確かに初めてだけれど、私だって女の子なんだからこんな風にご飯が食べられなくなってもおかしくないと思うんだけどな?

 ……まあ、心配させておく理由もないので一応モソモソとお菓子を食べ始める。夕食を食べたばかりであまりたくさんは入らないけれど、それでもそれなりの量は食べられる。

 

 ……あんまり美味しくないけどね。

 

 

 

 

 

 side ハリー

 

 校長に呼ばれて校長室に。合言葉は教えられなかったが、正直面倒だったので校長室の中に直接転移して入った。中には変態仮mげふんげふん校長とマクドナルド先生、死ね逝け先生が俺の到着を待っていた。三人の視線は校長室の扉を捉えていて、開いたらすぐにわかるようにしているようだ。

 

「来たよ、校長」

「ほぶしっ!?」

 

 そんな中で校長の後ろから話しかけてみたら、校長がなんか吹いた。それに驚いたらしいマクドナルド先生と脛毛先生は校長の後ろに立っている俺の存在に漸く気付いたらしい。

 

「……ふう、驚いたの……よく来たね、ハリー」

「校長室に呼び出されると大事のように感じるな。……ある意味じゃかなり大事だけど」

「じゃろうな。……まあ、お座り。今紅茶を淹れよう」

 

 用意された椅子に座って、出された紅茶に口をつける。妙な薬を盛られている訳じゃ無さそうだし、何か魔法がかかっているようでもないので安心して飲むことができる。安心はしないが。

 

「……さて、それではハリー……優勝杯に触れた後、何が起こったのかを話してくれんかね?」

「あいよ。10分1シックルね」

「オライムレイ!」

「……冗談ですがな」

 

 ちょっと茶化した答えを返してみれば、マクドナルド先生に怒鳴られてしまった。全く、冗談の通じない奴を相手にするのはあんまり得意じゃないんだがな?

 

「……ショッキングな場面を見てたのを茶化しながら心を軽くしようって言う目論見くらいやらせてほしかったね。……それじゃあ話させていただきますよっと」

 

 ……『開心術』を使われながらの話ってのはあんまり気分のいいもんじゃないが、どうせ相手は完全に読めているわけじゃないんだから気にしないでおくとしよう。

 俺は話を始めようとして、ふとどこからどこまで話すことにするか、そしてそれを効率的に話すことができるかどうかを考えていなかったことを思い出した。

 全部話すと引かれるだろうし、だからと言って話さないわけにも行かないわけで。

 で、俺の場合そういう時に迷ったなら聞いてきた本人に聞き返せばいいと思うので、聞いてみることにした。

 

「どこからどこまで話します?」

「全てじゃ」

「本当に?」

「無論じゃ」

「……胃が死んでも俺のせいじゃないからな?」

「覚悟の上じゃ」

 

 どうやら変態仮……じゃない、校長は覚悟を決めてこうして話を聞こうとしているようだ。だとしたら、俺の方も覚悟を決めておかねばならないだろう。

 

「……まず、あの優勝杯が移動(ポート)キーになっていたようで、触れた直後にどこかの墓場に跳ばされまして。それで周りを見渡してみたらなんか怪しい影がありましたので……」

「ふむ、それでその影をどうしたのだね?」

「背後に回り込んで右手で頭の上から左側頭部に、左手で顎の下を通って右の下顎を掴み、両手を思いきり広げたら何故かその怪しい影が倒れまして」

「死んどる!?」

「いえ、呼吸はしてましたし目も俺の手を追っていたので死んではないはずで。

 で、それからその影が腕の中から何かを落としたので気になって拾ってみたらヴォルデモートだったので……」

「「ブフゥッ!?」」

「ぬぐ……そ、それでどうしたのじゃ……?」

 

 マクドナルドと脛イ毛が何かを噴き、変態仮面校長は腹を押さえながら先を促す。

 

「ヴォルデモートだったので、とりあえず近場にあった鍋に放り込んで茹でたんですよ」

「茹でっ!?」

「で、なんか鍋の中の薬らしき物が真っ青になったので……ついでに転がしておいた男の首と右腕以外のところを全部鍋に放り込んでグズグズになるまで煮たわけだ」

「煮るのですか!?」

「で、適当に煮詰まったところでそこら辺の土を投入して、トムとか言う人の墓石とついでに転がっていたイチイの木に不死鳥の尾羽根で作られた杖をへし折って投入して、適度に塩や味醂を加えて味を整えても不味いものは不味かったから適当にひっくり返したら全裸の男が出てきたからとりあえず天地が逆転して見えるようになるサービスをしたら動かなく……」

「セブルス、ダンブルドア先生に胃薬を!」

「用意している。……さあ、ゆっくりとお飲みください」

「……ぁあ……すまんの、セブルス……」

 

 変態仮面校長が脛イ毛と仲良くなっていっているようだが、俺は気にせずやってきたことを続けて語る。

 

「そんでそこでふと、男の○○を材料にして作るかなり強力な精力剤がある事を思い出したんで作ろうとしてみたんだけど材料の量が足りなかったから仕方無くもう一度同じように復活させてもいで、もう一度復活させてもいでを五回繰り返したところで逃げられそうになったので殴り倒してもいで、さらに十回ほど繰り返したらキレて襲いかかってきたからフォイフォイしたらなんかふっ切れて改名して『暗黒皇帝バルバモート』とか名乗り始めたんでちょっとかかわり合いになりたくなくて放置して帰ってきた感じ?」

 

 そう言って話を終わらせた途端に、変態仮面校長が机に突っ伏した。マクドナルドと脛イ毛はすぐに校長を助け起こしてその口にどろどろとした液体を流し込み、それで校長は漸く持ち直した。

 

「……ふぅ…………それで、今日起きたことは全てかの?」

「別れる前に『目が覚めた。俺様は今まで愚かだった。これからは誇りよりも勝利を取る俺様となり、今までの俺様の在り方を捨てる……そして、そのきっかけをくれたお前に礼をしよう。今晩26:00に時間をくれ』って言われたから今晩あたり来るんじゃないですかね?」

「ごばはぁぁっ!?」

「「ダンブルドア先生!?」」

 

 あら、血を吐いて倒れてしまった。

 たーいへん。

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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