ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 クラウチさんをダンブルドア先生に任せた結果として、クラウチさんは魔法省をクビになることが確定したそうだ。

 ファッジ大臣は最後までクラウチさんのことを『頭がおかしくなった』としか認識せず、それでもクビにしたのはヴォルデモートが復活しそうだと言うことを魔法省の中に広めたいとは思わなかったからだろう。

 ただ、クラウチさんの息子のことは恐らく事実だとして受け取り、アズカバン脱獄幇助としてクラウチさんをアズカバンに送ることも考えたそうだけれど、ハリーさんが『パパラッチが喜びそうなネタだな。随分不祥事があるのにまだ増えるのかね?』と言ったことで見送りになった。

 ……ファッジ大臣はハリーさんのことを憎々しげな目で睨み付けていたけれど、ハリーさんは全く眼中にないとばかりに無視。鼻で笑うようなことすらせず、完全に無視。そこに存在していると言う事実すらどうでもいいと言わんばかりだ。

 ……実際どうでもいいと思っている確率がかなり高そうだけれど、私としても実は結構どうでもいい。ファッジ大臣はどうやら自分が権力の座から降りるのが嫌なようだけれど、私が見たところファッジ大臣は大臣には向いていないと思う。それも、ロンが防御をするのと同じくらい向いてない。これからの魔法界の未来が心配になってくるレベルで向いていない。見ててかわいそうになってくる。

 

 ……でも、私は止めない。私は自分に被害が来なければなんでもいいしね。

 本当だったらここでハリーさんの事も心配しなくちゃいけないんだろうけど、ハリーさんのことを心配するよりもハリーさんを襲ったり迷惑をかけた相手のことを心配した方がよっぽど建設的だよね。この世界にハリーさん以外にハリーさんを追い詰めることができる相手がいるなんて想像もできないし。

 

 ……社会的に追い詰めるんだったらできなくはないだろうけれど、社会的に追い詰めたところでハリーさんは一切気にしないで生活を続けるだろう。自分の邪魔をするなら何らかの方法でそれを排除し、自分の物を奪われそうになればそれを妨害し……きっと、ヴォルデモートよりもずっとそれらしい暴君として君臨することだってできるはずだ。

 ハリーさんはあれで結構面倒臭がりだから早々やりはしないだろうけど、それでも本気で怒れば後先の事なんて一切考えることなく跡形もなく消滅させるなり殺害するなりといった事をするだろう。

 

 ……実際にそれをやるかどうかは置いておくとして、ハリーさんにはそうできるだけの力もあればそうすることを躊躇う理由もない。できればやめてほしいけれど、ハリーさんが誰かの言うことを聞くとかまず無いしね。

 

 そんなわけで、ハリーさんが世界を滅ぼすのは隕石や天変地異やブラックホールのような超巨大自然現象のようなものだと思って諦めることにしつつ、第三の課題のために色々勉強中。迷路を抜けるのに上から行っちゃいけないとかそんなルールはなかったけれど、その辺りは多分対策されているだろう。空から壁を越えていくなんて、考え付かない方がおかしいしね。

 まともな方法で抜けるのなら、間違いなく戦闘の技術が必要になる。私は逃げることと隠れること、相手の意識をそらすことはできるけれど、相手を倒すことは慣れていない。なんとかして少しは戦えるようにならないと、あっという間に死んでしまうかもしれない。

 ……ハリーさんが先行して、一人でいる間にさっさとクリアしちゃうかもしれないけれど……と言うかまず間違いなくそうなるだろうし、最悪でもかなり無茶苦茶なことになるだろうけれど……まあ、できることはやっておくべきだよね。マルフォイにでも協力してもらおうかな。

 もしかしたらマルフォイの防御力が物理面だけじゃなくて魔法面にまで伸びていってドラゴンよりも凄いことになるかもしれないけど、ヴォルデモートが復活しそうな最近だったらそうなっていた方がいいよね。うん。

 

 図書館にある役に立ちそうな魔法や、かけられているかもしれない呪いに対する反対呪文をできるだけ頭の中に叩き込んでいく。もちろんそれを使えるように練習もするけれど、元々の呪いも反対呪文もハーマイオニーの方が覚えるのがずっと早かった。

 それはもうこの何年かでわかりきっていることだったので特に反応を返すことはないけれど、とりあえず今年も間違いなくハーマイオニーとロンが『闇の魔術に対する防衛術』のテストで最高点を取るだろう。マルフォイ達もかなり優秀と言う結果を残すだろうけど、やっぱりハーマイオニーが一番だと思う。

 ハリーさんが試験を受ければきっとハリーさんが一番になるんだろうけど、ハリーさんは今年は試験の代わりに課題をこなすわけだし……受けてないのを受けたことにするのはまずいしね。

 

 ただ、ハリーさんは今は日本の呪術をある程度納めてからは陰陽術や道術の方に手を出しているらしい。封印術や、自然の存在の力を借りたり、相手の使った魔法や魔力を逆利用して自分の都合のいいように使うための物らしい。

 ハリーさんは前にそれなりに霊力とか言うのを使えるようになり、多少の霊能を扱えるらしいけれど、その時に見た中に無茶苦茶な霊能使いが居たそうで……まあ、真似できないかとやってはいるけれど流石に無理だとか。

 

 ……ハリーさんにもできないことがあるって言うことにびっくりした。『文珠』とか言う霊能がどんなものかは知らないけれど、とりあえず便利ではあるらしい。

 確か……万能にして不完全な願望器、だったっけ。力の及ぶ範囲ならなんでもできるけど、力が及ばなければ何もできない。込められた力を一辺の無駄もなく使いきる物だと考えればいいらしい。規模を大きくすれば『聖杯』と呼ばれるものに匹敵するそうだけれど、それでも不完全だからあまり大きな願いは叶えられないとか。

 数を揃えてやれば何日単位での時間移動もできるそうだけれど……ハーマイオニーがやっていたように、時間移動なんて特殊な道具があればできないことはない。

 つまり、なんでもできるけどなんにもできない能力、それが『文珠』と言うものらしい。

 

 ……確かに、便利ではあるらしいけど……微妙な能力かもしれない。

 

「……あ、見っけ」

「……? 何をです?」

「リ痛・好キ痛」

「……その名前はもうやめてあげません? 聞いててもうかわいそうになってきて……」

「虫のコスプレして人前に出てる奴だが」

「痛々しい人ですねリ痛さん。話しかけられたら気付かなかったことにしてさっさと逃げないと痛いのが移っちゃうかも」

「そうだな。それじゃあさっさと戻るか」

「そうですね」

 

 私はハリーさんと一緒に、すぐにその場から離れたのだった。

 

「……ところで、その瓶は?」

「気にするな」

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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