ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 クラウチさんはダンブルドア先生に用があったらしいのだけれど、結局それを伝えることはできなかったようだ。なにしろ、次の日の朝にマダム・ポンフリーが確認した時には息を引き取っていたと言うのだから。

 

「と言うことで俺参上。死亡したこの人の心臓にちょっとばかり手術のようなことをしてから、時間が過ぎて肉体から離れてしまった魂をイタコの技術で呼び戻し、ちょっとした呪術と符術と錬金術を使って肉体との繋がりを再構成してやれば───」

「……う……私は……ここは、どこだ…………?」

「───と、このように簡単に蘇りました」

「まるで焼いたパンにバターを塗って千切ったレタスと輪切りにしたトマトとカリカリに焼いたベーコンを挟んでBLTサンドを作るみたいにお手軽に死者蘇生とかほんと勘弁してもらえませんか!お願いですから自重してくださいよもぉぉぉぉ!!」

「むー、りっ☆ミ」キラッ!

 

 ハリーさんは楽しげにそう言うけれど、私は朝からもう本当に疲れた。もうダンブルドア先生に全部投げてしまおう。クラウチさんもダンブルドア先生に用事があるみたいだし、丁度いいよね。うん。

 それに、なんとなくだけれど……この事はちゃんとダンブルドア先生に伝えておいた方がいいような気がするんだよね。

 何故か、時々私にはこうしてやけに何かが囁いてくるような感覚になることがある。ハリーさん曰く『虫の知らせ』と言う物だそうだけれど、私の場合には命に関わることにばかり鋭くなるそうだ。

 その事から考えると、クラウチさんの用って言うのは私の命に関わる物になると言うことだけど……いったいどんな内容なんだろうか? できることならこの予想が外れてくれて、試合が全部終わった後にハリーさんからネタばらしがあって、ハリーさんが仕掛けた盛大なドッキリだった……とか言うのが一番の理想なんだけれど……流石にこの状況からそんな虫のいいことは無いだろう。

 ハリーさんだってわざわざそんな面倒なことをするくらいならもっとお手軽なからかい方をするだろうし、盛大なドッキリをやるんだったら最初の課題に使われたドラゴンをハリーさん屋敷の地下のどこかに居ると言う祖龍ミラルーツ、黒龍ミラボレアス、紅龍ミラバルカンの三大古龍に摩り替えて逃げ惑う代表三人を大笑いしながら眺めたり、第二の課題では水中人達を鍛え上げて人質を救わせないようにして全員失敗させてみたり、第三の課題の迷路を勝手に作り替えた上でクィディッチ・ピッチの広さを数十から数百倍にまで広げた上で色々な動物や罠を多数追加してみたりとか……そんな感じの悪戯をして居たはずだ……と思う。

 普通に考えれば14歳の子供にできることではないけれど、ハリーさんはハリーさんだから、もう仕方がない。だってハリーさんだもの。

 ……本当にそうなっていたらツッコミは入れていただろうけど。

 

 そんなわけで、目覚めたばかりのクラウチさんをダンブルドア先生のいる校長室に連れて行った。校長室では何故かダンブルドア先生の他にコーネリウス・ファッジ魔法省大臣とムーディ先生の二人が居たけれど、ハリーさんは平然とそれを無視して入っていった。

 

「ノックしてもしもーし」

 

 バゴンッ!と大きな音を立てて扉を蹴り開けたハリーさんは、瞬間的に飛んできたムーディ先生の呪文を無言多重呪文で唱えた『盾の呪文』で跳ね返し、ファッジ大臣の持つ杖だけを軽く吹き飛ばしてからダンブルドア先生に笑顔を向けた。

 

「やあ校長先生、こうして直接話すのは久し振りと言っていいのかね?」

「……そうじゃの」

 

 ダンブルドア先生は密かに左手を自分の胃に当てながら答えた。ダンブルドア先生はどうやらハリーさんと話をすると条件反射的に胃が痛くなるらしい。

 けれど、ハリーさんを前にしてその程度と言うのは凄いと思う。私だったら間違いなくノータイムで胃薬を水と一緒に流し込んでるのに、ダンブルドア先生は片手を当てるだけだなんて。

 

「……それで、いったいなんの用じゃ……?」

「死体の胸を殴ったら飛び起きて校長に伝えたいことがあると言って俺の服を掴んで放してくれなかったから抉り込むような角度でレバーブローして連れてきた」

「お主のレバーブローは吸魂鬼を消し飛ばせる威力じゃなかったかの?」

「最近はデコピンでドラゴンを20kmほど後ずさりさせるくらいの威力を出せるようになった」

「後ずさりと言うか間違いなく吹き飛んでますよねそれ!? 弾道飛行ですよね?」

「いやいや、吹き飛ばすだけだったらそんなの五年前にはとっくにできて……あー、いや、あの頃は上手く加減できなくて粉々にしてたから吹き飛ばせてはないな……三年前か」

「問題は手加減じゃないですよ!? まず『それができること』が問題ですからね!?」

「ちなみに今は自重解禁中だから、フォイが相手でも拳型に貫通させられるぞ? あまりの速度にやられた方すら気付かないで家に帰って風呂に入ろうとしたところでようやく気が付いて『な……なんじゃこりゃぁ!?』と叫んでから死ぬくらいの威力で」

 

 どうやらマルフォイの防御力なんてハリーさんには紙とそう変わらないようです。つまりハリーさんにとって、人間なんて糸屑よりも脆い存在だと言うことに……!

 

「ちなみにフォイは前に殴った防御を固めた楯蟹の鋏より硬かったな」

「マルフォイもマルフォイで人間から外れてるってなんなんだろうね……」

 

 ……ほんと、なんなんだろうね……?

 

「……そうそう、校長にこの半ばいかれたおっさんが話があるとさ。おエロいさんだから連れてきたんだが、なんか不味いかね?」

「まずいの。甦らせたんじゃろ?」

「やり方さえ知ってれば猿でもできる方法ではあるんだが……」

「どうやったのじゃ?」

「あの世から魂を引っ張ってきて生きる力に満ちた本人の死体に憑依させて結びつけただけ。ただし、魂が弱ってた場合や死体が活きてなかったら塵になったりアンデッドになったりするけど」

「失敗のリスクが大きすぎる件について!?」

「死者甦生のリスクがその程度ならやる奴沢山居ると思われる件について」

「暴理暴論のハリーさんに正面から論破された。反論の言葉が見つからない。私の中の常識が折れてしまいそうですが、とりあえず日本刀のように折り返して鍛造して鋼のように強い心を持とうと思います」

「硫酸のように侵食しようか」

「オリハルコンの心になるまで錬金しときますからそれまで待ってください」

「金属寄生体を用意して待ってるよ」

 

 どうやら私はハリーさんに寄生されて食い物にされてしまうようです。

 ……それもいいかな、と少し思ってしまう私は、本当にどうすればいいでしょうか?

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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