ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 ハリーさんへの手紙がほとんどなくなり、結構な人数の人が住む家を無くしてから暫くの時間が過ぎた五月の終わりごろのこと。クィディッチ・ピッチに生け垣が現れた。

 バグマンさんは第三の課題が終わればすぐにピッチは元通りにして返すと言ってくれたけれど、クィディッチが大好きな私としてはこの状況はちょっとばかり許しがたい。

 そして、第三の課題の内容が発表された。まあ、簡単に言うと『迷路』だ。

 ただ、障害物としてハグリッドが厳選した怪物達や、色々な人が魔心(誤字に非ず)をたっぷり込めてかけた呪いが沢山あるそうだ。それらを倒したりやり過ごしたりしながら迷路を抜けて、中心部に置かれた三校対抗優勝杯に初めに触れた人が優勝ということになるらしい。

 そして、フラーとクラムからは質問がなかったようなので、私とハリーさんからの軽い質問タイムが数分。内容は、私は『迷路を進んでいる途中で迷路の形が変わることはあるか』という質問をして、答えは『無い』と言うもの。ハリーさんの質問は、『迷路の中で生物や呪いなどの障害物を破って行くという言葉は文言通りに適用されるのか』と言うものと、『万が一、障害を排除するあるいは進むために使った魔法が他の代表選手に当たって妨害することになった場合にルール違反となるのか』と言うものだった。

 ……ハリーさんの質問としてはまともに聞こえるけど、私の予想ではこの二つの質問って実は同じことを聞いているような気がしている。

 つまり、『他の代表生徒を障害物として排除するのは有りか』と……まあ、そんな感じのことを聞いているんだと予想する。

 

 ハリーさんの場合、開始直後にやることが選手控え室に戻って出番を待っているフラーとクラムに『妨害の呪文』や『失神呪文』等の呪文をかけて参加できないようにしてきたりとか、むしろ課題が始まる前にクラムやフラーの食べ物に何か盛って参加できないようにしたりとか、そういうことを考えるだけならともかく実際にやっちゃいそうだから怖い。

 ハリーさんは多分、じぶんにとって必要の無い相手や嫌いな相手、どうでもいい相手を殺したいと思っていたら迷うことなく実行するタイプだと思っている。なにしろ、ハリーさんだ。基本的にかつ根本的に外道なハリーさんだ。そのくらいの事をやらないでいるわけがない。

 

 そんな感じでバグマンさんからの説明を聞き終えると、ハリーさんはいつの間にか消えていた。クラムがハリーさんのことをキョロキョロと探していたけれど、ハリーさんはそんなの関係ないと言うかのように姿を消してしまっている。

 ……ハリーさんらしい自由奔放さだと思うけれど、もう少し周りの人の事も考えて……いや、ハリーさんは周りの人の事は考えつつもそれを全部無視してやりたいようにやる人だった。考えないで自分のためだけに行動してる人よりもよっぽど質が悪い。ついでにそもそも性格が悪い。

 そんな感じにハリーさんの行動に諦感を覚えつつ私は寮に戻ったのだけれど、次の日に何故かクラウチさんがホグワーツの校内で見付かったそうだ。ちなみに発見者はやはりと言うか当然と言うかわかりきっていたと言うかなんの面白味もなくてつまらないと言うか、まあとにかくハリーさんが第一発見者だ。

 クラウチさんは発見当時から眠り続けていて、後頭部は何かに殴られたような痕があり(ハリーさんが足を持って階段を引き摺ったせいだそうだ)、全身は土で汚れ(ハリーさんが森の中で脚を掴んで引きずり回したせいだそうだ)、全身に軽い打ち身と擦り傷があったとか(ハリーさんが校内の階段や森を引きずり回したせいだそうだ)。

 ……大体全部ハリーさんのせいらしい。ここまで来ると、もしかしたら最初に見た時から気絶していたと言うのもハリーさんのせいなんじゃないかと思ってしまう。

 例えば、いつも通りに目を閉じたまま歩いていて、気配でどこにいるか、どんな体勢かを理解しているにも関わらずにあえて目を閉じたまま蹴り飛ばして意識を失わせてから目を開ければ、確かにそれは『初めて見た時から気絶していた』と言える。

 

 ……屁理屈かもしれないけれど、嘘ではない。真実か真実でないかと言われれば、間違いなく真実ではある。ハリーさんはそう言う人の裏を書いたりするのが凄く上手いし、嘘じゃない本当でない真実を騙るのが凄く上手だ。

 よく考えてみると、やっていること自体はリータ・スキーターのそれとあまり変わらない。ただ規模と細かいやり方が違うだけで、大体同じだと言える。

 

 リータは自分で集めたインタビューを元に捏造する。リータにとって真実かそうでないかなんて事はどうでもいいことだから、事実として無かったことですら実際にあったものとして記事にしている。

 

 対するハリーさんはと言うと、本当の事は話さないかわりに状況がどうだったと言うこととそれから導き出せる推測を話して、それらしい後付けの理由でそれをまるで本当に起きたことであるかのように錯覚させている。

 つまり、ハリーさんが騙す気持ちがあったかどうかはともかくとして、実際には相手が勝手にそう思い込んだだけでハリーさん自身は決定的なことは何も言わない。

 

 最初から嘘を混ぜるか本当のことしか言っていないかの違いがあり、どちらの方が被害が大きいかと言えば規模の違いから間違いなくリータ。どちらがより迷惑かと聞かれれば、一発が大きい上に面倒なリータと一発一発は小さいけれど連発してくるハリーさんで迷うけれど、ハリーさんの場合にはただ疲れるだけで済むからリータ。ハリーさんより迷惑とか、リータもある意味大物かもしれない。

 ……勿論、悪い意味で。

 

 リータとハリーさんの一番の差は、やっぱりそう言う嘘で人を傷付ける以外の事をして来たか否か、と言うことだろう。

 ハリーさんはそう言う言葉で色々とその場の空気を滅茶苦茶にすることで、辺りの固まった空気や悪い空気を無理矢理入れ換えることが多い。ハリーさんがいる中で喧嘩などをしようとすれば、ハリーさんがいつの間にか現れていてその喧嘩の勝敗で賭けを始めて先生達に見つかる前にさっさと消えては後に当たった人達に配当を渡したり、先生達に止められたりして賭けの結果が不成立になる、あるいはその事すらも読んで結果を当てた人が居た場合には、自分の取り分は取っておいて後の金額を当てた人達に渡したり……それを知っている人達がキレて喧嘩をやめて結局ハリーさんの懐に賭け金が入ったり……。

 つまるところ、ハリーさんは自分にある程度の得があれば少しは周りのことを考えてくれる。でもリータは千害あって利とか考えるだけでも烏滸がましいレベル。本当にリータはどうにかなってくれないだろうか? じゃないとシリウスおじさんからの手紙でハリーさんと別れるんだとかそう言う内容がもう本当に鬱陶しいから。

 ……今度会う時にはちゃんと説明しておかないと。手紙だとシリウスおじさんはなんでか信じてくれないから。

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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