ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 水中人の人達からロンを取り戻し、ハーマイオニーをクラムに助けさせてから私も水上に上がっていく。多分ハリーさんの人質はもう居ないし、フラーの人質はロンを助けようとしていたら突然縄を切られて凄い速度で上に引っ張り上げられていったので、後は私がロンを連れていくだけだ。

 ハリーさんに言われて『探知呪文』と『四方位呪文』を覚えておいてよかった。そのお陰でロンを助け出すことができそうだ。ハリーさんには後でお礼を言っておこう。

 ……ロンは私よりもずっと大きいから引っ張り上げるのが大変だったけど、それでも鰓昆布のお陰で水中に適応している私はクラムよりも早く水上に上がることができた。鰓昆布の効果が残っているから私はまだ陸地に上がることはできないけれど…………ここからでもスタート位置のところに横たわっている大きな魚のようなドラゴンのようなものは見えた。

 鋭い牙に、魚のようなヒレをドラゴンで言う翼の位置に持っている翠色のそれは、言ってみれば『魚竜』だろう。翠色であることを加味すれば『翠魚竜』がいいかもしれないけれど……とりあえず凄く美味しそうな匂いが辺りに漂っている。

 どうやら先に助けられていたらしいマルフォイや、先に上がっていたらしいフラーと、フラーによく似た女の子も、一心不乱に料理を掻き込んでいるように見える。

 ……きっとあの翠魚竜はハリーさんが釣ったんだろう。あんなものがホグワーツの湖に居るだなんて知らなかったけれど、釣り上げたハリーさんは嬉々として解体して調理したに違いない。

 

 そこまで考えた時、ようやく私の首から鰓がなくなった。すぐに私は岸に上がって、並べられていた料理の前に座った。

 

「……ハリーさん」

「少し待て」

 

 ハリーさんが杖を軽く振るうと、私の服から水気が一瞬で消し飛んだ。私はすぐにその場で両手を合わせていただきますと呟き、ご飯と魚料理を口の中に掻き込み始める。

 まずはご飯。炊きたてのご飯の白さとほんのりとした甘味が口の中に広がり、そして消えていく。このご飯だけでもう美味しくて困る。

 それから焼き魚。照り焼きにしてあるらしい海の魚は、ホグワーツではなかなか食べる機会の無いもの。まさか湖で捕れるとは思わなかったけれど、それより今は味を楽しむ。

 魚の身に箸を入れ、骨と身を分けてから口に運ぶ。この学校に来てから何度言ったかもわからない、美味しいと言う言葉が溢れていく。

 

 次に、鮭の漬け。ハリーさんが時間を加速させて作ったものだろうそれは、醤油と出汁と鮭の脂が程よく混じっていて……こっそり使われているお酒もまた味を引き立てている。そのまま食べるよりも、ご飯と一緒に食べるのが正解だと、私は勝手に思っていたりする。お好みで山葵もどうぞ。

 

 そしてどうやらさっきの漬けの鮭の大半を使ったものだと言うことがわかる海鮮親子丼。イクラと鮭の親子を一緒に食べるのが最高だと言うのは、隣で同じものを掻き込んでいるマルフォイの言葉。

 ただ、そんなことを言っているからハリーさんに「フォイは親子丼が好き(意味深)」とか言われちゃう。マルフォイも少しは学べばいいのにね。

 

 さらにマグロの海鮮ユッケ。醤油とお酒とごま油を3:1:1の割合で作ったタレが、細く切られたマグロに絡んで凄く美味しい。

 マグロは何もつけないで食べるのが好きだと言うロンと、醤油と山葵をたっぷり使うマルフォイはよくぶつかり合うけれど、流石にこの場でやりあったらハリーさんの拳で湖の向こう岸まで水切りしながら吹き飛ばされて大イカにそっと受け止めてもらってこっちの岸に戻してもらうはめになるとよくわかっているようで、一度料理を置いて少し離れたところで喧嘩を始めた。

 いつもだったらキリのいいところでハーマイオニーがマルフォイとロンに両成敗と言うことでHPに割合でダメージを与える殺さずの抜手を打ち込んで止めていたんだけど、流石のハーマイオニーでも湖の中から遠隔で抜手は無理らしい。

 ……できるようになっていたら、ハーマイオニーも遠くに行っちゃったって泣いちゃうかもしれないからできないままでいてほしい。魔法使いだからって、肉体派魔法使いになる必要はないからね? ハリーさんだけでお腹一杯だよ?

 

「フタエノキワミアッー!」

「僕の身体とお前の拳、どちらが先に壊れるか勝負だ!」

 

 ……ごめん、結構近場にもう二人いた。フタエノキワミアッー!を両手で連発しているロンと、それを真正面から身体で受け止めているマルフォイ。攻めるが果てるか、受けるが果てるか……ハリーさんかハーマイオニーの介入で撃沈されるか……まあ、最後のかな。うん。

 とは言っても、ロンはちゃんと効くことがわかっている魔法を使おうとはしていないし、マルフォイも肘や額などの頑丈すぎる場所で受けてロンに酷い怪我をさせないように気を使っている。本当に憎み合っている訳じゃない喧嘩を見ると、微笑ましく思えてくるよね。

 ……ハーマイオニーがこの二人を同時に大事にしている理由が、何となくわかったようなわからないような……とりあえずマルフォイとロンは凄く子供っぽいと言うことだけはわかった。ハーマイオニーはそんな二人の事を『可愛い』と評したけれど、それについてはちょっと同意できない。

 

 ハーマイオニーの趣味が悪いとかそんなことは置いておいて、私は蟹の出汁がたくさん出ているお鍋と、足の部分が使われた蟹チャーハンを食べる。蟹って予想以上に美味しくって吃驚だ。

 フラーとその妹さんは、鍋の中に入っている蟹の足を細い耳掻きのようなスプーンを使って無言のままひたすらほじり続けている。凄く美味しいらしい。気持ちはわかるけどね。

 確かに蟹鍋は美味しかったけれど、私個人としてはお鍋よりもチャーハンを推したい。チャーハン美味しいよチャーハン(^q^)

 

 そしてお鍋の具がなくなった頃に、ハリーさんはうどんを投入。これは嬉しい。凄く。

 それから見たことの無い魚の切り身を入れて、しばらく煮込む。ふとハリーさんの後ろの翠魚竜を見てみると、なぜか顎の下の一部の鱗と皮が剥がされて肉を削ぎ落とされていた。それでさっきの切り身がなんなのかわかったけれど……ドラゴンって美味しいんだよね。実は。

 ハリーさんの家に泊まったときに、薄切りになって出てきたドラゴン焼き肉は……絶品だった。

 火竜の肉と言っていたけど、機会があったらまた食べたいなぁ……。

 

 お鍋の蓋を開けてうどんをよそう。ロンとマルフォイはいつの間にか戻ってきていて、ちゅるちゅるとうどんを啜って悦に浸っている。

 出汁のきいた汁に、少し柔らかめに茹でられた太いうどん。凄く……美味しかった。

 

 そして、お鍋の〆と言えばやっぱり雑炊だよね!

 

「……何やってるのよ?」

 

 …………あ、ハーマイオニーが戻ってきてなかったの忘れてうどん全部食べちゃった。

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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