ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
フォーーイ!(挨拶。意訳:俺参上!。待たせたかい?。真打登場! 等)
side エリー・ポッター
ハリーさんはどこからか取り出した音楽機器で作業用BGMを聞きながらのんびりと釣りと調理を続けているけれど、私はもう課題が始まる前からツッコミ疲れたので無言でハリーさんの料理を食べ続けている。
ハリーさんはそれに何も言わないし、初めに食べていいかと聞いてみたら好きにしていいと言われたので好きなように食べているのだけれど……巻き寿司が美味しくてびっくりしました。
そして、ようやく課題が開始する時間になりましたが……ハリーさんはあからさまにやる気無さそうに釣糸を垂らしているだけで、潜る準備なんて全くしていません。
まあ、相手はハリーさんなので湖を割ってさっと大切なものを拾って湖を閉じたりしそうですが、相手はハリーさんなので何があっても驚きません。相手はハリーさんなので。
流石に開始の寸前には釣糸を垂らすのは辞めていましたが、それでもどう見ても潜る格好には見えません。
まあ、ハリーさんなので湖の水を中の生き物ごと全部浮かせて大切なものを回収した後に浮いている水を叩き落として元の湖に戻すと言うことをやっても、『旱魃の呪文』で湖をまるごと干上がらせようとも、相手はハリーさんなので不思議ともできないとも思わない。
ただ、『旱魃の呪文』で湖を干上がらせてしまったら魚を釣ることもできなくなるのでそれだと困ってしまう。
……ハリーさんは例え湖どころか海が干上がったとしても、どこからともなく魚を調達して来そうな気もするけれど……まあ、ハリーさんなので仕方ない。一応ツッコミはするだろうけれど、最近はもう半ば諦め気味だからね。
……どうにもならない現実から目を逸らして、バグマンさんの開始の合図を待つ。とりあえず、私は私にできることをやるだけだ。
そして、バグマンさんのカウントが終わった直後、私は靴と靴下を脱いで鰓昆布を飲み込み、湖に潜っていった。
side ハリー
全員いなくなったので、俺は『千の顔を持つ英雄』で作られた釣竿を振って針を飛ばし、【スローターアームズ】で投げた針の軌道を操って狙った場所に落としてから高速で沈ませる。
『千の顔を持つ英雄』で作られた釣竿は【スローターアームズ】で自在に動かせるし、狙うべき場所もわかっているのだから間誓えるわけもない。
狙い通りの場所に落ちた釣り針は、対象を固定していた太い縄を切り裂いて自由にし、直後に服の首根っこに引っ掛かって浮上を始めた。
俺はなんでもないかのように普通に糸を巻き取り、そしてそいつを水面より上に引き上げた。
「フィッシュ!」
「フォーーイ!」
「……アンドリリース」
「フォォォイ!?」
引っ張りあげられたフォイがスタイリッシュポーズで上がってきてドヤ顔をしていた。それがあまりにもイラッとしたのでつい空中で針を外して水面に叩き落としてしまったが、確か審査は人質を水面に連れてくるまでが採点対象だったはずなのでスルーしておく。
だばーんっ!と派手な音と一緒に大きな水柱を上げたフォイは、ゆっくりと岸に向けて泳いできている。とりあえず携帯ジャグジーバス(貸出用)を用意しておいて、上がってきたらさっさと放り込んでやろう。
着替えはスリザリン寮から『呼び寄せ』てあるし、タオルは近場から持ってきた。あとは本人が風呂に入って暖まれば大体必要なことは終わる。
俺はこの課題が終わるまで、作業用BGMになのちゃんの歌うボカロ曲でも聞きながら片手間に料理と釣りを楽しむことにする。
「……ぷふぉい…………」
フォイの足が付く場所にまで来たらしく、頭の上半分だけが水面に出ていた状態から少しずつ上がってきて、口から滴っていた水を吐息で吹き飛ばしたのが見えた。
「あー、死ぬかと……ってか寒いね」
「そこの四角いのは携帯型ジャグジーバスだからさっさと入って肩まで浸かって暖まってこい」
「……着替えは?」
「『呼び寄せ』といた」
「ありがとう」
フォイは普通に岸まで上がり、濡れた体のまま風呂に入っていった。とりあえず、風呂上がり用にアイスを用意しておこう。『
臭いは口の中に入った瞬間に放出されるようにしておけば、食べることを拒否したりはしないだろう。忍ばない忍者がたくさん居る世界の犬使いとその飼い犬のように半死半死……じゃない、これだと全死だ……半死半生になるかもしれないが、フォイは頑丈だし平気だろう。
……シュールストレミングはニシンをやばい感じに腐らせたやつだが、ちょうど俺の手元には釣り上げたばかりのニシンがあるし、ついでにルーちゃんの使う虚無魔法には時間加速魔法なんてものだってある。漬物とか酒とか発酵食品を作るのには苦労しないな。
そんな訳で作ってしまおう、シュールストレミングアイス。もちろん名前の通りに食べれば痩せるようにして……いや、それはいらないか。フォイは十分痩せているし、増やす必要はなさそうだが減らす必要もなさそうだ。
効果を無くす代わりに味には拘っておくことにする。臭いは強いかもしれないが、味は最高級に。昔に作った『死ぬほど辛いがめっちゃ美味いカレー』のように、美味いが物凄い欠点(?)があるようにしてやるわけだ。
……フォイがどんな反応を返すのか、楽しみだ。
考えつつ釣りをしていると、フォイが風呂から上がってきた。首にタオルを引っ掻けて、いつもはオールバックにしている髪を崩している姿は、まさに風呂上がり。ここでコーヒー牛乳でも渡してやったらもうどう足掻いてもおっさんになってしまう。
だが俺は気にせずフォイにビンのコーヒー牛乳を渡す。軽く放られたそれを片手で受け取り、受け取った方の手の親指一本で紙の蓋を半分ビンのなかに押し入れるように開け、そして腰にあいた片手をあてて一気に飲み干した。
「……あ゛ぁ~……」
茶色い髭を鼻の下につけてそんな風に息をつくフォイ。どう考えてもどう見てもどれだけ足掻いてもどれほど頑張っても間違いようもなく、その姿は一人のおっさんにしか見えない。
これでまだ14だと言うんだから、未来の姿が心配になる。どこまでおっさん臭くなるのやら?
……どうでもいいか。フォイがおっさん臭くなったからと言って俺に何かあるわけでもないしな。未来でこいつの嫁がどう思うかの違いしかない。
……また何かかかったな。フィッシュ!
フォォォイ!?(一種の挨拶。意訳:なんだってぇぇ!?。なんでっ!?。等)
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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BLEACHの続き
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他の止まってるやつの続き