ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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 side エリー・ポッター

 

 ハグリッドを立ち直らせたり、マルフォイがとあるマグルのテレビゲームからヒントを得て妙な技を開発しようとして失敗続きでも頑張っていたり、ロンがついにフタエノキワミアッー!を連打できるようになったり、ハーマイオニーがマルフォイの新技の試作品とロンのフタエノキワミアッー!を真っ正面から殴り飛ばせるようになってから少し。やっとやっと第二の課題が始まる日になった。

 この日のために用意してきた色々なものを持って、私は湖へと向かう。

 ……とは言っても、あまりにも量が多かったりあからさまだったりするものは試合中に持ってきてはならないので杖と鰓昆布、そして水の中でも動きやすいように作られた水着だけなのだけれど、それらを用意して行った。

 ……開始前に話をしたかったのだけれど、ロンもハーマイオニーもマルフォイも、なぜかどこにもいなかった。居たのはいつも通りにホグワーツの制服を着ているハリーさんと、クラッブとゴイルの三人だけ。

 全員昨日のうちに先生に呼ばれてから姿が見えないと言っていたけれど、まさか観戦も許されないだなんて……。

 

 そう思いつつ湖のすぐ近くの審査員席の側で時間を待っているのだけれど……やっぱりあまりにも暇すぎる。ハリーさんなんて、かなり時間があるからって近場で釣りを始めてしまうくらいだ。

 

「……フィッシュ!」

「釣糸垂らして五秒で魚!? 速すぎでしょういくらなんでも!?」

「釣れたものは釣れたんだから仕方無いだろう。……なんだ、長靴か」

「湖に長靴の不法投棄とか誰がやったの!?」

「俺が知るわけ無いだろう。……フィッシュ!」

「また!? 今度は何が……」

「……カジキマグロだな」

「ここ湖のはずなんですけど!? なんで海の魚が湖に居るんですか!」

「烏賊が居るんだから居てもおかしくないだろ。…………油の乗ったいいカジキだな。寄生虫を殺したら刺身にして食うか」

「私にも下さい!」

「いいぞ。……フィッシュ!」

 

 ハリーさんは次々に魚を釣っては片手の包丁で捌いて無言呪文で出した水で洗い、色々な調理を施していく。

 何故か釣れている海の魚は捌かれて塩焼きや照り焼き、あるいは刺身になり、淡水魚は基本的にしっかりと火を通した料理にしている。

 ハリーさんの『寄生虫殺し』の呪文で寄生虫は居なくなっている筈だから淡水魚でも平気だろうと思うのだけれど、ハリーさんは断固として火を通していた。単に火を通しておいた方が美味しいからだそうだけれど、一度生でも食べてみたかったかもしれなもぐもぐ。

 

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

『『『…………』』』

 

 なんだか観客や審査員や各校代表の視線が突き刺さっているような気がするけれど、何も言ってこないと言うことは欲しい訳ではないだろうと勝手に解釈しておく。やっぱりハリーさんの作るご飯は最高だと思います。まる。

 

「……フィッシュ!……なんだ鯖か。三枚におろして鯖味噌か胡麻鯖だな」

「美味しそうですねぇ……」

「……おい娘っ子。竿引いてるぞ」

「わっ!?」

 

 慌てて竿を掴んで引っ張ってみるけれど、相手も中々力が強い。必死に頑張ってなんとか拮抗しているのだが、このままだと体力が切れてしまうかも……。

 

「……フィッシュ!……ワカメ……だと……?」

「なんでワカメ!?」

 

 あまりにもぶっ飛びすぎているハリーさんの釣果にツッコミを入れた瞬間、ツッコミのせいか力が入って魚が一瞬寄ってきたのがわかった。

 ……これならいける!と感じ、ハリーさんの釣果にツッコミを入れようと待ち構える。

 

「……フィッシュ!……なんだ水魔か。リリース」

「リリースするの!?」

「……やっぱ食うか」

「食べるの!? と言うか食べられるの!?」

「見た目はグロいし食う奴もいないし味も不味い部類に入るが、食えない訳ではないな」

 

 ひゅぴんっ!と甲高い風切り音がして、ハリーさんが釣り上げたばかりの水魔の身体が綺麗に分割されて鍋の中に放り込まれて火にかけられた。どうやら灰汁抜きみたいなことをしているようだけれど、ちゃんと食べられるようになるなら文句なんて一つもない。

 それと、ハリーさんにツッコミを入れる度に少しずつ近くに寄せていた魚だけれど、もう少しで引っ張りあげることができそうだ。どんな魚が釣れるのかなぁ……?

 

「フィッシュ!……昆布か。よし出汁を取ろう。そしたら捌いた魚の残骸と一緒に煮てあら汁だな」

「ハリーさんのレパートリーの多さに私は驚きです」

「俺のレパートリーは53万だ」

「本当ですか!?」

「本当はもっと多いな」

 

 本当はもっと多いらしい。いつかハリーさんの作れる料理をコンプリートしてみたいと思うけれど、流石に53万は難しいかもしれない。

 ……頑張ってみればできるよね。よし、頑張ろう!

 

「フィッシュ!……なんだワカメか」

「いやそれ人!どう見ても人!」

「いやいや、こいつは間桐(マキリ)慎二(ワカメ)と言ってだな。こいつを釣ったらとりあえずリリースしておくのがいいんだ」

「『とりあえず』で人をリリースしないでくださいよ!?」

「フィッシュ!」

「聞いて!?」

「……蟹が釣れたんだが、どんな料理がいい?」

「料理のリクエストを聞いて欲しいとかそう言う意味の『聞いて』じゃなくってですね!?」

「じゃあワカメはリリースするとして……」

「だから聞いて!?」

「……蟹はグラタンに入れようと思うんだが、どう思う?」

「~~~~~~~っ!……はぁ。……もうなんでもいいです」

 

 ハリーさんの手から離れてぶくぶくと沈んでいくワカメさんを見送りながら、私は大きく溜息をつく。……とりあえず、いつの間にかかなり近づいてきている魚を岸まで引っ張りあげた。

 ……なにこの魚?

 

 私の釣り上げた魚は、身体が全体的に丸っぽくて額から触手のようなものを生やしている見た目はかなりアレな魚だった。

 ただ、私の勘が言っている。この魚は、美味しいと。

 

「鮟鱇か。深海の魚の筈なんだが……やっぱりホグワーツは人外魔境だな」

「…………」

 

 そんなことを言うハリーさんに【 ハリーさん、自重 】の文字を向けるけれど、ハリーさんは笑顔でスルー。

 

「……よし、ちょうどうどんも釣れたし、課題が終わったら鍋パーティと行こうか」

「ちょっと待ってください。嬉しいんですけどちょっと……と言うか凄く待ってください。……うどんを釣るってどう言うこと!?」

「豆腐も釣れたぞ」

「意味がわからない!? なんで釣りでうどんやら豆腐やらの加工された食品が出てくるのかわからない!せめて自然界にそのままある食品ならわからなくもないけれど豆腐もうどんもなんで釣れちゃうの!?」

「白菜も釣れたぞ。よかったな」

「嬉しいけどツッコミが間に合わない!ハーマイオニー!助けてー!」

「グレンジャーを呼ぶ声が聞こえたがグレンジャーはいないから」

「代わりに俺達が話を聞こう」

「クラッブとゴイルがどこからか現れた!? さっきまで観客席で適当なお菓子摘まんでたよね!?」

「フォイ故に……」

「意味がわからないよっ!」

 

 ああもう凄く疲れる。早く課題始まらないかなぁ……。

 

 

 

 

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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