ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
side エリー・ポッター
ダンスパーティが終わってからは、また勉強や魔法の練習をしている。ハリーさん程の実力があれば大体の事には対処できるのだろうけれど、正直な話私がそれを真似るのは絶対に無理なので色々な魔法を調べては使って覚えていっているのだ。
そのうちおよそ役に立ちそうな魔法は覚え切ってしまったので、次は一応知っておけば役に立つかもしれない呪いや呪い返しの練習をした。
ハリーさんが優しく優しくかけてくる呪いを必死に跳ね返し、解除し、そして必要になればご飯を食べる。そうしている間に、ハリーさんは私にこう言った。
「前に、娘っ子の特化は食って溜め込むことだと言ったが、もしかしたらそれは違うかもしれない。いや、そう言う効果もあるにはあるだろうが、それが本質とは言えない気がする。フォイやロニー坊やのように『特化』とは言えないような気もするが、とりあえずは話を聞いてくれ。
娘っ子のは、恐らく『生存本能』だろうな。ただひたすらに死なないようにするための行動に特化しているような気もする。
大量に食事をする割にトイレに行く機会が異常に少ないのは、普通は消化吸収できないような物まで消化して吸収してエネルギーとして溜め込んでいるからだろう。
身体が成長しないのは、寿命まで飲み食いしないでも生きていくことができるだけの栄養と水を補給するまで成長に栄養やエネルギーを使うのを身体が嫌がっているからだろうな。
体重や無駄な肉が身体につかないのは、逃げ回る時にそんなものがあったら移動しづらいし、隠れる時にも邪魔になることが無意識のうちによくわかっているんだろう。
そうやって溜めたエネルギーは魔法を覚えることや記憶力を上げたりすることに使われているようだし、一部は生きるために俺の胃薬から再生能力を得ようともしているな。
普段からこれだけの事をしている訳だが、恐らくは一番娘っ子が本領を発揮するのは生命の危機に陥っている時だろうな。生存本能が最強化されるのは死亡が確定する寸前。娘っ子だったら間違いなく色々とリミッターを切ることができるだろうな。あの猫耳軍師マイルドみたいに自在にとはいかないだろうが」
つまり、私はいつの間にかハリーさんに近付いていっていたと言うことだろう。それも私が気付いていなかっただけで、ホグワーツの誰よりも。
私は自分の命がかかっている場合に、いつもより色々なことができるようになるらしい。運動ができない身体でも凄く動くことができるようになるみたいだし、今のように魔法を覚えようとすればすぐに覚えられるようになる。ハリーさんに言われた通り、私は命がかかっていると色々なことをできるようになろうとするし、凄くお腹も減っていく。最近はまた食べる量が増えたのに、食べたいと思うのと同時に食べなくてもまだ大丈夫だと言う意識が頭のどこかにあるような奇妙な感覚になることが多い。
なんとなくだけれど、三大魔法学校対抗試合で私の命の危機が迫っていることと、それとは別に何らかの陰謀や謀略などで私が殺意を向けられている可能性が凄く高いような気がする。
「要するに、生き残りたいんだったら強くなれ……ってことだ。娘っ子の命を狙っている奴は実のところ結構多いしな。死喰い人とかは特に」
「……はい!頑張ります!」
「その意気だ」
ハリーさんは僅かに笑顔を浮かべ、そしてすぐに新しい魔法を教えてくれた。時間があればご飯を食べて、朝昼晩のご飯もしっかり食べて、杖を振ったり呪文を唱えたり呪文の内容を覚えたりしながら毎日を過ごす。
最近は一日にいくつかずつ魔法を覚えていて、ハリーさんには覚える速度が狂気的だとか色々言われてしまっているけれど……実はそんなに酷いことではない。
だって、ハリーさんは私の覚える速度を狂気的と言ったけれど、ハーマイオニーやロン、マルフォイ達だって似たような速度で覚えていっているのだから。
マルフォイやクラッブ、ゴイルは未来で自分の意思を通すために力が欲しいと言って参加している。ロンはマルフォイが参加して強くなるなら僕もと参加し、ハーマイオニーはロンとマルフォイのストッパーとして止めることができるようにと参加を決意した。
……なお、そこでハーマイオニーを茶化したロンはハーマイオニーから鳩尾に二本抜手を受けて悶絶した。マルフォイの防御を抜ける威力があるくせに、ロンが受けても大丈夫って言うのはなんだか違和感があるけれど、きっとハーマイオニーもなんらかのぶっ飛び技を使っているんだろう。
「割合ダメージ強制付与、ってところか。相手の残った体力に応じて相手にダメージを与えると言う、不殺の技だな」
「かわりに死ななくなるけど死ねないからいつまででも殴られ続ける可能性もあるけどね」
「残りのHPの50%だと、いい感じに二次曲線になるんだったか?」
「1だけ残した状態だと0.5減って見た目は1だけど実質0.5って言う不思議な状態になったりするのよ?」
「いつまでもやれるな」
「いつまででも痛め付けられるし、止める時にも同じ割合だけダメージを与えるから不平等がなくていいのよね」
なんだかハリーさんとハーマイオニーが怖いことを話し合っているような気がする。ハリーさんがハーマイオニーみたいな『相手を殺さないように限界ギリギリまで痛め付ける方法』を覚えたりしたら……これからハリーさんに敵対する人がみんな大変な目に合うことになりそうだ。
まあ、そうなったらそうなったでハリーさんに敵対しちゃった人が全ての責任を負ってハリーさんの鬱憤を晴らすためのサンドバッグになっちゃうだけだろうから私には関係ない話だけどね。
……いや、もしかしたら私がハリーさんの前に立つこともあるかもしれないし、一応これまで以上にハリーさんに敵対しないように気を付けることにしよう。流石に死なないとはいえ洒落じゃすまない。
まあ、とりあえず……未来でハリーさんを怒らせたり敵対しちゃう人達の冥福を祈っておこうかな。その人がよっぽどアレな人だったら、その都度撤回する感じで。
本当に撤回するようなことは少ないといいけど……撤回しないことが多いってことは悪い人が多いってことなんだよね。どっちもあんまり嬉しいことじゃあないなぁ……。
どうして世界はこんなに争いが多いのかな? ご飯が食べられないせいで死にたくないのに死んでいく存在がたくさんいる中で、ご飯が食べられるのに死にたいから死んでいく人達がたくさんいる。
争いなんてしたくないのに、争いに巻き込まれたりして死んでいく人達がいっぱいいるのに、争いをしたいのに自分じゃなくて誰かにそれをやらせて人を殺す人がいる。
……世界って、歪んでるなぁ……。
次回作は……?
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鬼滅の刃
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鋼の錬金術師
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金色のガッシュ
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